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アンドロイドは電気羊の夢を見るか? #2

テスラ社が”微妙に動きだしてる”感じがする。

ツイッターの買収中止示唆保有ビットコインの売却・・・何が狙いだ?と考えてみた所で所詮は下衆の勘繰り、井の中の蛙である私にわかるわけもないが、妄想は千里を駆け巡る

イーロン・マスク氏は大統領の夢を見るか?


そもそもツイッターの買収自体、テレビ局を買い取るよりはいいかも知れないが、言論への影響力を手中にする事でロケット産業における大衆の宇宙への意欲促進を図りたいなら、別にユーザーの立場から発信するだけでもそれなりの効果は得られるはず・・・
一大キャンペーンを大々的に展開したいという事であれば、自分の傘下にすればやりやすくはなるだろうが・・・
それとも2024年の大統領選への影響力を確保したいのか・・・
しかしマスク氏は検閲強化反対派だ・・・
デサンティス・フロリダ州知事に肩入れしているが、監視を緩和すれば同じ共和党候補としてデサンティス氏の最大のライバルになると思われるトランプ氏が戻れる素地を作りかねないが・・・

と思っていた所へ、

米証券取引委員会(SEC)に提出した資料で、マスク氏側がツイッターの買収中止の可能性について言及した。                  マスク氏側はツイッターに書簡を送り、「買収取引を完了しない権利、契約を解除するすべての権利を保持する」と強調した。

Business Journal 記事 2022.6.15  より

ツイッターが公表している「偽アカウントの割合は利用者全体の5%未満」という数字に疑念を示し、裏付けが得られるまで取引を一時的に留保したのだという。

値下げが狙いか?とも思ったが、それも少しはあるだろうが、多分本当の狙いは違う所なんだろう。

マスク氏とトランプ氏のSNS上での応酬を見ると、ツイッター買収留保は、そのまま大統領選への影響力確保を留保している、とも感じられる。

「トランプ氏のことは嫌いではないが、引退し、たそがれに向かって出航する時が来た」

イーロン・マスク氏(7月11日SNSでの発言)

「ホワイトハウスにやってきて、長く走らない電気自動車、衝突する無人運転車、どこにも行けない宇宙船など、彼の多くの補助金付きプロジェクトの全てについて助けを求めた」
「補助金がなければ無価値な人間だ」

ドナルド・トランプ氏(7月12日SNSでの発言)

「Lmaooo」(「大笑いだ」という意味の略語)

イーロン・マスク氏(7月12日SNSでの発言)(図星って意味も含んだ笑いか?)

大統領選への影響力をさほど重視しなくなったか、あるいは重視しなくても良い、という状勢になったか、それでもまだ影響力はあった方が良い、とマスク氏は考えている・・・ような気がする。

(マスク氏は大統領選立候補に年齢制限を設けるべきだとしており、69歳を上限とせよ、と言っている。トランプ氏は2024年には82歳になっている。
・・・ん?・・・もしかしていずれ自分がなろうと思ってる?)

ビットコイン売却にはさほど大きな意図は無し?


テスラ社が売却した9億3600万ドル(約1295億円)相当のビットコイン(2022年第2四半期<4−6月期>決算報告7月20日発表)は、同社保有ビットコインの75%に当たるとみられている。(正確にはどれくらいかは不明)

「中国における新型コロナウイルスによるロックダウンの不確実性を考慮」
「今回の事はビットコインに対する何らかの決定と取られるべきではない」
          テスラ社Q2(第2四半期)決算報告内容から抜粋要約

coindesk japan 7月21日 記事より

こちらは狙いというほどのものはないのかも知れない。

将来的にテスラがビットコインの保有量を増やすことに前向きであると、決算説明会でマスク氏は言及している。
元々Q2で保有現金を増加させる方針だったらしく、テスラ社のバランスシートに9.36億ドル(約1300億円)の現金が計上された、というだけのようだ。

