暗い絵の方がすき
イラストレーション青山塾に通ってから、毎週東京の青山という所に行くようになった。茅ヶ崎から東京までは電車で約1時間半かかるので、せっかくならギャラリーとか色々一緒に回ればいいんだけども、いつも課題が終わらなくて当日ギリギリまでやってるから青山塾だけ行ってそのまま帰るという直行直帰のパターンを繰り返してほぼ1年が過ぎた。今年はもうちょっと賢く過ごしたい。
今日はまだそんなに課題がなかったので、かねてより行きたいと思っていた「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」と、「ムーミン展」に行ってみました。GWになると混むだろうからその前にすべりこもうと今日思い立ち、小田急線の東京メトロパスを買って行った。雨だったので空いていた。
ウィーン・モダンの方の展示はどうやら私は上野の方でやってるクリムト展と間違えてたらしい。最初は、クリムトとシーレの絵がずっと並んでいるのかなと思ったらそうでもなく割合としては全体の1/10くらいだった。ずっとクリムトとシーレのターンだと思って楽しみにしていると肩透かしを食らうので注意です。ウィーンの古い時代のいろんな絵やらウィーンモダン建築の設計図やらクリムトさんのお洋服やら色々展示してあります。今日印象に残った情報としては、ウィーンにフリーメーソンという組織があり、その時代の芸術文化振興に影響を与えたらしいということ、オットーワーグナーという人の建築の設計図の完成度がヤバイということ(建築家の人は絵もかけて数学もできてすごいなあ)、クリムトさんの洋服がでかすぎて若干びっくりしました。巨人だったんですね。絵ってスポーツと違って背の高さあんまり関係ないからいいよね。
生理4日目で活字があんまり頭に入ってこなかったので原始人みたいな感想ですみません。そして携帯を家に置いて飛び出てきたので写真も撮れませんでした。残念。クリムトとシーレさんは30歳くらい歳が離れていたけどとても仲が良かったそうです。
クリムトとシーレの絵の共通点として「生と死」、「エロス」を描いているとほかのサイトでも書いてあった。描ける人を選ぶテーマだけど、このテーマでちゃんと見れる絵を描いてるのはすごいなあと思った。シーレのデッサンも裸体の女の人とかよく出てくるんだけど、エロいんだけどエロくないみたいな不思議な感覚になる。骨ばった体つきだからかもしれない。
母が大腸癌で亡くなった時に断食もしてたのでだいぶ体が痩せてて、最後の清拭も立ち会ったのだけども、不謹慎かもしれないがその体がとても美しいなと思った。老いた人の死ぬときの体の持つ独特の美しさというのがある。侘び寂びの体版みたいなものだろうか。ナウシカの漫画に出てくるミラルパみたいな感じ。
クリムトの方は安心してる表情の人物が多いけど裏の方に怖い表情の幽霊ぽい人達がいてその対比で生と死を表してて、シーレの方は人物そのものがど直球で神経症みたいな表情をしている。あの純粋に神経症みたいな表情を表現できるのってすごいなあと思う。あのギリギリの感じは、やっぱり狂気や絶望の最中にいる人にしか描けないのだろうか。魂の叫び的なものを感じられるからいいなと思う。
商業的なイラストレーションでは「狂気」や「生と死」など重たいテーマはなかなか描けないだろうなあ。AC部とかは割とポップな狂気を表してて好きだけど。
シーレのデッサンはそもそもの体の色が屍のような色で、なんかそういうのが好きなんだろうなと思った。クリムトさんの死んだ顔のスケッチとかもしてるし。でもそれが見てて別に嫌な感じがしない。不思議。
本当に追い詰められている人の表情というのは、何故か心に訴えるものがある。当時のお金持ちの人達にエゴンシーレの絵が人気だったというのが面白いなと思った。例えば、ホームレスとか本当に割とギリギリな感じで生きてる人は結構ヤバイ表情をしてるんだけど、街中でジッとそういう人たちを見つめる訳にはあんまり行かない。シーレさんの絵は不安な表情をしているものが多いのに、何故かずっと見ていたい感じになる。なんでだろう。軽いタッチで描かれてるからだろうか。本物は悲惨すぎて直視できないけど、純粋にろ過された絵なら見れるとかそういう感じかな?
笑顔とかよりも、くらい表情を描いた方が魅力的な作家さんがいる。ムーミンのトーベ・ヤンソンも今日の原画展で検証したが笑ってるキャラクターと真顔もしくはやや不安げでアンニュイな表情をしたキャラクターの割合は1:9位で後者が多かった。でも後者の方が見ててやっぱり魅力的なのだ。どうしてだろう。
私が好きな曲でコトリンゴさんの「悲しくてやりきれない」という曲のカバーがある。映画「この世界の片隅に」のサウンドトラックにもなったけど、そっちじゃない方のカバー。この歌はひたすらに悲しい、苦しい、辛いと歌っているのだけど、長調で、またコトリンゴさんの声が白昼夢みたいな感じなので全然悲しそうに感じない。歌詞は暗いのに曲調は明るく、のんびりしている。そういう反転したアンビバレントな感じが流れ込んできて不思議な感覚になるのでとても好きだ。今回のムーミン展に流れてる音楽もコトリンゴさんでとても良かった。子どもが常同行動をしてる時にハミングして出てきそうな曲がすごく良かった。
自分はどちらかというと明る目で能天気な絵しか描けないので、シュールでドキッとするような暗めの絵をかける人はすごいなと思う。今日は長くなってしまった。おしまいです。
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