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武が来た!(第89回日本ダービー)

53歳、6度目
30代、40代、50代でそれぞれダービーを勝った事になる。

ゴール後、鎬を削った1、2着馬の馬上で笑顔と握手を交わし合う、ルメール騎手と武豊騎手。

ルメール騎手のイクイノックスは18番大外枠というのが少々ひびいた感じがする。
後ろから行かざるを得なかったのだろうが、位置取りが後ろ過ぎたと思う。

逆に後方前目にこれた、1着でダービー馬となったドウデュースはいい位置取りだった。

前半のペースが58秒9、レース後のインタビューで「周りを気にせずマイペースで行こうと」と武豊騎手。
4コーナーを回る時は手応えが良過ぎるほどだったとか。

素晴らしかったのは直線。

右に寄れていくドウデュースに、ムチを右手に持ち替え2発ほどで真っ直ぐ走らせ、かと思えば今度は左に寄って行こうとすると、すぐにムチを左手に持ち替えて1、2発で真っ直ぐに、そしてゴール前、再度右に寄れようとする愛馬の気配を、すぐさま右手に持ち替えたムチで真っ直ぐの態勢を保持させ、しかもその間ずっと、きっちり馬を追い続けながら馬上姿勢が全くぶれず、やや前傾した真っ直ぐな背中のラインが微動だにしない・・・。

もっとも目を見張ったというか、感嘆させられたのは、一番熱くなる直線で魅せたこの一連の騎乗を、ものすごく余裕をもった、落ち着き払ってやっているようにしか見えなかった事だ。

直線半ば、愛馬が右に寄れる姿勢を立て直す時、斜め後ろのイクイノックスを見ながら、ゆったりと馬の姿勢を立て直す仕事に取り掛かった、ように私には見えた。

それも、イクイノックスの位置をただ確認しただけでなく、脚色を見て(これなら交わされないな)と判断してから、愛馬の姿勢立て直しに取り掛かかったように。

全ては私の思い込みに過ぎないのだが。
(これが53歳ベテランの余裕って奴かぇ?)と舌を巻いた日曜の昼下り。

「これから、世界も含めて・・・」とインタビューで言っていた武豊騎手。
既に今秋の凱旋門賞に、ドウデュースは登録されている。

今回のダービー、レース前の下馬評ではダービーまでの道のりがスペシャルウィークと似ている事から、”巻き返すかも”と言われていたドウデュース。
正直、(スペシャルとはモノが違うやろ?)と思っていた。

皐月賞で33秒台、出走馬中最速の上がり3ハロンだったとは言え、大分離された3着は、直線310mと短い中山で最後方からという競馬。

武騎手はもっと早くなると思っていた事からその位置取りになったようで、ペースの読み違えをレース中に修正できる器はなく、一杯一杯だったという事ならダービーでの巻き返しは難しいのではないか、と思ったドウデュースだったが、今日のレースを見る限り、これからの成長を感じさせるものもあって、脱帽と秋の楽しみが同時に湧き起る観戦となった。

レース後、ウイニングランを終え、ゴール前に来た第89回ダービー馬と武豊騎手が手を挙げると、6万人の観衆の大歓声に「競馬場が揺れている」と実況が言っていた。

ものすごい歓声だった。
(声あげていいんか?ほとんどの人はマスクはしとったみたいやけど)

7522頭の頂点に立ったドウデュース。

7522頭・・・
最盛時、1992年のサラブレッド生産頭数は10,407頭。
最近はやや持ち直したとは言え、最盛期から半分以上が廃業した生産牧場の苦境は今も変わらないと思われる。

ちなみに生産頭数推移は、ハイセイコーが誕生した1970年からで次の通り。
(サラ系のみ)

1970年  4389頭
1971年  5065頭
1972年  5595頭
1973年  6173頭 ※ハイセイコー・ブーム
1974年  7297頭
1975年  8113頭
1976年  8470頭
1977年  7968頭 
  ※TTG(テンポイント・トウショウボーイ・グリーングラス)
1978年  7780頭
1979年  7712頭
1980年  7726頭
1981年  7867頭 ※第1回ジャパン・カップ
1982年  8072頭
1983年  7977頭 ※ミスターシービー三冠(19年ぶり)
1984年  7694頭 ※シンボリルドルフ三冠(無敗)・グレード制導入
1985年  7629頭
1986年  7649頭 ※メジロラモーヌ初の牝馬三冠
1987年  7765頭
1988年  8311頭 ※タマモクロスvsオグリキャップ
1989年  8751頭 
  ※競馬ブーム(オグリキャップ・スーパークリーク・イナリワン)
1990年  9319頭
  ※競馬ブーム2(オグリキャップ・スーパークリーク・イナリワン)
1991年 10054頭 ※トウカイテイオー(ルドルフの子)クラシック
1992年 10407頭 ※ミホノブルボン、マックィーンvsテイオー
1993年 10188頭 ※ウィニングチケット、ビワハヤヒデ、ナリタタイシン
1994年  9987頭 ※ナリタブライアン三冠(10年ぶり、弟は大丈夫だ!)
1995年  9212頭 ※サンデーサイレンス始まる ラムタラ無敗欧州三冠 
1996年  9045頭 ※ラムタラ、38億円で種牡馬として日本へ
1997年  8668頭 ※エアグルーブ26年ぶり牝馬年度代表馬
1998年  8493頭 ※サイレンススズカ
1999年  8527頭 ※エルコンドルパサー凱旋門賞半馬身差2着
2000年  8622頭 
2001年  8807頭 ※馬齢表記変更
2002年  8747頭 ※サンデーサイレンス死去
2003年  8554頭 ※スティルインラヴ牝馬三冠(17年ぶり)
2004年  8261頭 ※宝塚記念を最後に杉本清アナ引退
2005年  7981頭 ※ディープインパクト三冠(11年ぶり)
2006年  7669頭 ※ラムタラ、イギリスへ売却(産駒わぃ?)
2007年  7523頭  
  ※ウォッカ64年ぶり牝馬ダービー制覇 ディープインパクト種牡馬へ
2008年  7370頭 
2009年  7474頭 
2010年  7120頭 ※アパパネ牝馬三冠(7年ぶり)
2011年  7076頭 ※オルフェーブル三冠(6年ぶり)
2012年  6828頭 ※ジェントルドンナ牝馬三冠、オルフェーブル凱旋門賞鼻差2着
2013年  6836頭 ※オルフェーブル凱旋門賞離された2着・・・
2014年  6888頭
2015年  6847頭 ※ルメールとデムーロ、通年合格
2016年  6906頭 ※16年ぶり女性騎手デビュー(藤田菜七子騎手)
2017年  7080頭
2018年  7244頭 ※アーモンドアイ牝馬三冠(6年ぶり)
2019年  7387頭 ※ディープインパクト死去
2020年  7556頭 
  ※コントレイル三冠(9年ぶり)、デアリングタクト牝馬三冠
2021年  7636頭


ところで今日のダービー、3着のアスクビクターモアと1番人気、ハイペースを前で競馬しながら4着まできたダノンベルーガ、この2頭は今後要注意だ。

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