太陽になる為に、世間の風当たりにコートの襟を立てる


前の記事でも述べさせてもらったが、テスラ社はEV車製造・販売メーカーではない。
電力マネジメントを主体としたテクノロジー産業と捉えるべきだと思う。

車両は常時インターネットに接続されており、ハード(車体)を刷新しないまま自動運転などソフト面をアップデートする事で商品価値を高めている。

2014年ネヴァダ州に建設されたリチウム電池生産工場であるギガファクトリーを本国アメリカだけでなく、ベルリン、上海と展開。
民間宇宙企業「スペースX」を2002年に創業しロケット開発を進め、2020年には民間企業として史上初となる有人宇宙船の打ち上げ(飛行ではない)に成功している。

テスラには企業コンセプトとして、

「炭化水素経済から太陽電池経済への移行を促進する」

2006年、最初の製品であるTesla Roadster発表時のイーロン・マスク氏の言葉

という理念があり、傘下にソーラーシティという太陽光発電設備を販売するベンチャー企業がある。

が、このソーラーシティだけ、テスラ社の事業の中で唯一成功していない(事業から撤退したわけではないので、失敗というにはまだ早い)、いわば足を引っ張っている事業なのだ。

(※宇宙産業については上場もしておらず株式非公開でマスク氏の道楽も兼ねていると私は見ており、一般の”事業”とは別モノとして考えます)

それも、元々別会社だったソーラーシティを買収したわけだが(別会社といってもソーラーシティの経営陣はマスク氏の親族なのだが)、ソーラーシティに投資した株主達から不当買収として訴えられていた裁判は2016年から年月を経て、ようやく買収が正当と認められたのが今年の4月27日である。

ソーラーシティのソーラーパネルシステムにおける火災リスクや、実際に火災が起きたとされている訴訟があったりで、システムの設置販売は伸び悩み、テスラのソーラー事業は停滞していると言わざるを得ない。

将来的には、太陽光によってEVを走らせ一般電力も太陽光で賄うシステムを構築したいと考えていると思えるが、その構想は、今の所世間の風当りに押されていると見受けられる。

東洋経済ONLINEの2022年7月21日の記事で、筆者の田中道昭氏(立教大学ビジネススクール教授)はこう言っている。

イーロンは民間宇宙企業「スペースX」を創業しロケット開発を進めていますが、それは「環境破壊が進む地球から、人類を火星に移住させる」ため。またEVのみならず、太陽光発電などクリーンエネルギーのエコシステムを構築しようとしているのは「地球の環境破壊を少しでも遅らせるため」
すなわち「人類救済」こそが、彼のミッションなのです。

ベルリンの壁


自社工場内で自動車製造を完結できる仕組みを整え、モノを運搬するムダを省いて生産速度やコスト面を向上させる。

大学で物理学を専攻したというイーロン・マスク氏の、「工場もプロダクトであり、マシンをつくるマシンと考える。マシンである自動車を進化させるよりマシンをつくる工場を進化させたほうが10倍も効果が高い」という発想を形にしたギガ・ファクトリーは、今年3月22日、ベルリンの拠点で稼働を開始した。

この稼働開始時期が、マスク氏の希望より8か月遅れたのは、ブランデンブルク州当局が環境への悪影響を懸念して承認を遅らせていたからだという。
3月4日に、テスラ側が幾つかの対策を講じることを条件にようやく当局の正式な許可が下りたそうだ。

EUは、新電池規制により環境への有害物質放出防止策を定め、環境を重視した電力社会の実現を目指している。
2020年12月の新たな規制提案の中の、ライフサイクル全体におけるCO2排出量=カーボンフットプリントの申告はEV車メーカーにとって影響が大きい。

さらに資源の浪費と環境負荷を低減する循環、つまりバッテリー電池のリサイクル成果を上げなければならないよう規制される事になる。

前の記事で、テスラ社がQ1決算報告においてLFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーを生産車の半数近くに実装していると報告した事を書いたが、LFPは他のリチウムイオンバッテリーの材料(ニッケル、コバルト、マンガン等)と比べ、本来の材料価値が低い為、リサイクルする際の収益性が低くなる。

つまり、テスラ社はLFPのリサイクル性の低さよりも、安価で省スペースが計れる事、安全性といった特性の方をとったという事で、これを見る限り、テスラはEUの規制に順応する事を重視していない、と感じる。

