野鳥観察は生活に、1次元をふやす
ふくまち大学参加レポート(メモ)
福井市自然史博物館の出口翔大学芸員による「まちの野鳥サークル」に参加した。これは、福井県立大学の高野翔さんが主催する「ふくまち大学」の講座の1つである。福井のまち全体を学びの場として捉え、いろんな方々が参加者として、ときには企画者として参画できる。素敵なプロジェクトだ。今回は足羽山をフィールドに、「足羽山にはどんな野鳥がやって来るのか」をテーマに、みんなでまちの山、足羽山で野鳥を探究した。
足羽山にある福井市自然史博物館前に集合
参加者には出口先生オリジナル野鳥リーフレットと、野鳥図鑑、そして貸出用の双眼鏡が配付された。司会は土田さん。スタッフの方々と参加者全員が自己紹介もかねて参加の動機や想いを交流し合った。いろんなことをされており、自己紹介だけでもおもしろい。そんな中、
「チョイ」
さっそく鳥の声が聞こえる。
「これはメジロですね。目のまわりが白い留鳥です。甘いものが好きなんですよ。」出口先生は視力が悪いそうだが、声と飛び方などで何の鳥かすぐにわかってしまう。「鳥を知ると、生活に1次元ふえますよ。」という言葉から、観察会がはじまった。この言葉が今回の観察会でずっと頭に残る。
まずは双眼鏡の使い方を学ぶ
双眼鏡にまず感動する。倍率は8〜10倍程度であるが、想像以上にきれいに見える。注意点は「太陽を絶対に見てはいけない」ことである。目標物をまず肉眼で探して、あたりをつけてから双眼鏡を覗くこと。双眼鏡を覗きながら探すと、うっかり太陽の直射光が目に入ってしまう。目の幅を合わせることも重要である。視野が重なるように調整すると遠近感が実感できる。ちなみに品揃えはK店がおすすめらしい。早速翌日行ってきた。
いよいよ野鳥観察散策スタート
まずはサクラの木に注目、よくみるときれいな直径数センチの穴が3つほど並んでいる。ちょっと朽ちた木の幹によく見られるそうだ。コゲラというキツツキ科の留鳥がつついた穴であるとのこと。キツツキという名の鳥はいないらしい。ゲラには、クマゲラ、アカゲラ、アオゲラなどがいる。
秋は樹木が実をつける時季、枝のまわりを探すと見つけやすい
サンゴジュ、エゴノキ、クサギなど秋は樹木が実をつける時季である。そんな樹木の枝を注目すると鳥を発見できる。「そうか!樹木の実を鳥が食べるからこの時季はいろんな鳥がいるのか」当たり前なのであるが、樹木の実がつける時季と鳥がやってくる時季がつながっていることを初めて実感できた気がする。
クサギも印象深い、クサギ葉をちぎって揉むと、なんとジャーマンポテトの匂いがするのだ。くさい。そして、白い花はまったく異なりとてもよい匂いなのである。そして、実の色である。ガクはまだ薄桃色で残っており、そして実は紺色、なんとも言えないコントラストである。出口先生曰く、これを「2色効果」というそうだ。つまり実を目立たせて、鳥が見つけやすくする。でもおしいくない。だから鳥は食べても一気に全部は食べない。このような能力を進化を通して今のクサギはもって生きているのである。
今日は渋い日 イカルは「お菊24」「コーヒーおいちい」と鳴く
黄色いくちばしのイカル。「お菊24」「コーヒーおいちい」と鳴くそうだ。しかしながら、今日はなかなか鳥が観察できない。出口先生によると「渋い日」なのだそうだ。でも鳴き声は聞こえる。これがそうかな?今週の休みは子供を連れて足羽山を歩こうと思う。双眼鏡も衝動買いしてしまった。
カラスは「ハシブト」か「ハシボソ」か
カラスもおもしろいものである。普段田んぼにいるのはハシボソガラスであるそうだ。カーカーはハシブトガラス、ガーガーはハシボソガラスとのこと。ハシボソガラスは田舎に多いらしい。散策中、ハシブトガラスのつがいを発見、みんなでゆっくり観察する。毛繕いをしている。蟻を体につけて蟻酸で寄生虫も駆除することもするそうだ。知能もヒトの3歳児くらいあるとのこと。ほかにもミヤマガラス、コクマルガラスというカラスも渡り鳥でいるらしい。
「シリシリ」エナガ 留鳥と渡り鳥 クマノミズキ 2色効果
ムラサキシキブ 紫の実 他にも散策しながら、たのしくいろんなお話が聴けた。あっという間の2時間であった。
振り返り
最初はドキドキして参加したが、参加して良かった。6月に鯖江の自然観察指導員講習会でご一緒だった方にも再会できた。植物にも詳しい方や、植物と染め物についても研究されている方、そんな方々のお話も聞きながら、自然観察は暮らしの様々なことにつながっているのだと気づかされた。
「自然観を広げる」ということは、ほんのちょっといつもの日常が面白くなっていくことにつながっていくのであろう。出口先生の「1次元が増える」まではまだまだいかないが、今まで何気なく見過ごしてきた、聴き過ごしてきた鳥とその声に少し意識して生活してみたいと思う。
自分たちのまちには、実はまだまだおもしろいことや不思議なこと、課題やテーマがたくさんあるのだなと今回のふくまち大学「まちの野鳥サークル」から学ぶことができた。
最後に、講師の出口先生、高野学長をはじめとするふくまち大学の皆さま、一緒に参加されたサークルの皆さんに深く感謝いたします。
参考:ふくまち大学とは
追記
朝の自転車通勤(足羽川河原コース)も鳥観察を意識すると楽しい