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BLPステージセット:幕末異聞Daybreak

●幕末異聞Daybreakとは

 幕末異聞Daybreak(以下、「幕末DBK」)は、『人鬼血盟RPGブラッドパス』における「東京UTM」(『BLP』p198)の世界より144年前の江戸時代・幕末を舞台にした、非公式かつ個人的な二次創作ステージセットです。
 「東京UTM」のシナリオを幕末設定で遊ぶことを視野に入れており、公式設定の独自解釈を多く含みます。現在の史実とは異なり、「東京UTM」から見ても特異点となる、パラレルワールドの一つです。


●「幕末DBK」の概要

 このステージセットは江戸時代後期(1853年〜1868年)の日本を舞台としています。史実と大きく異なる点は「東京UTM」と同じく、吸血鬼と業血鬼およびそれらを狩る対鬼組織が存在し、主に江戸で活動をしていることです。これらの情報は基本的に伏せられ、住人の殆どはそのことを知りません。
 しかし、いかに朝廷や幕府が隠蔽しようと、実際に鬼と対峙することもある一部の武士にまで隠し通せるものではありませんでした。御庭番を始めとする幕府直轄の対鬼組織の他、対鬼専門の隊が秘密裏に用意されている藩も少なくありません。また、鬼と戦うことのできる私兵を独自に集めている富豪なども存在しています。

▼情勢

 嘉永6(1853)年6月3日(新暦7月3日)、黒船来航による鎖国の終焉と共に、日本には多くの異国の鬼(吸血鬼)がやってくることになります。“地脈”の集中点であり、精気の利潤な江戸の街は彼らにとって住みやすい場所でもあったのです。このことは各所に大きな波紋を呼び、人間達だけでなく日本に古来から住まう鬼のコミュニティでも攘夷派(異国の鬼を斥ける思想)、開国派(異国の鬼との交流を推す思想)を分かち、時代を大きく揺るがします。
 また、異国の鬼と同じく航路より侵入したのか、それとは別の要因なのか――同時期に江戸では『業血鬼による事件』が爆発的に増加するのでした。

▼人と鬼の関係

 古く、人は鬼と対立し社会の裏側で戦い続けていました。そのため、日本には各地に独自の対鬼組織が存在します。対鬼組織は各々の理念を持って鬼狩りをし、その知識の蓄積を後生に残し続けているのです。また、一方で土地に長く根付き“周囲と上手くやってきた”鬼の組織も幾つか存在します。
 鬼の存在を知る人々にとって、鬼は大凡『人の世の安寧を脅かすもの』という認識ですが、戦乱が終わり刀を持つ意義を失いかけている貧しい武士の一部には、鬼が暴れ事件を起こすことを望む者もいないとは言えませんでした。

▼鬼や業血鬼に関する知識

 情報を広く共有する手段に乏しい時代のため、鬼についての考え方や理念、戦い方やその知識については対鬼組織によってかなりばらつきがあるのが現状です。これについては幕府や朝廷が、多くの民に対し鬼の存在を秘匿する方針をとっていることも大きく影響しています。そのため、鬼へ向ける感情や対応も組織ごとに異なります。
 特に業血鬼に対しては、血契を結んだ血盟のみが対抗手段になり得ることがわかっている程度。彼らの生態や発生条件などは殆ど未知の領域のようです。


●『百鬼夜行』

 突如、爆発的に増加した業血鬼による事件を調べるうちに、多くの業血鬼同士がお互いに干渉をしない不可侵条約を結んでいたことが発覚します。彼らは、一様に自身の肩書きを百鬼夜行と語りました。
 これらの現状から「古来から住まう鬼達とは一度停戦をし、異形の鬼(業血鬼)との戦いに注力すべき」という令が幕府から出されることになるのですが、鬼が一定の確率で異形の鬼に成ることが判明すると「鬼は全て滅ぼすべき」という過激派も多く表れ、世論は一層混迷を極めます。
 幕末DBKでは、百鬼夜行に属する業血鬼を自由に登場させることができます。

