人間ってなんだろうと思うから人間
人間ってなんだろう。
考えはじめてから、もはや数十年。もちろんこんなこと考えているのは私だけではない。いや、遺伝子的に先人たちの疑問を受け継いでいる人は世の中にごまんといる。だからこの難問を解く探求は止まらない。
本当、人間ってなんだろう。
今は会社勤めはやめたけれど、在職中ずっとつきまとっていた「あれ?何かちがう」という疑問符。
転職しようが、昇給しようが、出世しようが、その疑問符は無くならない。
新しい目標を設定して、クリアしても何をやってもつきまとう。おかしいな。
目の前にやることがあれば、それを片づけて家に帰って(まあ、たまに寄り道もしたが)テレビか動画を見ながらご飯を食べて、スマホで何かしてお酒飲んで眠る。
それを繰り返して、たまの休みには友人とあって話したりするが、最後は結局お互いに抱えてるネガティブな悩みを愚痴って「よかった、みんな同じだな」と自分を納得させて帰宅する。
翌日くらいは、まあいい気分で過ごせるけど、またあの「あれ?やっぱり何かちがう」という疑問符が浮上する。
そんなことしばらく続けていたら、耐えられなくなってきた。
毎日、ひたすら仕事して経済活動に参加することが「人間」の本質の一部なのだろうか?
だとすれば、なぜコンピューターやロボットや人工知能を開発して、人間の仕事を奪うのか?
本末転倒だし、そもそもやっぱり何か違う。経済活動は普遍的なものではないもん。たぶん本質とは異なる。
人間は本来、他の動物と変わらない地球上の生物なだけのはずだ。身体的に備わった標準装備は、自力で食料を調達するには脆弱すぎるので、代わりに発達した脳がある。
「あれ?何かちがうよね」というこの感覚こそ、人間独自の性質で、発達した脳による余計な効果なのだと思う。
それが自我。「人生」というストーリーを創り出すためのシステム上の存在。
人間に自力はない
非二元(ノンデュアリティ)のメッセージをはじめて聞いたのはそんなこと考えていた頃のこと。
ご多聞にもれず、私も精神的な苦しさからスピリチュアルな何かに救いを求め、最終的にたどりついたメッセージだった。
というか、スピリチュアル的(目に見えないなんらかのエネルギーの類)な入り口から、非二元のメッセージにたどり着くまで、ものすごい誘われ感があった。
はじめて聞いた時、これは般若心経のことを言っているのでは、とピンときた。お釈迦さまだけではなく、多くの宗教の本来の神や、宇宙について言っているように感じた。
探すと結構いろんな人がそれを伝えている。何度か聞いているうちに、一瞬意識がブラックアウトしたり、二日ほど怖れや不安のない状態になったり、ささいな一瞥があったりした。
もちろん、それはただのプチ体験だったけど。
「自分」という存在はない。元々だれもいないし、何もない。全てが全自動で起きているだけ。そしてそれらは完璧に起きている。
ああ。なるほど。
なるほど、と思ったけれどなんのことやら、思考では理解できない。理解できないのに、ああ、そうだと思える。人生という幻想の物語も宇宙の不思議も説明がつく。
やっぱり人間は、他の動物同様に、自然の現象であり、言ってみりゃあ自然の摂理そのものであり、自然界が進化しているほんの一部でしかない。
なぜか、人間だけが自我が発達し「自分がここにいて自分で選択して、自分が人生(あるいは社会)を創っている」という物語を創作してしまうらしい。
映画マトリックスのコンセプトはあながち嘘ではなく、どこか真実めいた事実が垣間見えるからこそ、20年近くもヒットしているのだろう。
自我は比較する。時系列で並べ立てる。善悪を判断し優劣をつける。
アダムをイブが食べたのは善悪を判断する「自我の実」そこから人類の苦悩は始まったと言われている。
もともと「ひとつ」の意識だったのに、自我が善悪をジャッジして世界を二元化してしまった。
だから、人類には幻想の二元の世界があって、そのベースには何もない「空」といえるひとつのイノチであり、それが本質であることを忘れてしまっている、ということ。
自我による巧妙なトリック。
それはきっと人間が弱い生きものだから
人間は強い爪も牙も持っていない。
毛皮も羽毛も持っていない。
飛ぶことも早く走ることもできない。自力で獲物をとることができない。
暑い季節や寒い季節に、そのままの姿では生きていけない。
腐ったものや毒物を嗅ぎ分けられる嗅覚も、数キロ先を見渡せるような視覚もない。
このままだと、自然界で生きられない。人間はもともと弱い生きものだから。
だから脳が発達し、そして自我が進化した。
でも。
自我が人生というストーリーを創作しておいて、その中で自我自身が苦しんでしまうという。
まだまだだ、もっとだ、もっともっと頑張って何かを掴め!と。
なんだこれ。なんだかとっても自虐的なループね。ドMか。
非二元や悟りのスピーカーたちが、口を揃えて「身も蓋もない」というのはこういうことなんだ、おそらく。
※という悟り的テーマですが、なんだか関係ないけど可愛いおもちゃのイラストが描けたのでアップします。