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都知事選(7月7日投票)後、ひっそりとアップされた神宮外苑再開発取消請求の決定

2024年3月18日のこの記事は、ロッシェル・カップを原告団長とする、東京都に対しての「神宮外苑再開発事業認可取消等請求」が最高裁まで特別抗告されたが、却下されたことを報じるもの。たしか最終的に司法がどう判断したのかは、産経新聞しか報じていない。

あなたと蓮舫の約束。

都知事選で蓮舫さんが選挙の争点として、一度立ち止まって住民投票しようと主張したのが最後の盛り上がりだった。
その後は、あれだけ騒いでいた人たちもだんだんと言及しなくなった。

こっそりアップロードされた地裁決定書

さて、都知事選の投開票がすんだ後、7月10日にひっそりとアップロードされた書類がある。2023年3月31日にでた地裁の決定書と8月22日にでた、抗告に関する高裁の決定書である。
インターネットアーカイブの履歴をみると、地裁の決定から1年と4ヶ月もの間、アップロードされずにいたことがわかる。

東京地裁の決定書のアップロードは2024年7月10日
高裁の決定書のアップロードも2024年7月10日

なぜ、1年以上も公開されなかったのか。

ほんとうの理由は、原告団長のロッシェル・カップさんに聞くしかない。
傍から想像するには、地裁・高裁で原告の主張がほぼ全部認められなかったことがわかれば、神宮外苑再開発運動は道理が通らないことが広く知れ渡ってしまうからだろう。
原告の主張は、主に以下の4つだろうか。

  • 住民の景観利益が損なわれる

  • 環境影響評価書が誤り(日本イコモスの緊急提言を証拠に)

  • 工事中の騒音

  • 風量の変化

詳細はCALL4のウェブサイトのページ「神宮外苑を守ろう訴訟|100年の歴史と3000本超の樹木を未来へ」で確認していただきたい。

以下は、事業者が調査・作成し、環境影響評価審議会が認めた環境影響評価書に関する、地裁の判断を記した箇所である。(一部、改行、太字をくわえた)

加えて、本件事業の認可に先立って行われた東京都環境影響評価条例(昭和55年条例第96号)2条3号に規定する事業段階環境影響評価(以下「本件影響評価」という。)によれば、本件事業の工事完了後も緑地の量に大きな変化がないこと(緑の体積は約34万6000mから約33万1000mに縮減するが、中央広場の造成等により緑被率は16.0%から19.6%に増加するとされている。360頁の表8.6-37)、植栽樹も存置又は移植によって極力保護し(既存木を伐採する場合には、同等の本数を新規に植栽するほか、樹木の移植又は新植に当たっては、植付けに適した時期に留意するとともに、事前に適切な時期に必要に応じて根回しを行うとされている。335頁)、4列のいちょう並木を全て保存する上、同並木東側の緑地(本件アパートの西側に隣接しており、ケヤキやクスノキ等の高木や下草から成り、動植物の注目される種が確認されている。)は引き続き保全することが計画されているほか、樹木の生育や活着の状況のモニタリングを継続して実施し、樹勢の変化等に対し樹木医等の専門家の指導を仰ぎながら対応を行っていくことが計画されていることなども踏まえ、「新宿苑から赤坂御用地へ連続するまとまりのあるみどりの骨格を形成する神宮外苑の豊かな自然環境は維持・保全される」とされている(疎乙10の1)。

これに対し、申立人らは、本件影響評価について誤りがあるとの申立外ー般社団法人日本イコモス国内委員会による「緊急要請」との書面(以下「緊急要請書面」という。)も提出するが(疎甲.24)、一部、本件影響評価が不十分ないし前提事実を誤認していると考えられる点を具体的に指摘しているところはあるものの、それが本当に不十分ないし誤認に基づくものかについてはなお慎重な検討が必要である。

例えば、緊急要請書面が本件影響評価における「致命的な間違い」であるとする建国記念文庫の森の群落区分について、本件影響評価は落葉広葉が優占する植栽掛群とするのに対して緊急要請書面は常落混交林としているが、本件影響評価も、当該森が「掛高の高いケヤキなどの落葉樹の下にシラカシなどの常緑広葉街が成立する常緑落葉混合林で構成された階層構造を有するまとまった林帯」であることは前提としているのであり(310頁(ウ)1)、記載の上では両者の事実認識が相対的な差異を超えるものとまでは認め難いし、緊急要請書面がシラカシやスダジイの実際の高さは本件影響評価(310頁)における建国記念文庫の森の植生断面図(図8.6-5(1)の右側)よりも大幅に高いから上記断面図は「完全に間違っている」とする点についても、現地で確認したとするにもかかわらず写真等の根拠資料は添付されていない上、上記断面図のうち左側の図面ではシラカシャスダジイは右側の図面よりもずっと高く、緊急要請書面が主張する高さと同じかこれに近い程度に記載されていることなどからすれば、緊急要請書面の記載内容を踏まえても、本件影響評価が不十分ないしその前提事実が誤っていると直ちに認めることはできない。

なお、申立人らが主張するとおり、本件影響評価は反対意見があったことを踏まえて慎重な審議をされたことがうかがわれるが、最終的には環境影響評価審議会において了承されていることに鑑みても、そうした審議の経緯からその内容に直ちに疑義を差し挟むことができるものでもない。

以上からすると、景観利益の観点から本件事業の認可による重大な損害を避けるため緊急の必要性を基礎付ける事実の疎明はないというべきである。

令和5年(行ク)第41号執行停止申立事件
(本案・令和5年(行ウ)第95号神宮外苑再開発事業可取消等請求事件)
決定
 より

まとめにかえて

この訴訟とその決定書面の内容と公開時期について思うところを書いておく。

  • CALL4という”“社会課題の解決を目指す訴訟(公共訴訟)”の支援に
    特化したウェブプラットフォーム”を利用して、金銭的支援を得ながら、訴訟資料を1年以上も更新しないのは不誠実

  • 環境アセスに問題ある、景観が損なわれる、騒音、風量に問題があると、2023年から2024年にかけてたくさんの投稿が多数の人からなされたけれども、この地裁、高裁の決定があったことにダンマリを決め込み、放置していたことも不誠実

  • 日本イコモスは環境影響評価が「虚偽」であるとまで主張している。この主張に関しては、なんらかの形で釈明する必要がある

  • 国際影響評価学会(IAIA)日本支部は、環境アセス手続きに不備があると指摘している。これに関しても、地裁、高裁決定に関して釈明なり、反論なりをしないと組織の存在意義に関わるのではないか

以上

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