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Open AI 大きく方向転換 背景には?
オープンAI 月額200ドルの超高額プラン発表
OpenAIは、月額200ドルの「ChatGPT Pro」を発表しました。このプランには、数学や科学、コーディングにおいて「信頼性が高く包括的」な回答を提供する「o1プロモード」が含まれています。しかし、SNSでは「200ドルの価値があるのか」という疑問が多く上がっています。ベンチマークテストでは通常版o1よりわずかに優れているものの、視覚的なジョークや数独のような問題に苦戦するケースもあり、性能向上が劇的とは言えない状況です。
OpenAIのCEOサム・アルトマン氏は、多くのユーザーにとっては無料版や月額20ドルのPlusプランで十分だと繰り返し説明しています。専門家からも価格設定への疑問が寄せられており、「需要が限定的になる可能性がある」と指摘されています。医療研究者など一部のエキスパートには無料で提供される予定ですが、幅広いターゲット層に対する価値提案が不明瞭であり、現時点でこのサービスは期待値を超える説得力を持っていません。価格に見合う効果を示せなければ、一般的な成功にはつながらない可能性が高いと考えられています。
Open AI 利用者急増も収益化に苦戦
マイクロソフト(MSFT, Financial)支援の革新的企業OpenAIは、2029年まで収益を上げることが難しいと予測されています。この情報は、10月9日(水)にThe Informationが発表した財務報告書に基づくものです。この報告書は、OpenAIの人工知能(AI)開発に関連する巨額の投資および運営コストを強調しています。
マイクロソフトが大規模な出資をしているOpenAIは、2026年までに140億ドル(約2兆円)の損失を計上する見込みで、2023年から2028年にかけての累計損失は440億ドル(約6.5兆円)に達すると予想されています。それにもかかわらず、同社はAI技術の普及とパートナーシップにより、2029年には年間売上高が最大1,000億ドル(約15兆円)に達すると見込んでいます。
OpenAIの成長から最も恩恵を受けているのはマイクロソフトであり、ここ数年で記録的な利益を上げています。さらに、長期的な成長から利益を得ることが期待されており、報告書によると、OpenAIの収益の20%を受け取る権利を持つとされています。ただし、マイクロソフト自身のAI技術も無視できないものであり、同社の幹部は過去1年間にわたってその実力を強調してきましたが、OpenAIの役割も否定できない重要な要素として残っています。
Open AI 軍事請負業者と契約締結
OpenAIは、防衛請負業者Andurilと提携し、同社が製造する群れ型攻撃ドローンの性能向上を支援することを発表しました。Andurilは「The Lord of the Rings」のアラゴルンの剣にちなんだ名前を持つ企業で、創業者にはOculus VRのパーマー・ラッキーが名を連ねています。この提携に関し、OpenAIのサム・アルトマンCEOは、AI技術が米国の民主的価値観を守る上で重要であり、米軍人の保護や市民の安全確保に貢献するものだと主張しました。また、AndurilのCEOであるブライアン・シンプフは、OpenAIのAIモデルが防空システムを改善し、軍事や情報分野での意思決定を迅速かつ正確に行える責任あるソリューションを提供すると述べています。
この提携の背景には、OpenAIがかつて掲げていた「軍事・戦争目的や兵器開発への使用禁止」の方針が2023年に撤廃された事実があります。方針変更後、OpenAIはダボス会議で国防総省にサイバーセキュリティツールを提供することを公表し、一部の社員に不満を与えましたが、明確な抗議活動には至りませんでした。さらに、同社はAIモデルを活用し、Andurilのドローン脅威評価を改善することで、オペレーターが安全な場所からより良い判断を下せるよう支援するとしています。
一方で、この提携に関する懸念も浮上しています。OpenAIの広報担当者は、「当社の技術は他者を害するシステムの開発に使用されない」と述べましたが、攻撃用ドローンを販売する企業と提携することで、戦争ビジネスへの関与が避けられないとの見方もあります。このような動きは、「他者を害する目的での技術使用禁止」という同社の理念に反する可能性があり、方針変更が一部で批判される要因となっています。総じて、この提携は倫理的観点から議論の余地を残すものと言えるでしょう。
考察
ChatGPTの高額プランの導入や軍事産業への本格的な参入を決定した背景には、収益の増加を模索しているという唯一の動機が見て取れる。これは、投資や運営コストが過大であるために十分な利益を確保できないというビジネスモデル上の課題を克服するための企業戦略の一環と考えられる。この動きは、OpenAIが掲げる「汎用型人工知能(AGI:Artificial General Intelligence)を人類全体に利益をもたらす形で開発し、非営利で追求する」という本来の趣旨から本格的に変わりつつあることを示しているのかもしれない。
参考文献
https://lnkd.in/gmvjax4q
https://lnkd.in/gNxdc2QZ
https://lnkd.in/gCynS6UF