Career Creation STORY #18:株式会社山口土木 山口潤さん
今回インタビューをさせていただいたのは株式会社山口土木でご活躍されている山口潤(やまぐちじゅん)さんです。山口さんは工業高校に進学し、卒業後は土木の世界に入り、転職などを経て、現在は土木管理職として現場監督や若手の育成をされています。
インタビューでは、山口さんの学生時代、現在のお仕事、過去から現在に至るまでのキャリアやこれからのキャリア、仕事のやりがいや大変なことなどについて伺いました。
学生時代について
―まず初めに、山口さんの学生時代について教えてください。
学生時代は親が自営業で土木をやっていたこともあり、土木科がある工業高校に進学し、土木系の資格をすべて取れるように努力をしていました。また、学生時代は人見知りだったこともあり友達が少なかったですが、卒業後は同じ職種や違う職種の同級生との交流を経て、学生時代の時よりも社会人になってからの方が仲良くなれる人が増えました。
―土木の資格を所得することは難しいのではないかと私は思っているのですが、具体的にどのような土木の資格を取得されましたか?
在学中は実務経験の必要のない資格や*測量士補といった資格を所得しました。しかし、施工管理の資格は実務経験が必要なので、社会人になってから所得しました。
*測量士補
測量業者に従事して測量を行うために必要な国家資格
―就職活動はどんな感じでしたか?
工業高校に通っていたので、地元の企業とのつながりが強く、そのご縁で就職する人が多かったです。私もそのうちの1人でした。なので、一般的な就職活動はしていないです。
社会に出てからでもやりたいことは見つけられる
続いて、現在のお仕事についてお伺いします。
―最初に山口さんが土木に携わろうと思ったきっかけは何ですか?
実は、学生時代は土木に携わろうとはあまり考えていませんでした。ただ、働いているうちに、ドローンを使った測量の勉強をしていくうちに、すごい面白いなと感じるようになり、やりたいことも増えてきました。社会に出てからいろいろなことを経験していくことでやりたいことが見つかるんだなと感じました。
―ズバリ、現在の山口土木株式会社へ入社しようと思った決め手はなんですか?
親が土木をやっていたというのが主な理由ですが、高校を卒業したら一度は、他の会社で現場の経験を積みたいと昔から思っていたので、最初の5年間は別の会社で色々な経験をさせていただき、その後、ドローンなどの最新技術を取り入れている山口土木株式会社で、自分も最新技術を学ぶために入社しました。
―土木事業部に属されていると伺っていますが、普段はどんなお仕事をされていますか?
会社としては道路や公共工事、下水道などを行っていて、民間工事では、住宅や工場、店舗の造成工事や基礎工事などを行っています。うちは下請けから始まったというのもあり、下請けの大変さを身に染みて感じているので、自分たちで手を動かして作るということを忘れないために、下請けはほとんど使わず、現場管理や施工管理、工程管理、原価管理などもすべて会社のみで行っています。また、私が主に担当しているのはドローンや*3Dレーザスキャナーを使った測量です。
*3Dレーザースキャナー
対象物にレーザー光を照射することで得られる反射光の戻ってくる時間とレーザーの照射角度から、対象物の3次元座標を所得することができる方法で、現場での作業時間の大幅な短縮や安全性がとても高いといった特徴があります。
―山口さんが働いて感じる山口土木株式会社の魅力はどんな所ですか?
職人が多く現場で色々な経験を積むことができるのが大きいと思います。
また、他社とは違い、うちは*作業員と管理者が一緒になって汗をかきながら仕事をしているので、そこがこの会社の魅力だと思います。
*一般的な中小企業では時期によって工事の量が異なったり、工事の効率をよくするために下請けと管理者が別々になっています。
―ここ数年、新型コロナウイルスによって様々な影響がありましたが、土木の業界はいかがでしたか?
業界としてはけっこう影響があったみたいですが、今のところうちはありがたいことに仕事もあり、そこまで影響は受けていませんね。
ただ、現在は回復してきていますが、他の会社の方からは民間工事だと新しく工場を建てるということや、家を建てたいという人が激減したという話を聞いています。
また、公共工事は国や都道府県などの行政府などが行う工事なので民間工事とは違い税金が使われているため徐々に影響が出てくるのかなと気にしています。
―コロナ前と仕事のやり方などは変わりましたか?
コロナ前と比べると、役所での立ち合いが減ったり、メールでのやり取りが増えました。また、zoomなどのオンラインを使って進捗状況を報告するといったこともしているので、もちろん、オンラインで楽になった部分もあります。しかし、やはり現場を直接見るということがこの業界では最も大切なことなので、そこは今後も大切にしていきたいです。
―続いて、仕事でのやりがいを教えてください!
