入院に至るまでと、診断がついていることのありがたみ
この記事は1301文字です。
包括支援をしている部署の事例検討会に同席しています。
その包括支援の事業所では
制度から漏れてしまう困りごとのある人を支援する
という目的で活動しています。
看護師は必要なさそうな現場ですが
紹介された事例の中で
精神科医療につなげる必要性がありそうなら
介入を検討していくという目的で参加させてもらっています。
例えば、
未診断の精神疾患のある人が、地域で過ごせていた。
しかし時間の経過とともに症状が進行
→日常生活への支障が出た、身体症状に影響した、
あるいは近隣住民とトラブルになった…など。
早期に医療に繋げられれば、地域で暮らしながら治療が続けられます。
入院が必要となった場合でも、先に地域包括支援が介入しているので
退院後のことを考えておけます。
当たり前ですが病院にいると知らないことがたくさん。
電話相談や1回の面談でスムーズに解決するケースもありますが、
シビアな相談ケースもありました。
その人に関わってきた社会福祉士や精神保健福祉士が
地域で頑張っているおかげで
医療につながるんだというのが伝わりました。
精神科病棟看護師が患者さんに関わるときは、
こんな経緯で受診、入院に至ったというのが
入院時の医師記録や入院後聴取される社会歴など、
文字に起こされた情報で入ってきます。
私達はその文章から患者さんの暮らしや症状、
症状に基づく行為を想像して対応します。
しかし、そこに至るまでどれほどの関わりを要したか、
細かい情報までは記されていません。
地域のスタッフがどんな方法でアプローチしていったか、
受診につなげるまでにどのように関係性を作ったのか。
こんな過程があることを知りませんでした。
何分もかからず読める数行の文章でまとめられていますが、
具体的に実践となると、
ものすごい時間とエネルギーとマンパワーを使っているんだなと
とてもありがたいと思いました。
病棟看護師は、
診断がついた患者さんとして受け入れます。
看護は、診断がついているからできる対応です。
診断をつけるためには、本人を受診させなければなりません
受診させるためには本人の同意が必要です。
本人が同意しない場合は、受診させるよう働きかける必要があります。
本人が受診する気になるために、
信頼とまではいかなくても、信用は必要になります。
信用を得るために相手を知り、自分を知ってもらう必要があります。
時間もかかります。
地域から病院に至る過程はこんな営みの上に成り立っていたのでした。
私がいた病棟から退院した患者さんも、
その包括支援を受けており、安定しているとのこと。
その人が地域で生活できているのは
こうしたスタッフのおかげなんだなとありがたく思いました。
病棟では、診断がついた患者さんとして受け入れるので、
症状や看護や治療も予測できます。
退院支援の際も、受診につなげてくれた包括のスタッフに連絡できます。
何もないところから医療につなげてもらい
また地域でその人に関わってくれる心強い存在です。
病院の中にも知らなかったことはたくさんあったと思いますが、
病院の外にも知らなかったことがたくさんあります。
まだまだ勉強が必要です。
お読みくださりありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?