『百鬼夜行事件』のその後
 百鬼夜行の起こした事件はその終結後、国民の混乱を防ぐ名目で秘匿され、一部の人間の記憶を除いて書物でのみ遺されることになります。
 しかしその記録も、後の東京の大空襲により消失します。この記録の大規模消失は、後の時代の『灰滅事件』(『BLP』p192)で取り返しの付かない初動の遅れを生むことになるのです。


●対鬼組織

 江戸には対鬼組織が複数存在しています。
 その成り立ちは組織によりまちまちですが、鬼の存在を知り知識を蓄積できるだけの基盤があることが条件になるため、戦闘組織が素体になることが多いようです。
 歴史の長さや組織力、政治や鬼に対する理念も異なる彼らは、時に対立し時に共闘しながら幕末を駆け抜けます。
 所属組織は『BLP』ルールブックを参考に、自由に設定しても構いません。

所属組織は『BLP』ルールブックを参考に、動きやすいものを自由に設定して構いません。江戸(東京)を中心としていますが、京都の新撰組も対鬼組織だったりするかもしれません。

▼鬼狩衆

 江戸で激増した鬼による事件の被害を受け、町奉行所から派生した対鬼組織です。その実態は鬼や血盟を保護し、生活をある程度保証する代わりに危険な任務を任せているというものでした。
 新鋭の組織であるが故か鬼への対応も柔軟で、異国から来た鬼に対しても非常に寛容です。
(※細かな部分は『BLP』p200 SIDの項目を参考にします)

▼御庭番

 幕府直轄の諜報・実働組織。徳川吉宗が設立した当初から、複数の血盟を中心とした鬼狩り集団でした。戦闘の他に隠蔽工作にも長けており、江戸に暮らす人々へ鬼の存在が露見しないように動いています。

▼牙狩衆

 平安時代から続く名家、赤桐家が所有する非公式な対鬼組織です。
 その歴史は古く、積み上げてきた鬼に対する知識は御庭番衆をも凌ぐと言われています。鬼は残らず“斬滅”する熾烈さがあり、そのために手段は選ばない面があります。
 血盟を結んだ人間は特務隊士となり、鬼は『式』という特務隊士の備品として扱われるなど、鬼に対する対応は厳しいものでもあるようです。
(※細かな部分は『BLP』p202 斬鬼衆の項目に準拠します)


●追加表

以下は、幕末DBKで使えるかもしれない追加表です。

ほぼ『BLP』ルールブックに記載されている基本の表の流用になります。
元になった表はルルブの他、公式サイトでも確認可能です。

◯日常表(幕末)

●場所 
2・3:行楽 お花見、納涼や花火大会、蛍狩り、お月見、酉の市など。
4・5:仕事場 所属する組織、もしくは屯所。または衆の編纂室など。
6・7:私室  いずれかのPCの部屋。誰の部屋かは相談で決めること。
8・9:食堂  屋台、座敷の店、水茶屋、もしくはどこかの台所。
10・J:訓練室  組織内の訓練室、もしくは道場など、体を動かす場所。
Q・K:遊戯  歌舞伎や落語、寄席では怪談や手品も披露された。
A・Joker:医療 町医や薬屋、衆の治療室など。当時は往診が主だった。

●内容 
2・3:訓練  戦いに備えた訓練や下見、戦術の確認を行なっている。
4・5:仕事  溜まった書類仕事、あるいは頼まれて人や猫を探している。
6・7:学習  勉強したり、読書にいそしんでいる。
8・9:食事  食事や休憩、あるいは料理をしている。
10・J:遊戯  遊戯や博奕、子供の遊びに興じている。
Q・K:趣味  いずれかのPCの行動に、他のPCが付き合っている。
A・Joker:夢  将来の夢、あるいは小さな目標について話している。

◯交流表(幕末)

