Milestone　#2025winter-2

空蝉

2025年2月24日 22:59

底が知れない能力に遭遇した時、受けた衝撃を、人は様々な言葉で
表現しようとする。
それらの中で最も用いられる頻度が高い言葉、表現とは何だろうか？

多分これなんじゃないか、と思う言葉が一つ思い浮かんではいるのだが。

現地時間、2025年2月25日、20時40分。
賞金総額二千万ドル
1着賞金一千万ドル
（2月24日時点のレートで一千万ドルは日本円で14億9669万9999円）

世界最高賞金額のレースとして、
またドバイワールドカップ、ブリーダーズカップ・クラシックと並んで
世界のダート王を決める一戦とも目されている。

サウジカップ（ダート1800ｍ）

Kアブドゥルアジーズ競馬場（サウジアラビア）
北半球産馬4歳以上、南半球産馬3歳以上、国際GⅠ

日本からの参戦は、
ウシュバテソーロ（牡8歳）、ウィルソンテソーロ（牡6歳）、
ラムジェット（牡4歳）
そして総大将、
去年のアメリカ、ケンタッキーダービー3着、ブリーダーズカップ3着と
日本競馬界のダート史に既にその名を刻んでいるといっていい
4歳牡馬、フォーエバーヤング。

今回、世界のダート王を決めるこのレースに、芝の王者が参戦してきた。
昨年、小雨降る東京競馬場で、
ナミュール、ソウルラッシュ、ガイアフォース、セリフォス、ジオグリフ等
並みいる日本のマイラー達をなぎ倒し、第74回安田記念を制した
あのロマンチックウォリアー（香港・7歳騙馬）である。

その安田記念も含め、2023年10月28日から1600ｍから2040ｍまでの
GⅠレースを目下7連勝中。
芝では無双状態だが、ダートではどうか、と芝のレースでは7連勝中一度も
譲る事が無かった1番人気ではなく、このレース、
ロマンチックウォリアーは2番人気となった。

1番人気は日本総大将、フォーエバーヤングである。

芝と砂では土俵が・・・というのは関係無かった。
ロマンチックウォリアーにとっては。

芝の王者はダートでも、王者の走りを魅せた。

大外枠だったフォーエバーヤングは、スタート直後、持前のスピードを
生かして前へいき、徐々に内へ内へとコースを取り、最終的に最内から
２番目で先頭集団を形成、それを前に見て内から追走したロマンチック
ウォリアーは、4コーナーを周る時には外に持ち出し、先頭集団に取り
つくと、馬群の大外を周って直線、その大外から、とんでもない
スピードで内へと切り込んでいき、先頭に立ってしまう。

私の勝手な妄想だが、騙馬というのは子孫を残せないという生物的コン
プレックスのストレスを負のエネルギーに変え、他の牡馬たちへの憎悪
にも似た一念で現役の闘いの場を走っているように思える時がある。

まるで復讐するかのように。

”俺が現役の間は、お前たちには1冠も獲らせはしない”

と。

ロマンチックウォリアーの走りは、そう言っているように感じられた。

それには芝もダートも関係無い、と。

馬群の大外から内へ切れ込み、後続をぐんぐん引き離していく
ロマンチックウォリアー。
2番手追走となったフォーエバーヤングも離されていく。

（あぁ・・・ダートでも格が違うのか・・・またこの馬に
やられるのか・・・）

フォーエバーヤングが離されながら進路を外へ外へと変えていく。

そして。

信じられないものを見た。