フランス人と膀胱

フランスに暮らし始めフランス人の友人ができると、日本人が必ず気がつくことがあります。

それはフランス人の膀胱の耐久時間が驚異的に長いことです。街中に無料で使えるトイレの数が少ないのも、彼らはほとんどトイレに行く必要がないからかもしれません。グループで行動していると、トイレに行く回数は必ず日本人の自分がダントツ一番です。

無料で誰もが使えるトイレが少ないフランスにおいて、日本人は常に頭の中でトイレの場所を意識し、初めての場所に来ると尿意がなくても、(尿意を感じてから探しては遅い)という理屈で、何気なくトイレの場所をチェックし、館内マップとともに頭の中でイメージ化して経路を脳内反芻する癖がついてしまいます。そしてどのタイミングでトイレに行くかを神経を尖らせてみはからっているのです。

これが知らないうちに重いストレスになり、心の病にかかって帰国してしまう日本人も少なくはないのです。

これまで、
・フランス人の方が膀胱が大きい
・.フランス人の方が膀胱が丈夫など、
様々な説が唱えられてきました。

しかし或る日のことです。せっせと日本ツアーを企画してはお小遣い稼ぎをしているマルセイユの元日仏協会の会長さんフランソワーズが新説を打ち出しました。

「日本人は常にお茶ばかり飲んでいる。外に出るときも水筒に入れて持ち歩いてまでお茶を飲んでいるのだ。私も日本で一緒になって同じペースで飲んでいたら日本人と同じくらいトイレに行かなければいけない体になってしまった」
と。

なるほど。
これは一理はあります。しかし、これだけが原因とは思えません。

フランス人だって時にはおしっこをしたい。しかしフランスでは実は尿意を極限まで我慢する文化があるのです。その訓練は幼少時よりはじまります。

フランスの幼稚園のトイレには、個室がありません。便器が並んでいるが、仕切りがない。もしくは仕切りだけあっても扉がありません。

フランス国内でもこれは問題視する人がいないわけではありません。
ときどきニュース番組で「幼稚園児の膀胱炎」が取り上げられます。

インビューされているカミーユさん5歳は「ドアないし男の子とか見てるし幼稚園ではおしっこしたくないから一日我慢するんじゃ」とお答えでした。

そこで小児科医も登場。インタビューに答え「見られたくないので幼稚園では我慢する園児が多く、それで膀胱炎になる子も少なからずいる」と説明します。

フランス人たちは、日本人が衝撃を受けるあの膀胱耐久性をこうして幼少のおりより鍛錬して獲得しているのです。

こんなフランス人たちに勝つにはどうしたらいいでしょうか?
日本民族として、アジア人として、いいアイデアがあったら是非教えてください(私はここで思考停止させていただきます)。




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