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あの高山広作・一人芝居「さくらばあちゃん」が10年の月日を経て一冊の絵本に~2023年10月13日発売へ

あの高山広作・一人芝居「さくらばあちゃん」が10年の月日を経て一冊の絵本に~2023年10月13日発売へ
 
【”Grandma Sakura” Will Be Picture Book Released October 13, 2023】
 
10年。
 
ひとり芝居の匠、高山広さんが東日本大震災に衝撃を受けて2013年に作った創作ひとり劇『さくらばあちゃんのいる街』が初演から10年経った。その物語がこのほど絵本になり、2023年10月13日発売されることになった。
 
これは、2011年3月11日に起きた東日本大震災を受け、2013年初頭一人芝居の高山広が企画制作、2013年3月10日南三陸町・志津川にある社務所で午後2時過ぎから初めて演じた芝居で、そのときはラジカセ一台のみ、照明もなく、たったひとりでラジカセのスイッチを押したりしながら演じたもの。
 
ストーリーはこうだ。
 
とある街の桜の木と黒いカラスの黒木(絵本ではトビオ)が主人公。黒木とさくら・ばあちゃんとの交流で物語が進む。いじめられっ子だった黒木は、街を出て一旗揚げる。何年かして故郷に戻ると311で、さくらばあちゃんがいた場所が何もない津波野原(焼野原ではなく)になっていた。そこで茫然とする黒木…。黒木のさくらばあちゃんへの思い、さくらばあちゃんから学んだことを淡々と振り返る。
 
高山さんによれば、「その志津川は最初に行ったときは本当に何もなく、そして津波で多くの人が亡くなった場所。そこで亡くなった人のために、演劇をplay演じるのではなく、pray 祈るつもりでやっている。だから観客が一人もいなくてもやり続ける」と語る。
 
その後ブラッシュアップした形で、同年6月仙台で2日間、さらに8月神奈川県・川崎アートセンターでほぼ完成したヴァージョンで公演。以後、311前後に定期的に再演しているもの。
 
まさに311への高山広なりの鎮魂歌だ。



 
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■一人芝居が絵本に
 
この311鎮魂歌の物語が絵本になった経緯はこうだ。
 
高山さんが通っていた「シナリオ・センター」(東京・青山)時代の先輩であり、ヴェテラン脚本家の清水有生(しみずゆうき)さんが、家族とひとり芝居をいくつも見ており、「さくらばあちゃん」を見て、これは子供用の絵本になるよね、と話をしていたことがきっかけ。清水さんは息子さんと2017年3月11日麹町リンクで行われた高山さんのひとり芝居「オフィス劇励」演目のラストで「さくらばあちゃん」を見て、絵本化を思い付いたという。
 
この清水さんは鎌倉・腰越で「江ノ島ともだち幼稚園」(旧・鎌倉幼稚舎幼稚園)を運営しており、この度、その園で書籍出版部門を設立することになり、その出版第一弾としてこの「さくらばあちゃん」を出したいとの意向を強くもたれ、高山さんに相談したことから話が進んだ。
 
以前高山さんも鎌倉幼稚舎幼稚園時代にこれではないが、別の一人芝居をやったことがあるという。
 
高山さんのひとり芝居の物語をベースに、なんと各シーンの絵も高山さんが描いている。
 
そして、その版元からのあいさつ文(清水有生さん執筆)、絵本の巻末に収録される「宣言書」がすばらしい。
 
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「鎌倉の小さな幼稚園から発信する一冊の本・宣言」 (清水有生・著)
 
こどもの持つ可能性は永遠であり、無限だ。
その可能性に手を差し伸べ、大海原へと誘うのがおとなである。
しかし、その可能性を小さな箱に閉じ込めて海の底へ沈めてしまうのもおとなだ。
 