やはり、目に見えて作ったものが残ることですね。
完成したものを見たときに一番やりがいや達成感を感じます。また、民間工事では、お客様と関わるので、お客様に作ったものが喜んでいただいたときも達成感を感じます。
土木工事は建築工事とは違ってその地形や自然に合わせたものを作らなければいけないので、図面通りのものを作れば終わりという感じではなく、図面では書き表すことができないような細部のおさまりなどに少し工夫を加えて作ったり、雨や台風などの気象条件やそれによって引き起こされる災害が発生したときには、その影響に合わせて作っていく工程を変えていかなければならないなどといった様々な要因があって、様々な障害を乗り越えた先に完成をしているところを見ると達成感を感じます。
自然との闘い
―山口さんが仕事で大変だと感じるのはどんな時ですか?
現場では屋根がないので雨や夏の暑さ、冬の寒さといった自然と常に闘っています。また、現場では雨が降ったらどのように水が流れてくるのかの予測をしたり、ゲリラ豪雨などの対策をしなければならないので、急に雨が降ってくると大変ですね。また、街中での現場も多いので、工事をする前にご挨拶はするのですが、近隣住民の方からのクレームもあるのでなるべく迷惑をかけないように少しでも振動や騒音を減らす機械を使って仕事をしています。
土木は一番古い技術
―山口さんにとって土木とはなんですか?
社会の基盤を作るための技術なので、やっぱり一番大事なところなのかなと思います。また、私は、土木は一番古い技術だと思っています。そのため、歴史があると思っていますし、現在その歴史の一番先頭に立って仕事をしていると思うとワクワクしますね。
社員の負担が軽くなるような会社を作っていきたい
―山口さんの今後のキャリアビジョンがあれば教えてください!
土木業界は、休みが少なく、残業も多いので人手不足が近年ずっと課題だと言われています。また、私はそれに加えて、若手の育成が一番の課題だと思っています。
うちの会社だと、50年以上、土木の仕事に携わっている社員もいるので、もちろんそういった熟練の技術者も必要ですが、育成には時間が掛かるのでドローンなどの最新技術を用いた測量や現場ではバックフォーでの自動化(マシーンコントロール)などに取り組んでいって、なるべく人が少なくてもやっていけるようになっていくのが一番いい形なのかなと思います。
こうしていくことでうちの社員の負担が軽くなると思いますし、自動化を進めることによってより良い働きやすい会社を作っていきたいと考えています。
―具体的にどういった働きやすい会社を作りたいですか?
機械が現場の作業を自動でやってくれると大変ありがたいですし、人も少なくてすみますし、結構残業も多い職業です。なので、なるべく残業を減らそうとしていて、現在、建設業界は週休二日制を推し進めていてうちでも各週土曜日は休みにしていたりといった面で働きやすい且つ社員を大切にする会社を作っていきたいと思っています!
―最後に学生へのメッセージを一言お願いします!
自分が社会人になって思ったことですけど意外と学生時代にやりたいことがなかったり、見つからなくても、気負いしすぎず、興味を持ったことをやってみて、社会に出て働いてみるとやりたいことが結構見つかると思います!
インタビュー後記
今回のインタビューを通して、山口さんが土木という仕事に誇りをもっていらっしゃることが伝わってきました。
私は、土木という仕事は道路や水道などを利用するすべての人の「毎日」を作る仕事だと思っていましたが、道路や水道だけでなく、小学校や災害対策へも手を加えられていることを知り、場所を利用する人だけでなく、すべての人が安心・安全で過ごすことのできる「毎日」を作っている決して欠かせない縁の下の力持ちの仕事だということに気づきました。
また、土木業界は、長年積み上げてきた技術や体力が必要な仕事だと思っていましたが、お話を伺って、今はドローンなどの最新技術を取り入れつつ、若手と熟練の技術者が一緒に働ける環境が整ってきているということを知りました。だからこそ、土木業界の現状を若い世代に知ってもらうことの大切さを改めて感じました。
そして、インタビュー当日は、最初は緊張していましたが、山口さんが気さくに接してくださり徐々に緊張もほぐれ、インタビューをさせていただくことができました。私は、初対面の人へ話しかけることが苦手なのですが、今後は山口さんのように積極的に周りとコミュニケーションをとっていきたいと思います。今回のインタビューは、将来土木に携わろうと考えている私にとって本当に貴重な体験となりました。改めて、お忙しい中インタビューを受けてくださりありがとうございました。
(インタビュアー:ECCL修了生 大学2年 山田健太郎)