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『AVENTURE』 大貫妙子
【私の音楽履歴書】 #38 大貫妙子
私が推している櫻坂46が17日、Spotifyに『櫻坂46メンバーが選ぶ嬉しい時や感謝の気持ちを伝えたい時に聴くプレイリスト』と題し、5人のメンバーによって、それぞれ3曲づつ選曲されたプレイリストが公開された。
そのうちの一人、藤吉夏鈴が大貫妙子の『テディ•ベア』をセレクトしている。
藤吉は、これまでもスピッツなども聴いてきたと話してきているが、それは父親らの影響も多分にあるのだろう。しかし、ここで大貫妙子とは意外だ。
その辺りのエピソードも、是非何らかの機会に聞きたいものだ。
”シティ・ポップ“というワードと音楽が注目されだしてしばらく経つが、現在、大貫妙子もその括りで語られることが多い。
山下達郎らと組んだシュガー・ベイブ解散後、彼女もソロ活動の道を選んだ。
私が彼女に注目しだしたのは、かつての盟友、山下達郎の『RIDE ONE TIME』(80.05) や、大滝詠一の『A LONG VACATION』(81.03)のヒットから彼女にたどり着いたという時間軸だっただろうか。
そして初めて彼女のアルバムを買ったのが、今回のタイトルの『AVENTURE』(81.05) だ。
遡れば、荒井由実(松任谷由実)のいくつかのアルバムのクレジットにコーラスとして、山下達郎とともに名を連ねている。
最もわかりやすいのが『MISSLIM』(74.10)収録の「12月の雨」だろう。
では、私にとっての、大貫妙子の楽曲をいくつか上げていきたい。
先ずは…
⚫蜃気楼の街
シュガー・ベイブ時代の大貫作品。
その後、”街“をテーマに、ストーリーを紡ぐ大貫妙子の世界の原点か…
⚫愛は幻
ソロデビューアルバム『Glay Skies』(76.09)から「愛は幻」
シュガー・ベイブ時代に作った作品とのことでアレンジには山下達郎も加わっている。
⚫都会
続いて2ndアルバム『SUNSHOWER』(77.07)から「都会」
大貫妙子〜シティ・ポップの代名詞的に語られる楽曲だ。しかし、アルバム発売当時はセールスとしては不振だったとのこと。その後レコード会社も移籍することとなる。
音楽の専門的なことを語る知識はないが、コード進行が、まさにその後に通ずる“大貫妙子”ワールドであることは間違いないと思う。
⚫若き日の望楼
4thアルバム『romantique』(80.07)に収録。
パリ、モンパルナスを想起させる歌詞とヨーロピアンなメロディー。
大貫が唄ってきた“街”は、東京のイメージから、どこか異国の街並みへと…拡がりをみせるものとなってきた。
坂本龍一アレンジのイントロは、後に発表しブレイクする「Merry Cristmas Mr.Lawrence」を連想させる。
⚫恋人達の明日
5thアルバム『AVENTURE』(81.05) からのリード曲。
コーラスアレンジを山下達郎が受け持ち、竹内まりやとEPOが参加している。
⚫最後の日付
同じく『AVENTURE』のエンディング曲。
ドラム〜高橋幸宏
ギター〜鈴木茂
ベース〜細野晴臣
そして、アコースティックピアノ•プロフェット5〜坂本龍一
という豪華なバックで、アルバムのラストを飾る。
⚫黒のクレール
6thアルバム『Cliche'』(82.09) のリード曲。81年10月にシングルとして発売されていたものを収録。
愛の行方 うらなう時
The Card is Black
悲しく砂の上に すべり落ちて
ちらばり 小波が運ぶ
確か、このパートがどこかのCMに採用されていたと記憶していたが、調べてみると「日立マクセル」とのこと…
と、いうことは以前に山下達郎が「RIDE ON TIME」で、マクセルに起用されていたから、その「偶然」に今さらながら気がついたということだ…
大滝詠一や山下達郎と同様、大貫も多くのCMソングを歌ってきた。
だが、それぞれブレイクするまでは、TV画面に名前がクレジットされなかった場合も多かったはずだ。
同アルバム収録の『ピーターラビットとわたし』はキユーピーのCMにも起用されていたが、ようやく、それこそ「コマーシャリズム」的に彼女も注目されてきた証でもあった。
⚫夏に恋する女たち
7thアルバム『SIGNIFIE』(83.10)のリード曲。
同名ドラマの主題歌でもある。いかにも「TBS」的なドラマだったな〜と微かな記憶しかないが、この歌だけは、強く印象に残っていた。
冒頭に紹介した『テディ•ベア』も、このアルバムに収録されている。
今さら言うまでもないが、大貫の楽曲は映画をモチーフにした〜或いは、それを連想させる作品が多い。
83年に原田知世に提供した『地下鉄のザジ』も、そのまま、かつてのフランス映画のタイトルだ。
⚫地下鉄のザジ
これ以降、二人は節々でコラボーレーションした取り組みを行ってきている。
また、大貫自身は現在も、ソロコンサートや様々な分野のアーティストとのライブ活動を継続して行っている。
最後に、長きに渡り活動を共にしてきた二人…
今となっては、もう叶わない坂本龍一との”共演“を振り返って、この稿を終えたい。
⚫a life