服は脱いだけど

服は脱いだけど。

この続きは、

「　お　風　呂　の　入　り　方　が　わ　か　ら　な　い　」

です。

そんな経験、ありますか？

もしあったら、仲間かもしれません。

私とリモートで握手です。

「ちょっと何言ってるかわかんない」って思ったあなた。

わかんないですよね。

うつの症状のひとつ、

意欲低下が進むと、思考力が低下し、

行動制止することがあるというお話です。

こんな形になって出てくることもあるのだと、

ちょっとした事例紹介です。

プロフィールにも書きましたが、
私は適応障害→うつになった経験があります。
その時の体験談です。

うつ状態のときはあらゆる意欲が低下します。

セルフケアへの欲求も低下するので、

入浴できないのは珍しいことではありません。

自分で言うのもなんですが、私は真面目で律儀です。

だからうつになるのだとよく言われます。

真面目で律儀だから、約束は守ります。

週1回の診察がおっくうでも、必ず受診しました。

毎週毎週、その受診のために力を振り絞り、

とりあえず人様に不快感を与えないために

体を綺麗にして通院していたのです。

力を振り絞ってお風呂に入るのは

誇大表現ではありません。

入ってしまえば爽快なのですが

覚悟が要ります。

見方を変えると、

受診によって私に清潔がもたらされた

といっても過言ではありません。

受診日ではない日に問題は起きました。

その日は友人と会う約束をしたのです。

何とかギリギリ間に合う時間に

シャワーを浴びようと脱衣し、風呂場へ。

「？？…お風呂って次なにするんだっけ？」

茫然と立ち尽くす裸体。

幸い、その後数分でやることを思い出せました。

次はシャンプー、次は体、と言った具合に

シャワー浴という行為は行えました。

お風呂に入るとき、

人それぞれ洗う順番などあるかとは思います。

でも、いちいち計画を立てて行動していませんよね？

私は、この一連の動作もわからなくなってしまったのでした。

本当は覚えていたし、シャワーもシャンプーも見えていました。

できるはずなのですが、

エンジンがかからないような感じで止まってしまうのです。

その時は幸い焦燥感はなく、友人に会いに行くことはできました。

帰宅後は日内変動でどんよりでしたけど…。

あれは行動制止だったなと振り返っています。

休職する直前にも、行動制止に近いこともありました。

だから、精神科勤務していたころは、

このような具体的事例をもとに症状の有無を観察していましたし、

「私、お風呂の入り方がわからなくなったことがあるんですよ」

と自分の体験を話すことで

患者さんにも安心してもらえるように心がけていました。

動作緩慢なこともうつの患者さんには見られます。

相手を叱責するような対応はとらず、

ゆっくりでいいと伝えてください。

あと、なんでもよいのでよかったことは共有して、

支持的に接してほしいなと思います。

2020年8月15日に続編追記しました。よろしければご覧ください。