25周年企画「町田PCマップ2022」調査手帳
今回は、ようやく公開出来た「2022年版町田PCマップ」について、2021年末と2022年8月にマップ作成のためのショップ取材で見て回った感想を諸々書いていく。かつて「抜き打ち価格調査」の記録では、編集後記的に「調査手帳」という記事が有り、それを踏襲するものである。
ヨドバシとビックの気になる差——小田急百貨店町田店問題
かつて、ソフマップ西友町田店閉店レポート時も書いたのだが、ビックカメラ町田店の人の入りが気になる。いや、家電量販店というのは意外と人がわんさかわいているということはなく、常に人が溢れているのは(極論を言えば)ヨドバシアキバと梅田ヨドバシくらいである。ヨドバシカメラ新宿西口店だって、日曜日といえど存外ひとはそこまで混んでおらず、実は快適な買い物が出来る。とはいえ、ビックカメラ町田店は、夜時間帯でも休日日中でも空いている。
小田急百貨店は日曜日の夜のレストラン街も空いていた。百貨店のレストラン街というのは2極化しており、昔ながらに週末の食事時ともなれば椅子に座って待つ全ての店で溢れているところもあれば、がらんがらんで名店を並ばずして複数人で食せる穴場な百貨店もある。……後者はよろしくないのであるが、小田急百貨店町田店は半分くらいの店が日曜夜の食事時でも空いており穴場を見つけた気がしてしまった。町田だと車社会で家族連れはそちらへ流れがちで、駅前地区も激戦区で老夫婦層の選択肢は散らばっているのだろう。若年層データ需要は百貨店とは縁遠いし。ただ、久美堂から入れ替わった紀伊國屋書店や、無印良品も同じかというと違う。3階あたりにある小田急百貨店ゾーンはそれ相応なのだけども、同じ旧来百貨店で比べればそこまでというものではない。
ビックとして、町田は柏や調布に及ばず、イトーヨーカドー上のたまプラーザといい勝負かもしれない。同じ駅上でもさくらやの居抜きで出店したビックカメラ相模大野店の方が人が入っていた印象すらある。このあたりビックカメラ単独の力で如何ともし難いところであり、周辺の同種店舗の状況とも相まって、商業施設自体の集客力・その施設で好まれる商品カテゴリーの問題があり、施設担当者も小売業担当者も悩める問題である。……小売業担当としては、出店戦略にかかる部分であろうが。
町田ビックはソフマップでもつ?
逆にビックはやばいのか、もう打つ手がないのかというとそんなこともない。ビック別館で気になったのは、ソフマップの法人営業部のチラシ。中古PCの法人販売、意外と引き合いがあるのではと思わせる。残念ながら世の中経費削減しか考えておらず、経費削減して仕事をなった気になっている輩で溢れている。業務用PCのメモリをケチるなといっているのははてなブックマークくらいのものである。業務PCのグレードを落とし、セキュリティソフトでPCを重くするのが昨今のトレンドである。そんな世知辛い不調の中では、中古PC、リファービッシュPCに引き合いがあるのではとも思う。IT企業なんかで使うリースアップのPC流れなどは、Excel方眼紙を作るぶんには十分だったりもするだろうから、需要を満たす企業群も多摩地区には多いのではないか。中古PCのライバルと言えばじつはヤマダ電機だったりするが、LABIは立川までなく、この期に及んでもソフマップが町田では幅を利かせているなんて妄想も働くところである。
ヨドバシ町田からPCパーツ売場が消えた
さて、一人勝ちとも言われるヨドバシカメラマルチメディア町田。駅からの客も自家用車で乗り付ける客も多く、郊外型のヨドバシのなかでもなかなかに盛況のように見える。だが、そもそもパソコン関連売場は開店当初と比べても減っているのではないか。家電売場が黒物も白物も拡大してきているように見える。あとは、携帯電話売場が拡大した影響もあるのだろう。
そんなこんなでなぜかプリンタインク売場は30年前の3倍くらいに広がっている気もする一方で、PCパーツ売場はなくなったのではないか。ドスパラもあり、パソコン工房まできた現在にとってはグリスやクーラーすらも置いてあるように見えないのは妥当なところのようにも思える(もっと売場を探せばあるのかも)。
Mac売場とWindows PCの売場が1階と2階で別れてしまっているのも痛いところである。いろいろな行きがかり上やむをえない措置であろうが…今のご時世、ショップに来てWindowsにするかMacにするかという人はいないのだろうか。いないかもしれない。
それでも、ネットワークルータや外付けHDDは町田で一番の品揃えなので大切なショップであることは揺るがない。
往時の「女性客もいた」という記述と今