●場所 
2・3:仕事場  所属する対鬼組織、もしくは別の組織、浪士組など。
4・5: 水茶屋  今で言う喫茶店。お茶や団子、煙草を嗜む者もいた。
6・7:医療  町医や薬屋、衆の治療室など。当時は往診が主だった。
8・9:資料室  衆の編纂室や貸本屋、書斎など、本に囲まれた場所。
10・J:現場  事件が起きた現場の一つ。
Q・K:移動  京都へ渡す三十石船、乗船場。あるいは陸路の移動中。
A・Joker:公園  公園や庭園、開放的な場所。

●内容 
2・3:敵  これから戦う敵について、抱いた印象などを話し合う。
4・5:被害者  この事件の被害者について、話し合ってみよう。
6・7:ひと休み  難しいことは考えず、心身を休めることにしよう。
8・9:不安なこと  心配事、不安に思うことについて相棒に相談しよう。
10・J:下準備  戦いに向け、武器の整備や作戦の確認をしよう。
Q・K:調査の手際  相棒の調査の手際について褒めることにした。
A・Joker:新たな目標  事件を通じ新しい目標や目的は見つかった?

◯ 調査表(幕末)

●ベーシック 
2:聞き込み(一般人)  一般人に聞き込み。どんな方法で聞き出そうか。
3:文献調査  文献を調べる。古い知識が役立つかもしれない。
4:瓦版  瓦版を集めたり照らし合わせてみたり。ある意味地道な調査。
5:現場検証  現場検証は調査の基本。見落としているものはないか?
6:検死/見舞い  被害者の検死結果の確認や、見舞いに行って話を聞く。
7:専門家を訪問  事件に関する専門家を訪問。話を聞けるといいのだが。
8:聞き込み(博徒)  裏社会での調査。賭場を仕切る博徒一家や遊郭等。
9:過去の洗い直し  類似事件の資料を調べる。思わぬ収穫があるかも。
10:情報屋との交渉  交渉し情報を聞き出す。一体何を要求されるやら。
J:聞き込み(鬼)  戦団や古来から住まう源祖を訪ね、情報を引き出す。
Q:遺留品  事件の遺留品をチェック。意外な手がかりが見つかるかも。
K:追跡  血の跡の匂い、足跡、目撃情報。些細な痕跡から足取りを追う。
A:他組織との交渉  他組織から情報を引き出す。御庭番や対鬼組織等。
Joker:謎の美男  訳知り顔の謎の美男が現れた。何か知っているのか?

●ダイナミック 
2:突然の抗争  情報提供者と邂逅中、裏社会の抗争に巻き込まれた。
3:色仕掛け  情報を持つ相手は色仕掛けに弱いらしい。腕の見せ所だ。
4:返り討ち(眷属)  敵の配下らしき連中の急襲。情報を得る好機だ。
5:チェイス  情報を抱える相手が逃走中。捕まえて情報を吐かせよう。
6:諜報  事件の情報を持つ者が密会中らしい。忍び込んで話を聞こう。
7:力試し  他の衆や戦団など。強さを証明すれば情報を渡すと言う。
8:返り討ち(博徒)  裏社会の住人の急襲。返り討ちして情報を得よう。
9:血の代償  情報の見返りとして、別の鬼の抹殺を依頼された。
10:占い  占いや天啓に頼ってみよう。重要なのは解釈だ。
J:返り討ち(鬼)  急襲だ! 隠れ住む鬼か、どこぞの戦団の下っ端か。
Q:仲間の遺言  組織の仲間が犠牲になってしまった。遺した言葉は⋯⋯。
K:賭博  情報をかけて博奕を行う。実力かイカサマか、どっちを使う?
A:アジト襲撃  敵の隠れ家の一つを発見した。襲撃し手がかりを得よう。
Joker:謎の美女  訳知り顔の、謎の美女が現れた。何か知っているのか?

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『人鬼血盟RPGブラッドパス』特設公式サイト

本ステージセットは「からすば晴(N.G.P.)」および「株式会社アークライト出版事業部」が権利を有する『人鬼血盟RPG ブラッドパス』の二次創作です。