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フィリップ・ウー、11回目の誕生日ライヴ~2024年

(本記事は、最後まで無料で読めます)

フィリップ・ウー、11回目の誕生日ライヴ~2024年
 
【Philip Woo’s Annual Birthday Live At Blues Alley Japan】
 
11回目。
 
2011年6月から2019年6月まで毎年6月末に行ってきた日本在住のファンキー・キーボード奏者でR&Bグループ、メイズ・フィーチャリング・フランキー・ベヴァリーのキーボード奏者でもあったフィリップ・ウーの恒例誕生日ライヴ。2020年からコロナ禍のために中止となっており、2023年4年ぶりに再開。それから1年後、通算11回目の誕生会ライヴが目黒ブルースアレイで行われた。フィリップ・ファンで会場は超満員。前回あたりから、なぜかやたら外人客が多く、日本人は若干肩身が狭い。(笑) 
 
いつものレギュラーメンバーを軸にシンガーでガオ(GOW)というフィリピンとアイルランドのハーフで日本在住のシンガーが参加。初めて見た。ちなみにクロエ・キブルはちょうどニューヨークに行っていて、日本不在。リンはこのところすっかりフィリップ・バンドのレギュラー。最近はスガシカオさんのコーラスにはいっているそうだ。ほかにトロンボーン(女性)、トランペットが初お目見え。3菅になると、アースの曲やファンキーな曲が実に映える。
 
選曲とそのオリジナル、当日、リードを取ったヴォーカリストの名前など詳細は下記セットリストを参照。
 
いずれにせよ、こうしたソウル・ヒットを生バンドで聴かせてもらえるというところが、頼もしい。リック・ジェームスの「ギヴ・イット・トゥ・ミー・ベイビー」などを生で聴けるなどというのは、「トップ40バンド」「カヴァー・バンド」も経験してきたフィリップならでは。そして、その選曲がかなりマニアックで珍しい。
 
リンが歌った「ベスト・オブ・ユア・ハート」などは、ルーファスの1978年の『ストリート・プレイヤー』のアルバムにひっそり収録されている曲だ。シングルカットされていない。わからなかったので、例によってライヴ後、フィリップに尋ねた。




 
Rufus : Best Of Your Heart

 
フィリップがときおり、楽曲の想い出を話すあたりもいつもながらにおもしろい。
 
タワー・オブ・パワー曲が2曲あるが、フィリップによれば、「自分自身の音楽キャリアの中で、タワー・オブ・パワーのキーボードの代打でグループと一緒にプレイできたことは一生の誇りだ。(グループの)キーボード奏者、ロジャー・スミスから電話が来て、タワー・オブ・パワーとプレイしないか、と言われた。これはまるで夢が実現するような出来事だった。彼の妻がとても重い病気になり、死にそうなので妻のそばにいたいので、(日本ツアーを)代わりにやってくれないか、というのだ。その電話があったのが、木曜だった。『ショーはいつからだ?』と訊くと、『土曜からだ』という。彼らが(僕について)知らなかったことは、僕が14歳のときから彼らの大ファンだったということ。子供の頃から、彼らを聴いてきた、そして、コピー・バンドでもやってきた。だから彼らの曲をやるのは、リハーサルがなくても、大丈夫だった。ほとんどの曲は知ってたんだ。『なんで、そんなに(プレイが)できるんだ』と驚かれたが、『さあね』と答えた」と思い出話を披露してから、タワー・オブ・パワーの曲を演奏した。セカンド・セットの6曲目とアンコール曲だ。
 
フィリップ。「ベース奏者は今でも生きている。ドラマーはリタイアした。彼らはオリジナル・メンバーだ。本当に素晴らしい気持ち、体験だった。まさに夢が実現した。もう一人、共演したい人物はカルロス・サンタナなんだけどね。(タワー・オブ・パワーは)ソウル・バンドで、いつもハモンド・オルガンがある。スティーヴィー・ウィンウッドを聴いたとき、僕はまだ子供だったが、彼はこんな曲をやっていた。(といって、スペンサー・デイヴィス・グループの「アイ・アム・ア・マン」のオルガンフレーズを弾く。この場の観客の反応はそれほどではなかったが…。) たぶん、僕は6歳くらいだったんじゃないかな。ああいうのをプレイしたいと思ったんだ。」
 
それがフィリップ少年の夢だった。その夢が50年以上経って実現したわけだ。「ほとんどの時間はそれほど素晴らしいわけじゃないが、そんな(タワーと共演した)瞬間は、ほんとうに僕の人生の中でもっとも素晴らしい瞬間のひとつだった。そういう瞬間があるのも、ステージで生きているのもすばらしい。今日はこうして誕生日を祝っていただき、このステージにいるミュージシャンみんな、来てくれたみんなに本当に感謝している。アシュトンはわざわざこのために、デトロイトから飛んできてくれたからね(拍手)」
 
その急遽参加したときのライヴ評はこちら。フィリップについての記述もある→
 
タワー・オブ・パワー(東京ジャズ パート7)~フィリップ・ウーが急遽参加
2012年09月18日(火)

 
このブログによると、金曜に連絡がきて、リハには参加できず、日曜の本番に、文字通り「ぶっつけ本番」で臨んだと書いてある。フィリップは「木曜連絡、土曜本番」と言っているが、まあ、似たようなものだ。(笑)
 