おとなは常にこどもに成長を求める。
 
こどもに成長を求めるならば、おとなは自らも成長しなくてはならない。
 
私たちは幼稚園を巣立ってゆくこどもに声をかける。
 
小学生になる君へ
 
小学生になって、足し算が苦手だったら、字を書くことが上手な人になってください。
 
字を書くことが苦手だったら、歌を上手に歌える人になってください。
 
歌が苦手だったら、誰よりも速く走って運動会でヒーローになってください。
 
走るのが苦手だったら、虫について詳しい人になってください。
 
虫が苦手だったら、花を咲かせるのが上手な人になってください。
 
花が苦手だったら、生き物を育てるのが上手な人になってください。
 
生き物が苦手だったら、机と椅子を自分で作れる人になってください。
 
それが苦手だったら、美しい景色を絵に描ける人になってください。
 
絵が苦手だったら、たくさん給食を食べる人になってください。
 
それが苦手だったら、クラスでいつも面白いことを言ってみんなを笑わせてください。
 
それが苦手だったら、本を読んでください。たくさんたくさん読んでください。
 
そこで私たちは自らに問いかける。
こどもたちにどんな本を読めというのだと。
その答えにたどり着くには、私たちはこどもから多くのことを学ばなくてはならない。
 
その学びの中から、私たちはこどもを理解し、お互いが成長し、想像力を高めていく。
 
そして、その先にこどもと力を合わせて作った一冊の本が存在する。
 
そんな理想を鎌倉の小さな幼稚園から発信するものである。
 
2023年8月31日
江ノ島ともだち幼稚園 ENOTOMO
 
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アマゾン

 
出版社 ‏ : ‎ 江ノ島ともだち幼稚園 (2023/10/13)
発売日 ‏ : ‎ 2023/10/13
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 38ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4866420243
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4866420240
寸法 ‏ : ‎ 18.2 x 25.7 x 1 cm
 
影が真っ黒だということで気味悪がられ仲間はずれにされているカラスのトビオ。その様子を見つめている桜の老木、さくらばあちゃん。ある日、トビオに話しかける。「あなたには誰よりも強い光が当たっているのよ」毎日さくらばあちゃんから励まされ逞しくなっていったトビオは、生まれ育った街を離れ別の場所で幸せに暮らす。数年後、ばあちゃんに会いたくなり故郷の街に戻ってみると、街は大津波に流され、ばあちゃんの姿も消えていた。嘆き悲しむトビオの耳にさくらばあちゃんからのメッセージが聞こえてくる…。
 
出版元・版元ドットコムのサイト
 
さくらばあちゃんのいる街 高山 広(絵・文) - 江ノ島ともだち幼稚園 | 版元ドットコム

 
さくらばあちゃんのいる街
命とは、生きるとは、カラスと津波で流された老桜の、愛の物語
 
高山 広タカヤマ ヒロシ(絵・文)
発行:江ノ島ともだち幼稚園
発売:ポット出版プラス
B5横 38ページ 上製
価格 1,500円+税
ISBN978-4-86642-024-0
ISBN 139784866420240
ISBN 10h4-86642-024-3
ISBN 104866420243
出版者記号86642
CコードC8798
8:児童 7:絵本 98:外国文学、その他
 
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出版記念公演、2023年12月に仙台、東京・代官山で敢行


 
料金・開演時刻・配信あるなしなど詳細は後日発表。とりあえず、日程と会場だけきまりました
 
■仙台公演
 
タイトル さくらばあちゃんのいる街・出版記念公演
日時 2023年12月6日(水)
会場 仙台市宮城野区文化センター・パトナシアター
〒983-0842 宮城県仙台市宮城野区五輪2丁目12−70
電話: 022-257-1213

JR陸前原ノ町駅からも徒歩1分
 
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■東京公演
 
タイトル さくらばあちゃんのいる街・出版記念公演
日時 2023年12月26日(火)
会場 晴れたら空に豆まいて・東京代官山
〒150-0034 東京都渋谷区代官山町20−20 モンシェリー代官山B2
電話: 03-5456-8880

 
 
各会場で絵本・販売、サイン会実施。
 
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■高山広・「さくらばあちゃん」過去関連記事
 
高山広~おキモチ作戦「劇励」~さくらばあちゃんのいる街
2013年08月29日(木)

 
高山広|さくらばあちゃんのいる街~311関連再演+あいまいな劇薬
2020年02月25日(火)

 
高山広・311鎮魂歌『さくらばあちゃんのいる街』
2020年03月12日(木)

 
〇高山広・311鎮魂歌『さくらばあちゃんのいる街』いよいよ明日14時46分から配信
2021年03月10日(水)


 
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野田雅也さんの写真展~311、船大工にフォーカスして~写真のあちこちにあふれるソウル
2023年4月16日

 
写真家野田雅也さんが311で被災した船大工を中心にした写真展を開催~写真集も発売
2023年4月8日

 
ニューヨーク・タイムズの震災写真~「ソウル」の二重露光
2011年03月26日(土)

 
 
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ENT>BOOK>Hiroshi, Takayama
ENT>ONE MAN PLAY>Takayama, Hiroshi>Grandma Sakura
 

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