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怒髪天

進化するということはある個体そのものが変化することではなく、長い年月をかけ、世代を経て変化することです。また決まった方向に向かっていくこともないため、どのような形質がその種と環境とを適応させるかわかりません。

毛針

 ハリネズミやヤマアラシなど、いくつかの生物は体毛を太くし、針状にして身を守っているものがいます。これらの針は体毛が針化しているので、皮膚や毛と同じケラチンでできています。
 また毛であるため毛周期もあり、定期的に針毛が抜けます。この抜け毛の先端は鋭い構造をしているため、ペットとして飼う場合、抜け毛が刺さらないよう床に注意するべきです。
 また、ヤマアラシはトゲを飛ばして攻撃すると言われていましたが、そのようなことはなく威嚇のために毛を逆立てるだけです。

 ほ乳類の進化の中で体毛が針化することは、多くの種で見ることができ、ハリネズミやテンレックなど別の環境で進化してきたにも関わらず、見た目や機能がとても似ているものがあります。
 近縁でない種がある要因に対し、同じような形態的特徴をとるように進化してきたことは非常に興味深いです。

 ちなみに、我々脊椎動物の器官形成の制御で重要な役割を担う遺伝子に”ヘッジホッグ(ハリネズミ)”という遺伝子があります。また、動物は体の作り方がよく似ており、昆虫でも魚でもヒトでも同じ遺伝子が体の前と後ろを決めるのに関係しています。何十億年もの昔に得られたシステムを全く系統の異なる種が使っているため、これがとても堅実な発生方法だとわかります。
 このように見た目だけでなく、どのように形が作られたかという視点で生物を見ることも楽しい観察法ではないでしょうか。

参考文献

http://www.nikaido.bio.titech.ac.jp/about.html
https://www.nikkei-science.com/page/magazine/1005/201005_030.html
http://imoto-inage-ac.com/2018/07/3125/
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141218/428914/


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