高踏選民の青木理様にお伺い致します 

        ディスリー芥川
 

「人々はなぜ自民党に入れ続けるのか?」という問いに「劣等民族だから」と一刀両断された高踏選民の青木理様。 
私のような劣等賤民には、そのような芸当はできず、以下のように長々とした理由を考えておりましたが、所詮、劣等賤民の私の事、きっと色々間違っている事と思いますので、もし、高踏選民の青木様が拙文を目にされた際には、是非ご指導ご鞭撻のほど、お願い致します。

「人々はなぜ自民党に入れ続けるのか?」

60年安保闘争あたりを頂点に、その前後の時代、多くの国民(学者、評論家、学生、日教組、労働組合、マスコミ関係者など)が左傾化していた。
何しろ、当時はソ連、東欧、中国、北朝鮮に続き、ベトナム、キューバ等と共産圏が拡張し「いずれ資本主義圏を圧倒していく」と信じてもおかしくないような世界情勢があった。
まるでマルクスの予言どおりに時代が進んでいるかのように左翼系の人達は錯覚していただろう。
今では信じられないが、「北朝鮮は地上の楽園」みたいなデマが信じられ、何万もの在日朝鮮人や日本人妻が北朝鮮に帰還した(後に悲惨な目に合った事が分かってくるが)。

だが、一方、一般国民の多くは「そんな平等で豊かで素晴らしい社会が理屈どおりに調子よくできる筈はない」という「俗世間の常識」を持っていた。
60年安保闘争で日本中が日米安保反対と叫んでいたようにみえる時期でも、庶民は、何か胡散臭い新時代を夢見る野党よりも、日々の現実に密着している感じの自民党に投票した。
一方、左派系知識人は「マルクスを知らず、世界の流れを知らない大衆の無知」を嘆き、この頃からずっと、自民党を支持する人達を馬鹿にする目線を続けてきた。青木氏のような方は、その末裔と言えるだろう。

すでに、その当時から共産諸国の悪い噂は流れていたが、当初は「西側の流すデマ」だと思う共産支持者も多かったに違いない。
だが、共産圏から自由主義圏に逃げてくる人が何万、何十万、何百万となっていく中で、共産諸国の経済状況の悪さ、人権弾圧などが時代を経るごとに明るみに出てきた。
そして1990年代に入ると、東西ドイツの統一(東ドイツの消滅)、ついにはソ連崩壊と極まり、共産諸国が本当に経済崩壊、人権弾圧の1党独裁国家であった事が誰の目にもハッキリした。

この流れによって、共産・社会主義支持者は激減し、やがて社会党は社会民主党と名前を変える。
日本社会党は「共産」という文字は入っていなくても、一時、向坂逸郎などの社会主義協会派の力が強く、共産主義国を絶賛していた。後に批判され傍流となったが、理論的影響力はその後も残っていった(オカマの東郷健が、あこがれのマルクス主義者向坂逸郎と対談した時、「ソ連のような社会主義国になれば、君の病気(オカマ)は治ってしまうよ」と言われ、喧嘩になったという逸話がある。※用語オカマは東郷健が自ら名乗っていたのでそのまま使いました)。

そんな党が野党第1党だったのだ。
今から見れば、そういう共産圏寄りの野党を与党にしなかった、自民党に票を入れ続けた日本国民の選択は実に正しい選択だった。
一時は国民的人気のあった社会党委員長土井たか子も「日本人拉致問題を無いものとする北朝鮮」を支持する立ち場を取った事で信用をなくし、フェードアウトした。
土井たか子のように、北朝鮮のような
独裁飢餓国家の本質を見抜けない人達が左派系知識人、マスコミ関係者に多くいた。
そんな人達が反自民、野党支持を唱えてきた訳だが、共産諸国崩壊や北朝鮮の実態が明かにされた事によって「偉そうに上から目線で語っていた彼らの方が間違っていた」という事が明白になってしまったのだ。

もう一つの柱が経済だ。
60年代、池田勇人の所得倍増論は、当初、とんでもないホラだと思われていたが、見事に目標を達成した。
そしてアジアではじめて、欧米諸国と肩を並べる先進国入りをはたした。
当然、そうした路線を批判し続けていた野党は信用をなくし、自民党への信頼は高まった。
これまで数々の汚職やスキャンダルがあっても、自民党が支持され続けてきたのは、経済の成長・安定と、世界情勢の中での国の立ち位置が間違っていなかったからだ。

自民がスキャンダルにまみれた時、よく左派系マスコミ人が「日本国民はすぐ忘れ(て自民党に入れ)る(馬鹿どもだ)からいけない」と言ったりするが、忘れてるんじゃない。冷静になっているだけだ。
落ち着いて考えれば、政治スキャンダルよりも、自分たちの生活に直結する経済や、国の安全に関わる情勢判断(国防)の方が大事だと思い直す訳である。

もっとも、政治スキャンダルを良いと思っている訳ではないので、支持政党なし層が増え続けてもいる。
また、野党第1党だった社会党も、社民党…民主党…民進党…立憲民主党と変わっていくうちに社会主義志向も消えさり(本家社会党を継いだ社民党はミニ政党にまで転落してしまった)、現実路線に少しは近付いてきたためもあって、1回やらせてみようという事で民主党時代に政権を取れたが、その時の手際の悪さで、やっぱり自民党だ、と逆戻りしてしまった。

しかし、経済の自民と思われていたのに「失われた30年」なんて言われるように長い経済停滞が続いている。
財務省の意向に沿って「緊縮財政」路線を続けて来たからだ。
もはや官僚の「言いなり口パク操り人形議員」ばかりとなったかのように見える自民党。
「いつまでも護憲を柱にしているお花畑野党」じゃダメだが、現実的な中道勢力が出てくれば、これまでどおり自民に入れ続ける保証はない。
今回の2024衆院選がいい例だ。

立憲と国民民主が大勝したが、両党がこの先順調に拡大していくのか、懸念もある。

立憲は、比例区の得票は微増程度で、自民の敵失で勝っただけだ。
護憲や反原発の支持者は徐々に減っていくだろう。
来年は「護憲堅持派」と「護憲やーめた派」(ここで笑わないとアト笑う所ありません)で分裂するのではないだろうか?  
国民民主の支持率が高いままなら、ヤメ派はそこに合流するだろう。

国民民主は今から来年の参院選までが正念場だ。ここで期待に応えれば、さらなる飛躍で自民に次ぐ勢力を目指せる位置につくのではないだろうか?

自民党支持層で今回棄権に回った方々は、チトお灸を据え過ぎたかと思い、次回は戻ってくる可能性が高い。
自民は今回以上に負ける事はないと踏んで、来年、衆参同時選挙で過半数回復を狙ってくるだろう(情勢にもよるが)。
それを国民民主や維新のような中道勢力が阻止し、かつ、そこから安定した政治が続けられれば、自民党に入れ続ける時代が終わる可能性が出てくる。

自民と「ゆ党」の政策連携では、お花畑のお好きな高踏選民の青木様にとってはご不満でしょうが、「自由主義社会を否定する共産党」と連携するような立憲が与党になるような事があってはならないと、劣等賤民の私は思うのであります。

……と言う事で、今日はここまでにしておきます。
長々とお付き合いいただき、有難うございました。










 

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