安倍前首相の訪台で引き起こす化学反応


安倍前首相が訪台の意向


台湾の李登輝元総統が死去して、約1年が経ちました。生前から交流があった安倍前首相は、お墓参り含めて台湾を訪問したい意向との報道がありました。

実現できたとしたら、国際社会へ大きなメッセージになることでしょう。

パイナップル

そのメッセージとは、台湾が国際社会の中で、国として認知される大きな一歩を踏み出すということです。

当然、中国の反発は予想されることです。

台湾は日本にとって、地政学上重要な場所に位置しています。中東からの石油などの重要物資が、台湾海峡を通ってきます。日本にとっては、極めて重要な海上交通路となっているのです。


中国の正当性


中国がそもそも台湾に関して、過敏に反応するのでしょうか。それは歴史を見ると、一目瞭然となります。

1912年、清王朝が滅びたことに端を発します。

中国国民党と中国共産党の内戦が勃発します。中国の歴史を見ると、常にこの内戦の繰り返しをしています。現在の共産党体制が、長く続くとは考えられない根拠ともなっているのです。

そこへ日本が中国大陸へ侵攻することで、中国国民党と中国共産党は一時休戦し、共闘することになります。歴史の教科書で学んだ、いわゆる国共合作です。

日本が敗戦となり、再び内戦が勃発します。当時のソ連の援助もあり、物量に勝る中国共産党が次第に優勢となり、中国国民党は敗走を続けます。結果的に大陸を後にして、台湾へ流れつくことになるのです。

1949年に中華人民共和国が建国。

当時は、アメリカの自由主義国側とソ連の社会主義国側の対立、いわゆる冷戦真っただ中でした。中華人民共和国は、社会主義国側。自由主義国側は台湾を支持して、国連も台湾を承認することになったのです。

中国が国際社会の中で勢力を増してくるに従って、そのバランスが崩れてくるようになったのです。

1971年に中国が国連へ加盟。同時に台湾が国連を脱退。

1972年にアメリカのニクソン大統領が、中国を電撃的に訪問して国交樹立。中国の影響で、自由主義側の国々と台湾は国交断裂し、一つの地域となったのです。

中国政府は事あるごとに、一党支配の正当性を強調します。それはこうした台湾との歴史があるから。また正式な国としての正当制が、台湾にとってかわられる危険性があるからなのです。

それはとりもなおさず、中国共産党の崩壊、一党独裁の終焉につながることになります。


中国の今後


2022年2月、冬季北京オリンピックが開幕する予定です。国の威信をかけて、開催へとこぎつけるでしょう。別の言い方をすると、成功するために様々な妥協をするということでもあります。

先に述べた安倍前首相の訪台についても、反発はいつものトーンに比べて弱いものになるはずです。巷間言われている、台湾進攻についても北京オリンピック閉幕まではないはずです。

共産主義の価値観が、なぜ中国社会へ広まったのか。それは権威と平等の価値観が、共産主義の理念と合致したからではないでしょうか。昔の強権的な皇帝と民衆、現在の共産党の圧政と民衆みたいな関係。

現在の中国は世界第二位の経済大国となり、国民もまだまだ一部ではありますが豊かになりました。通信インフラも整備され、あらゆる情報にアクセスできています。

こうした豊かさは中国の力の源泉となっていますが、逆に中国共産党一党支配の終焉に近づく要因になっているものと考えます。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?