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やすすとユーミン〜坂道越しにみる風景


【私の音楽履歴書】 # 44 特別篇 秋元康と松任谷由実


25年1月29日リリースの日向坂46『卒業写真だけが知ってる』を先行配信で聴いてみた。
聴く直前に、同じ坂道姉妹グループの櫻坂46 (欅坂46) で多くの楽曲を提供しているナスカが作曲していると知る。そうと知ると櫻坂46を推している私としても大いに気になる。
聴いてみて、その辺りの贔屓目やバイアスを抜きにしても、やはりいい曲だな…と感じた。

そして一方で気づくのは秋元康の詞である。
彼が、坂道グループに書いてきた作品をこの一年だけで振り返っても、彼の現在の作詞のテーマ〜コンセプトが明確に浮かび上がってくる。

それは、これまでも何度かこのnoteで書いてきたことでもあるのだが「人生の選択に於いて正解はあるのか⁉」「本当に昔の方が(過去が)良かったと言い切れるのか⁉」と言った彼の人生観とも言えるものを打ち出していることだ。
代表的な一曲としては、櫻坂46の『何歳の頃に戻りたいのか?』だろう。 

時にそれが「説教くさい」との批判も受けたりすることがあるのも承知している。
私は彼が表現する言葉全てに同調するわけでもないが、このテーマは大いに理解出来る。

言わば『人生の岐路』と言ったものを彼が文字(言葉)にした時、私はその向こうに松任谷由実〜ユーミンの楽曲もイメージしてしまう。

坂道3グループ乃木坂•櫻坂•日向坂の直近の作品にもその影をみる…
冒頭の『卒業写真だけが知ってる』はタイトルからも”卒業写真"をうたっているのだから無理もない。

それぞれの人生がいくつもの道に分かれていると
あの頃は何もかも気づかないまま手を振った
まさかそれが本当のサヨナラになるなんて…

日向坂46『卒業写真だけが知ってる』

そして〜

みんなまだ
信じてすごしていたんだわ
ずっといっしよに歩いてゆけるってだれもが…

松任谷由実『悲しいほどお天気』

多摩美出身のユーミンが、玉川上水沿いで絵を描いていた頃を振り返って〜とイメージされるが、彼女が言うには、全てが実体験ではなく、あくまで一つの作品として創りあげたものらしい。

そして、櫻坂46の『本質的なこと』
こちらは以前のnoteでも触れている通りである。

本質的なやさしさとはなんだ?
一度愛した君だから
何があっても 過去でも未来でも 君らしさを
ひとごとと思えないんだ

櫻坂46『本質的なこと』

そして〜

昔の恋をなつかしく思うのは
今の自分が幸せだからこそ
もう 忘れて

松任谷由実『静かなまぼろし』

ここは表現のベクトルが微妙に違う。
『静かなまぼろし』は、最初は沢田研二に提供された楽曲だった。
この曲の主人公が、男なのか女なのかは当時から議論になっていたが、当然女性だと信じて疑わなかった私は、それを聞いて驚いた記憶がある。
このどちらともとれる〜聞き手の解釈に委ねる曲が名曲の一つの所以なのか?とも変に納得していた。
もっと言えば「(男である)私はそんな思いに至らない〜至りたくない」という潜在的な願望が隠れていたのかも知れないと思っていた。
そこが、男である秋元康と女である松任谷由実の決定的な違いでもあるのか…と勝手に納得もする。

最後に、乃木坂46『歩道橋』

歩道橋の途中で足が止まった本当に渡っていいのかなって…
通りの反対側 何が待つのか?期待と不安に挟まれながら
さあ どうする?
このまま 渡ろう

乃木坂46『歩道橋』

そして〜

消えてゆかないくやしさが 私を導き気づけばここへ来ていたと笑っていえる
言葉にない愛の 透き通る手紙を 海はよせてくれる 波にのせて
ああ 失うものはもうなんにもなくて 心静かな私がはじめて見える
夢中になれる何かがどこまでも導き
いつしか遠く旅したとこの海に立ち告げよう

松任谷由実『さまよいの果て波は寄せる』

『歩道橋』についてはnoteでも多くのクリエイターの皆さんが歌詞考察をされている。
松任谷由実は、荒井由実としてデビューした1stアルバム『ひこうき雲』の中の一曲に『空と海の輝きに向けて』がある。
海に向かい、決然と前を向いた意志の唄を書いている。

遠い波の彼方に金色の光がある
永遠の輝きに生命のかじをとろう

荒井由実『空と海の輝きに向けて』

昭和•平成•令和〜と時代を超えた活躍をしている2人のスーパークリエイターに接点はあるのか?と調べてみたら2018年のNHK-FM『今日は一日◯◯三昧』で秋元康ソング特集を放送した際、共演しているTweetがあった。
#秋元三昧でタグツイを辿ると、何人かのFFさんのTweetもあった。
この頃私は、そんなに欅を追っていなかった頃なので、このプログラムも当然知らないから何とも不思議な感覚にもなった。
後の「ユーミン三昧」の放送時も関わりはあったようだ。

この2人の関連や関係性については、このようにずっと以前から言われていたわけだが、私にはBRUTUSでの不定期企画「日本一の手みやげ」特集で秋元康と松任谷正隆がゲストに呼ばれる機会とかの間接的な関係くらいの認識だった。
この辺りは幻冬舎の見城徹ラインの何とも〜な人脈で私は正直敬遠しているのだが、そこはこの稿の本来の趣旨ではないのでこれ以上は触れない。
まぁ芸能が大衆に寄り添ったものか?権力者におもねったものか?云々は言っておきたいけれどね…


私は以前、乃木坂46の『サルビアの花を覚えているかい?』を聴いた時も、秋元康と時代について連想したことをnoteに書いていた。

つまり時代背景を意識したテーマを、彼は基本的に取り上げているんだとの私自身の理解である。

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