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昭和の映画館

NHKの新日本風土記をそれとなく観ていた。小倉の祇園太鼓の夏を中心に追いかけた番組。その中で昭和館という古い映画館が紹介された。趣のある劇場だが、2022年の大火災で焼け落ちてしまう。有志の力で再建された。焼け残ったネオン看板が甦ったシーンは、胸熱くなった。

自分が10代の頃、福井駅前の映画館へ足繁く通っていた。昭和の映画館の雰囲気が大好きだ。近年は郊外のシネコンが増える一方で、駅前の映画館は次々と消えていった。今も残るのはシネコンとなったテアトルサンクとメトロ劇場のみ。全国的にも地方都市の繁華街に、残る映画館は数少ないそうだ。

昭和の映画館とは?ザッと特徴を挙げてみよう。
先ずは劇場入口正面に掲げられた手描きの看板。昔は映画毎に手描きで看板が制作され、それが映画館の顔となってた。それを見て映画の内容を想像してワクワクしたもの。看板を見上げる事で映画鑑賞が始まる。そして期待を胸にモギリを抜ける。そんな看板はすっかり見かけなくなった。職人さんも残っていないのだろう。
次に劇場入口の赤いビロードの観音開きドア。これが全てではないけど、自分のイメージではコレだ。
そしてロビーが少しタバコ臭い。今やロビーと言えどタバコは御法度。しかしこの匂いが昭和の映画館とリンクする。古い東宝の劇場なんかは、ロビーの壁にスターの写真がズラリ飾られていた。ブロマイド風の写真だ。
売店はガラスケースにパンフレットやポスターなどが売られていた。ポップコーンなんかはなく、アンパンとか売っていたような。アイスクリームもあったけど、モナカアイスのみ。それも透明のビニルに包まれた…。
映画鑑賞自体が特別感があって、そこで飲食するとかグッズを買うのはオマケのオマケ。そんな時代の映画館だった。

昭和の地方都市での映画館は併映が普通。新作でも二本立て。アクション映画二本とかホラー二本とか。しかし何故かグロいホラーと学園コメディが併映もありだった。二本観れるのが嬉しい番組構成の一方で、客層無視の組合せがあった。これがコレで昭和的感じ。

それと日本の映画市場は、今や邦画が中心だけど、昭和の映画と言えば洋画中心。日本の映画制作も、目指せハリウッド‼️みたいな雰囲気があった。今はドメスティックな映画ばかりでガッカリ。確かに目指せハリウッドのつもりで、ショボい映画ばかりだったけど、その心意気が好きだった。それはそれで許せた。笑いのネタになった。

福井駅前の映画館も古くなって、今後建物の老朽化が問題になる。長く残って欲しい。映画館は街の文化を担う。灯火は残さないと。

9月14〜16日に福井駅前で市民で映画撮影イベントがある。完成作品は11月開催の福井駅前映画祭で上映。
9月14日13:00新栄テラス集合。参加条件は特に無し。スタッフ、キャストどちらでも参加可能。とりあえず覗きに来るだけでも。

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