セットリストの楽曲で言うと、セカンド本編最後のエディー・ケンドリックスの曲など、日本ではほとんどヒットしていないので、知っている人のほうが少ないのだが、これは当時ニューヨークあたりのディスコで夜の深い時間帯に延々と12インチヴァージョンがかかっていた隠れディスコヒットだ。1973年2月からのヒット。当時、僕も日本のディスコでもかけようとしたが、日本ではテンポが遅すぎて、スローにとらえられ、ぜんぜん受けなかった。だが、この日、フィリップ・バンドのものを聞いていたら、途中から延々と同じリズム、ビートが続いていき、どんどんと高揚感が増していくという感触を得た。このノリがニューヨークのディスコに来ていた人たちに受けたんだろうな、と妙に納得した。それにしても、学ぶことが多いフィリップのライヴだ。
 
後日、下記セットリストのユーチューブをまとめる。
 
~~~~~
 
■セットリスト フィリップ・ウー・バースデイ・ライヴ@ブルースアレイ・ジャパン 2024年7月24日
 
Setlist : Philip Woo Birthday Live, July 24, 2024 @ Blues Alley Japan, Meguro, Tokyo
 
[ ] denotes original artist(s), ( ) indicate lead singer of this live
 
First Set
 
Show started 19:16
01. There Are Many Stops Along The Way (Instrumental) [Joe Sample]
02. Give It To Me Baby [Rick James] (Ashton)
03. Don’t Ask My Neighbors [Emotions] (Lyn)
04. Hello, It’s Me [Todd Roundgren, Isley Brothers] (Gerald)
05. You’re Number One In My Book [Gladys Knight & The Pips] (GOW)
06. Let’s Love [Ohio Players] (Ashton)
07. I Want To Take You Higher [Sly & The Family Stone] (All)
Show ended 20:13
 
 
Second Set
 
Show started 20:50
01. Across 110th Street [Bobby Womack] (Ashton)
02. I’ve Got News For You [Ray Charles] (Ashton)
03. You Belong To Me [Carly Simon] (GOW)
04. Best Of Your Heart [Rufus & Chaka Khan] (Lyn) (From Street Player)
05. Got To Get You Into My Life [Beatles, Earth Wind & Fire Version] (Ashton)
00.  A riff of “I Am A Man” [Spencer Davis Group]
06. Just When We Start Makin’ It [Tower Of Power] (Ashton)
07. Girl, You Need A Change Of My Mind [Eddie Kendricks] (Ashton)
Enc: You’re Still A Young Man [Tower Of Power] (All, Ashton)
Enc: Happy Birthday (To Philip)
Show ended 22:02
 
 
Members
 
(Key/Harmonica)Philip Woo 
(Vo)Ashton Moore
(Vo)Lyn Inaizumi
(Vo) GOW
(B)Zak Croxall 
(G)Hank Nishiyama 
(Ds)Gerald Painia 
(Sax)Harumo Imai,
(Tb)Kanae Haruki
(Tp) Joseph Motter
 
 
 
■フィリップ・ウー過去記事
 
 
フィリップ・ウー~4年ぶりバースデイ・ライヴ
2023年6月30日

 
フィリップ・ウー・セットリスト研究~オリジナルのユーチューブ動画を集めてみた
2023年7月1日

 
フィリップ・ウー、3年ぶりの自身名義ライヴ@四谷メビウス~クロエ・キブル登場
2022年8月3日

 
フィリップ・ウー恒例誕生日ライヴ(9回目)、6月27日(木)ブルースアレイで
2019年06月23日(日)

 
フィリップ・ウー恒例誕生日ライヴ大入り満員(8回目)
2018年07月02日(月)

フィリップ・ウー恒例誕生日ライヴ~マニアックな選曲で (7回目)
2017年07月04日(火)

いずれもセットリストなど詳細がでています。
 
フィリップ・ウー、還暦誕生パーティー・ライヴ(6回目)
2016年07月08日(金)

 
フィリップ・ウー・ライヴ ルーツ・ストーリー第5回
2015年07月03日(金)

 
チェット・フォーチューン・ライヴ~赤坂ムゲン、あるいは、ハーレムのライヴハウスを彷彿とさせるライヴ
2015年06月02日(火)

 
フィリップ・ウー・ライヴ~キーボード・ウィザードの「忘年会」
2014年12月28日(日)

 
2014年07月04日(金)
フィリップ・ウー・ライヴ~エンディア・ダヴェンポート・ゲストに迎え~ルーツストーリー4 (4回目)

(ライヴ評、ゲストにエンディア・ダヴェンポートが登場)
 
フィリップ・ウー・ライヴ~ソウル通をうならせる渋い選曲
2013年11月18日(月)

(過去記事一覧)
 
フィリップ・ウー・ライヴ~ルーツ・ストーリー・パート3 (3回目)
2013年06月29日(土)

 

 
チェット・フォーチューン
 
チェット・フォーチューン・ライヴ~赤坂ムゲン、あるいは、ハーレムのライヴハウスを彷彿とさせるライヴ
 
2015年06月02日(火)

 
フィリップ・ウー、ルーツ・ストーリー・パート2、6月28日に開催~日曜日インターFMに生ゲスト
2012年06月23日(土)

(ここにさらに過去記事リスト)
 
フィリップ・ウー、自身の40年の歴史を振り返る(1回目)
2011年07月01日(金)

 

 

 
ENT>LIVE>Woo, Philip
 

 
 
 

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