『Eddi Reader』 Eddi Reader
【私の音楽履歴書】 # 33 Eddi Reader
写真家、エリオット・アーウィット(Elliot Erwit)が先月29日に亡くなったというNewsをみた。享年95歳。
彼の作品「カリフォルニア・キッス」(1955) を知ったのは、この写真をトリミングしたイギリスのバンド「フェアグラウンド・アトラクション」のアルバムジャケットからである。
今回はそのバンドのヴォーカリストだったエディ・リーダーのバンド時代とソロ活動の作品から、いくつか取り上げたい。
◆ スコットランド・グラスゴー生まれの女性シンガー、エディ・リーダーを中心にしたバンド「フェアグラウンド・アトラクション」 は1988年にデビューし、1stシングル『Perfect』は全英シングルチャート1位を記録した。
日本でも大きく注目され、このシングルは今でもTV番組や、ラジオなどのメディアに時々採用されている。
アコースティックなジャズサウンドをベースにスウィングする軽妙な音楽は、スコットランド・トラッドのテイストで、時にバンドワゴン風でもあり、大道芸的なストリート要素も感じられた独特なものであった。
『Perfect』 Fairground Attraction
◆ 同年にリリースされたアルバム『The First of a Million Kisses』(邦題/ファースト・キッス) のリード曲である『A Smile in a Whisper』 (邦題/愛の微笑み)は静かなエディのヴォーカルとアコギのイントロから始まるが、アルバムのジャケット写真のイメージと相まって私自身も、とても気に入っている。
『A Smile in a Whisper』 Fairground Attraction
◆ フェアグラウンド・アトラクションは来日公演も行い、後にライブアルバムとして作品化もされている。
89年7月2日、クラブチッタ川崎にて行われたライブである。
そのうちの一曲『The Moon is Mine』は、ミュージカル「オズの魔法使い」での『虹の彼方に』の作曲などで有名なハロルド・アーレン(Harold Arlen) の、作詞家テッド・ケーラー(Ted.L.Koehler) との作品『Get Happy』を後半に取り入れてプレイしている。
『The Moon is Mine』〈Get Happy〉Fairground Attraction
上記リンクプロフィールの通り、何かと問題を抱えたバンドの活動期間は短かった。90年1月には解散してしまう。
ヴォーカルのエディはその後暫くしてソロ活動に入る。
そして92年に1stソロアルバム『Mirmama』を発表する。ただ邦題は「エディ・リーダー」としてジャケットも日本独自のものに変えている。
下記のサムネを見ていただければ判るかも知れないが、そのジャケットデザインが女性器を連想させるとしてレコード会社が忌避したのではないか〜と言われている。
◆ アルバムリード曲。
フェアグラウンド・アトラクションのアルバム『ファースト・キッス』と同様のテイストで、このアルバムも始まっていく。
『What You Dot with What You've』
『Hello in There』
◆ この楽曲が私にとっての彼女のベスト。
アドリブを思わせる彼女独特の自由な歌声が聴いていてとても心地よい。
『Cinderellas Downfall』
94年に発売された2ndアルバムは『Eddi Reader』と題された。
しかし上述の通り、日本ではすでに1stアルバムで『エディ・リーダー』として発売していたため、『天使の嘆息(ためいき)』と題して発売するというイレギュラーが生じる。またアルバムジャケットも、本来、下記サムネのようにメガネをずらした上目遣いのもので、日本の発売会社の意向に沿わなかったのか、日本独自のものに差し替えた。
アルバムタイトルやジャケットを変更する例は珍しくないが、2作続けて差し替えるというのは、あまり聞いた事がない。
それ故、後々アルバムを検索した際などに、混乱が生じて来るのであった。
音楽作品としては私個人は、1stのほうが好みではある。
その後も、コンスタントにアルバムは発売されているが、私としては、この最初の2枚が特に印象に残っている。
◆ 日本でのアルバムタイトルとなった本作は、彼女のソロシングル作品で最もセールスのよかったものでもあった。
『Patienceof Angels』
『Joke』(I'm Laughing)
◆ 2ndで、私の一番好みの楽曲。
『Wonderful Lie』
現在も彼女は音楽活動を続けている。
ソロアルバムはカバーアルバムも含めて12枚発表している。
これまで、私は行くことは叶わなかったが、来日公演も何度も行っている。
椎名林檎は、彼女のヴォーカリストとしての才能に憧れていたという。
また、彼女を知らない日本の若い世代からすれば、アンジェラ・アキに類似性を感じるかも知れない。
どこか郷愁を誘う彼女の歌声と、その音楽から受ける感動は、長い年月を経ても変わることはない。
一人のシンガーの確かな歩みを、これからも見守ることになるだろう。
【追記】(23.12.20)
そんな中で、来年にオリジナルメンバーによるジャパンツアー開催が発表された。
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