MACHIDA PC MAP作者が「神奈川県町田市」について思うこと
序論
MACHIDA PC MAP作者として言う。町田市は東京都である。断じて神奈川県ではない。
「神奈川県町田市」というのはネタであるが、おそらくは以下の人たちが言っているのだろう
関東圏以外の人間が単に面白がって言っている
横浜市民が勢力拡大のために言っている(横浜による侵略)
もっと言う。町田市は東京であるが、登戸、向ヶ丘遊園、新百合ヶ丘だって東京である。相模大野や海老名、座間、大和だって東京である。相模川を渡ったら神奈川県と言っても良い。本稿でそのあたりをたらたら述べていく。
なぜ町田市は神奈川県と言われるのか
小田急町田駅を出て直ぐのマクドナルドは古くからあるマクドナルドで、私個人も小学生の時町田に行ったときにはよく行っていたマクドナルドだ。人生の中で5番目にお世話になった店舗かもしれない。そのマクドナルドのクーポンは確かに神奈川県と東海地方で使えるクーポンがあったと記憶している。
市外局番が相模原と一緒なのは事実である。でも、「042-7」であって、市外局番ベースでみると相模原も東京都ということになる。
町田と横浜の接点と言えば、東名高速の「横浜町田IC」だろう。ここは個人的に自分もお世話になることの多かったインターだ。国道16号の渋滞にうんざりするのも共通経験が醸成されるポイントだ。でも、それは神奈川県民に限ったことではない。
やはり一番大きいのは、町田市域から東京都に出るときは、神奈川県を通らないと出られないということが大きいのだろう。実際、東京都だけで町田駅へ出るルートは相模原町田経済新聞にも掲載された多摩境からのバスルートくらいになる。
そのバスですら「神奈川中央交通」じゃないかという話はある。
首都圏民のアイデンティティとは
町田市が神奈川県を超えないと東京都に行けないのはほぼ事実である。しかしここで注意しなければならないことがある。1都3県の都道府県に対するアイデンティティは、他府県民の想像以上に存在しないものである。千葉県における「新東京」は数自体も多く、千葉への帰属意識はチーバ君と千葉ロッテマリーンズくらいかもしれない。埼玉は1都3県の中ではむしろ埼玉県民アイデンティティが強いかもしれないが、それは「ださいたま」とこれまで1都3県ヒエラルキーが本当に高くなかったことと表裏一体である。そして、多くの神奈川県民だって、首都圏・東京にアイデンティティがあるのではないか。唯一、横浜市民を除いて。
横浜市民だって、その多くは東京に通勤・通学しているはずなのである。しかし、横浜で育つとプライドが高くなる。江戸とは成り立ちが違っていて、横浜開港由来の街であるがゆえである。いくら、江戸(東京)の外港として出来たんですよねとか言っても言うだけ無駄である。横浜市民は神奈川とくくられるのが嫌である傍ら、神奈川県は横浜のものというきらいがある。横浜が神奈川の下位概念に括られるのは嫌うが、横浜の下に連なる神奈川が広い分には良しとする。横浜市民としての傾向もあるが、もっと面倒なのは横浜市内でも、ほんとうの横浜エリア(西区・中区を中心とした)と、田園都市線沿い・港北ニュータウンではまた勝手が違うというところだ。共通するところもあれば、横浜でなく渋谷を向いているかもしれない。
そう、1都3県のアイデンティティは、通学・通勤に用いている鉄道路線沿いに成り立っていくのではないのか。町田市内でも多摩境らへんであれば、京王線へ帰属意識が生じる。京成民、東武民、東上線民、西武民(新宿線と池袋線では違うが、所沢でクロスすることもあり統合されるところもある)、京王民、小田急民、田都民、東横民。京急は東海道線と一体なので上大岡から先の横須賀・三浦半島で特殊だが、「神奈川県町田市」がネットで盛り上がるときはこのあたりの言及が飛び出ることが少なく、ネタトークだから当たり前だろという話はさておきも、むしろ「小田急国町田市」の方が正しい気もしてならない。
町田市民が新宿や渋谷に吸引されることがあっても、横浜に吸引されることは少ないのでは、と考えている。たしかに横浜線で1本ではある。しかし、電車で30分。それならば新宿の方が近い。町田は純然たる小田急勢力下の町である。それこそ、横浜との接点は横浜町田IC以上のものはない。否、最近であれば「ららぽーと横浜」「トレッサ横浜」は町田市域よりも近いからお世話になることはあるかもしれない。だけども、「イオンモール座間」だって「ららぽーと海老名」だってあるのだ。みなとみらいや中華街にお世話になることはあるかもしれないが、それこそ副都心線直通で埼玉から来る観光目的の人々とフラットな立場でしかない。
結局、コロナ禍でも1都3県は一蓮托生ということが再認識されてしまった。都道府県境を跨いだ移動自粛ということについて、1都3県間では原則的に困難である(守谷市や取手市も苦しい)。都道府県境を跨ぐ列車の流動が圧倒的に低い地域がごしゃまんとあることに、1都3県民は逆にびっくりするのではないか。私なんかも6年間中学高校毎日多摩川を渡って通っていたが、毎日県境を越えるというのが常識の枠外である地帯は本州にだって存在する。
「神奈川県町田市」は1都3県でひとつ(一部横浜市民のアイデンティティはともかく)という前提に経ったネットのネタと言えよう。もしかしたら東京都から引き釣り落とせれば快なりという話はあるのかもしれないが、町田でdisられるべきは町田市立陸上競技場(町田GIONスタジアム)のアクセスの悪さである。
さいごに
かつて、「すごすば町田市」というサイトがあった。今でこそ町田市情報は「変わりゆく町田の街並み」さんの独壇場だが、1990年代はそれこそ町田市情報のは前にも後にも「すごすば町田市」であった。そのサイトで「相模原町田市」構想というネタ話が掲載されたことがあった。当時流行りだしていた市町村合併ネタ関連で、相模原市民は「<相模原・町田>市」と読む・町田市民は「<相模・原町田>市」と読むという体裁であった。各種の諸々が凝縮された論考で、失われて残念でならないコンテンツだ。コヤマさんはお元気だろうか。