本来、この辺りの事を今回の記事で述べさせて頂くつもりが、直近のテスラ社の動きが気になりそっちが内容の中心になってしまった為、EUの新電池規制も含め、この辺り稿を改めさせて頂きたい。

ともかく、環境重視のEUでは、有害物質放出の規制が年々強化されており、EV車メーカーにとっては厳しい環境となっていく中、8か月遅れで稼働を開始したテスラのベルリン・ギガ・ファクトリーだが、生産を開始するためには、地下水保護や生物種保護対策などに関する400以上の「条件と要件」を満たす必要があるという。

「(承認には)約80ページに及ぶ400以上の付帯条項(条件と要件)と、異議が認められた約400ページの決定正当化文書が含まれています。付帯規定には、地下水保護や節水・排水削減対策、生物種保護対策、大気汚染物質の規制値や測定法、労働安全要件などが対象です」

LowCarbStyle 2022年3月6日 記事 より

さらに欧州の電力逼迫という状況がある。

テスラやフォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツなどが公言している増産に欧州の電力網が対応できるか?という問題だ。

エネルギー危機を受けて、EU諸国では太陽光発電や風力発電の不足を相殺するために石炭と燃料油の消費量が増えており、電気とガスの価格が急騰しているという。

2021年でガスの卸売価格は400%を超えて上昇したとの事、ギガファクトリーやその他でのEV車生産は大量の電気を必要とするわけで、それはすでに厳しくなっている電力市場をさらに逼迫させる事になる。

その後のニュースを追うと操業されている事が伺えるが、このベルリン工場は当地の飲料水源保護地域および自然保護区に隣接しているとの事で、工場建設当初からの地元住民の反対運動が今も続いてる。

現時点で圧倒的なシェアを誇っているEV車の販売台数だが、EU、中国の各EV車メーカーや本国のGM、フォードが2022年には揃って本格的に増産に取り組んでいる。

こちらも安泰とたかをくくっていられる状況とは思えない。

そして宇宙産業だ。

全ての生命を大切に思う人たちのために


メキシコとの国境の街、米テキサス州ブラウンズビルにある宇宙開発企業「スペースX」の有人飛行ロケット開発基地、「STARBASE」
そこに、直径9メートル、高さ120メートルの世界最大級のロケット、スターシップがそびえ立っている。

イーロン・マスク氏がこの巨大ロケットの詳しい話をしたのは2016年
このロケットで24年にも有人宇宙船を火星に向けて打ち上げると宣言した。さらに19年には半年以内にこのロケットで地球周回飛行をするとし、20年には有人宇宙飛行を実現することも可能だと言った。

未だに実現していない。
壮大な言葉は、度重なる計画の遅れを糊塗し、資金を調達する為の誇張だと少なくない数の冷ややかな目が向けられている。

「いずれは太陽が膨張し、すべての生命が滅ぶだろう。
地球上のすべての生命を大切に思う人たちにとって、人類は生命のスチュワード(世話役)であり、ガーディアン(守護者)なんだ」

2022年2月10日 ブラウンズビルにて イーロン・マスク氏

マスク氏にとってロケットは『ノアの方舟』なのだろう。

度重なる着陸試験の失敗(正確に何回失敗したのか、調べてもわからなかった)にも関わらず、前澤友作氏は、2023年に月の周りを1週間かけて飛行するスターシップのチケットを自身を含めて8人分予約している。

NASAはスターシップが2024年に宇宙飛行士を月に送り届けることを期待しているが、報告書ではその可能性は「非常に低い」と指摘している。

時価総額世界1位の企業でありながら、テスラ社の未来がまばゆく光り輝いているとは、現時点では私には思えない。

少なくとも、未来を創り出す、もしくは未来を変える力を有している事は間違いないと思う。

今の所、その未来に明るい兆しは見えない。
理由は数多あるが、何より”人類救済”を謳うマスク氏自身から、人類に対する”感情”を感じ取れない事が、最も大きい。

次回、何も無ければEUの新電池規制とかその辺を・・・。




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