過去、「MACHIDA PC MAP」ではちらほらと「女性客もいた」という記述がショップ紹介記事やニュースに書かれている。今の時代書いたらNGかもしれない。だが、当時私がよく読んでいたアスキー系雑誌にも同様の記事は散見されていた。実際、その通りで男子学生服を着た中高生はいても、セーラーやブレザーの女子学生はPCショップに皆無だった。女学生だけでなく、OLふうのひともいなければ、池袋系のオタク女子(いわゆる腐女子)もPCショップ界隈には現れることは1990年代にはなかったかと思う。秋葉原だと稀にオタ彼氏とセットで来る彼女さんはいたかもしれないが……MACHIDA PC MAPを更新していた頃の私は、男子校通いの高校生だったから、PCショップに女性客がいたときのビットはより一層だったとは思う。それが記述にも現れていたのだろう。
ただ、女性がいないのはPCショップだけではなかった。1990年代は、それこそ吉野家や松屋にすら女性客は見かけなかった。その割に、平日の昼間にスーパーマーケットにいくと女性しかおらず、学校で習う男女共同参画社会とは何ぞやと疑問に思ったものである。だが、その後2010年くらいまでには、それこそ吉野家や松屋に女性一人客は何らの違和感も無くなったし、強力な男女共同参画社会の要請の結果夫婦共働きも増え、少子化にも関わらず勤め人は増えて小田急線の混雑率もコロナまで落ちることはなかったのである。
パソコン誌やMACHIDA PC MAPの1990年代の記録は、当時の男女性差をうかがい知る史料となり得よう。今回の取材でもショップブランドPCについて熱心に質問されている女性客はいた。が、ゲーマーからYouTuberまで、マシンスペックの必要性はそれこそ男女差が無い。来客の性別に関係なく、応対そのものが問われるシーンであり、実際「町田PCマップ2022」では「女性客もいる」という記述は無い筈である。これは私の状況の変化もあるかもしれないけども。
住所表記に苦戦
過去のMACHIDA PC MAPは、町田旭町から相模大野・南町田まで対象としており、秋葉原に対して背伸びしたかったことが伺える。相模原市は政令指定都市になり、緑区・中央区・南区に別れており、住所表記は必ず変更になっている。現状、アーカイブスとしての公開ポリシーからすると、住所表示は「公開当時のもの」で良いため、わざわざ修正することはない。
だが、Googleマップに落とし込むにあたり、緯度経度情報が必要となる。そこで苦戦してしまった。
まず、相模大野近辺のショップは閉店しており、かつ過去の記録も記憶もあやしい。ごく一部、公式の変換表でも出てこない住所すらある。そもそも、そのショップの情報も過去のマップ以上の情報は薄く、関連情報がないので難儀した。
さらに問題は南町田のMac駅(マックステーション)で、ここはそもそも実在したという記録が、ノジマの企業沿革とMACHIDA PC MAPくらいしかない。にもかかわらず、南町田周辺は住居表示が実現されており、住所が変わってしまっているのだ。
こういうときの頼みはGoogleストリートビューだが、2010年くらいからしか分かりようが無い。結果、町田市公式に過去住所と住居表示比較地図があり解析できたが、逆に「こんなところにあったのか」と不安になるような記憶しかない。
町田周辺のパソコンショップですらこんなんだから、世の中のありとあらゆる平成の記録なんてもう曖昧なんだろうな……と「完全近現代史年表」に関わっている身としては頭が痛い。
今後のMACHIDA PC MAP
UTF-8化など、一定のモダン化がようやく出来たのであるが、まだまだスマートフォン対応でCSSに手を加えるべき箇所は多いというところ。
加えて、過去のアーカイブページも、160ドット×120ドットの写真がgifファイルで公開されている現状であるが、VGAサイズまでは写真があるのだ。手を加えようと思えば行けるのだが、時間との勝負といったところの作業量となる。もっと言えば、何年かに一度定点観測的に写真を撮っているので、公開していくのが筋とも言える。これも、時間との勝負である。
尤も、こう個人Webサイトが消滅して言っている昨今、とにかく公開を継続していることが意義だよなと思う。引き続き整備には力をかけていきたい。
……といったことを書いていたら、10/1に筆者のAndroidスマホに変わりゆく町田の街並みさんや開店閉店さんの記事が流れてきた。タイムリーだなというか、証文の出し遅れともいうか。内容は悔しいのでここには書かないので、リンク先サイトで当たってみてほしい。