■■ソウル・サーチン・アーカイヴ・シリーズ 010 映画『ターミナル』~サインを求める57番目のジャズ・ミュージシャン■■
■■ソウル・サーチン・アーカイヴ・シリーズ 010 映画『ターミナル』~サインを求める57番目のジャズ・ミュージシャン■■
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(本作・本文は約4500字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字換算すると、9分から5分。いわゆる「音読」(アナウンサー1分300字)だと15分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください)
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父が大事にしていた雑誌エスクワイアにのったジャズ・ミューシャンの集合写真。父は一人一人サインをもらっていたが、1人だけもらえていないミュージシャンがいた。そのサインを求めに、主人公はニューヨークに旅をするが…。
2005/01/26 (Wed)
The Movie "Terminal": The Reason Victor Came To USA
(映画『ターミナル』についての感想文です。後半ネタバレになります。先入観なしにご覧になりたい方はご注意ください)
約束。
東欧の国クラコウジアからある目的を持ってニューヨークにやってきたひとりの男。その名はヴィクター・ナヴォルスキー(トム・ハンクス)。だが彼がジョンFケネディー空港に到着すると、彼の母国でクーデターが起き、アメリカとクラコウジアとの国交が断絶した。そのため、ナヴォルスキーは、アメリカに入国できず、しかも、母国に帰ることもできなくなった。彼はしばし空港内にとどまらなければならなくなった。
空港は様々な出会いが訪れる場所。まさに出会いの宝庫だ。そんな中で英語もおぼつかないナヴォルスキーにも様々な出会いが訪れ、ドラマが生まれる。美人のフライトアテンダント、アメリア(キャサリン・ズィータ・ジョーンズ)、国際空港の国境警備主任フランク(スタンリー・トゥッチー)などといったいどんなことが起こるのか。徐々に空港の人たちと親しくなり、友情が深まっていく。彼がいつも大事そうに持っている空き缶の中には何が入っているのか。
スティーヴン・スピルバーグ製作・監督のハートウォーミングな映画『ターミナル』だ。
予告編
The Terminal (2004) Trailer
https://www.youtube.com/watch?v=dgXyQUMRpj4
レンタルあるいは購入
https://www.youtube.com/watch?v=IVoLzA5ymLc
(以下、ネタばれになります)
さて、映画の最後のほうで、ヴィクターがアメリカにやってきた理由が明かされる。彼が常に大事そうに持っていた空き缶にその秘密があった。そこには、40年以上も前に雑誌エスクワイアーに掲載された一枚の大きな写真が入っていた。これは、1958年8月にニューヨークのハーレムで撮影されたもので、59年1月号の同誌に見開きで掲載された。被写体は、ニューヨークで当時活躍していたありとあらゆるジャズ・ミュージシャンたち。カメラマンは57人のミュージシャンを一堂に集めて大きな写真をとった。
ヴィクターの父はジャズ好きで、ここに映っている写真のミュージシャンすべてからサインをもらおうと考えた。しかし、父はひとりのミュージシャンのサインをもらう前に他界してしまった。そこで、息子は父の意志をついで、その最後のまだサインをもらえていないミュージシャンに会うために、ニューヨークにやってきたのである。そのミュージシャンこそが伝説のサックスプレイヤー、ベニー・ゴルソンだった。
東欧からの訪問者、ヴィクターにとってベニー・ゴルソンと会ってサインをもらうことは、父への約束だった。56人のサインのはいった写真を持って、ナヴォルスキーはライヴハウスで演奏している57人目のベニー・ゴルソンの元に歩み寄る。演奏を始めようとしていたゴルソンは、「サインはショウの後で」と答えて演奏を始める。演奏が終って、無事サインをもらえたナヴォルスキーは大喜びしながら、JFKに帰る。
僕は、こういうストーリーは好きだ。たくさんのアーティストが映っている写真にサインをもらい、最後に残ったアーティストのサインをもらう瞬間って、どんなものだろう。どれほど嬉しいことか。しかも、この場合、そのサインは父と息子という2世代に渡って、完成をみた。スピルバーグは実にうまい物語を作るものだ。職人芸の脚本、そして、もちろん、各俳優のうまさも充分でている佳作だ。
そして、そのベニー・ゴルソンが日本にやってくる。サインをもらいに行くしかないではないか。(笑)
(続く)
■ブルーレイ 『ターミナル』
https://amzn.to/3e01ULx
(1000円以下)
ENT>MOVIE>REVIEW>Terminal
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2005/01/27 (Thu)
57th Man Benny Golson Live At Blue Note
(昨日からのつづき)
57番目。
『ターミナル』効果があってか、ブルーノートは火曜日だというのにほぼ満員。『ターミナル』を見た音楽好きは、みなベニー・ゴルソンのライヴがあると聞けば来るだろう。(笑) 観客の中にはマーカス・ミラーの姿も見えた。僕がベニー・ゴルソン名義のライヴを見るのは初めて。
今回はドラムス、ベース、ピアノにベニーのサックスという4人編成。みなそれぞれ持ち場をしっかり守り、いい演奏を聴かせる。古いスタンダードナンバー「シュリー・ウィズ・ザ・フリンジ・オン・トップ」で始まったライヴは、2曲目の前でベニーがマイクを持ってこう話し始めた。
「昨年、私たちはスティーヴン・スピルバーグの映画に出演する機会がありました。映画は『ターミナル』というもので、撮影現場ではスピルバーグやトム・ハンクスたちと楽しい一日を過ごしました。それから帰ってきて、私たちはその映画出演に影響を受けて(インスパイアーされ)、アルバムを作ることにしました。そうして出来上がったのが『ターミナル1』です。そこから、タイトル曲をお送りしましょう」
実に渋い。落ち着いた音。ゆったりとした余裕の音だ。ベニー・ゴルソンは1929年(昭和4年)1月25日、ペンシルヴェニア州フィラデルフィア生まれ。ワシントンDCの名門ハワード大学で音楽を学んだという。さすがにインテリだけあって、司会も落ち着いた知性を感じさせた。そして、この日は彼の誕生日ではないか。
彼はさまざまなジャズの名曲を書いている。その中のひとつが「アイ・リメンバー・クリフォード」。さすがにこれは人気が高い。ひときわ大きな拍手が彼らを待ち受けていた。
ところで、彼がステージに上がっているところで、サインをねだる者はいなかった。(笑) ライヴが終った後、ドラムスのカール・アレンがカウンターのところにいたので声をかけた。「『ターミナル』のライヴシーンではあなたも一緒に演奏していたのですか?」 「もちろん、プレイしていたよ」 「あの撮影はどこで?」 「モントリオールだよ」 「へえ、撮影はどうでした?」 「みんないた。スピルバーグ、トム・ハンクス…。とても楽しかった」
映画ではニューヨークの設定だが、なぜか撮影はモントリオールだったというわけだ。
ベニー・ゴルソンのライヴ、それは57番目の男のライヴ。
Setlist:
show started 21:41
1. Surrey With The Fringe On Top
2. Terminal 1
3. Seven Minds
4. Along Came Betty
5. I Remember Clifford
6. Whisper Not
7. (Theme)
Enc.
show ended 23:14
メンバー。
ベニー・ゴルソン(サックス)、
マイク・ルドン(ピアノ)、
バスター・ウィリアムズ (ベース)、
カール・アレン(ドラムス)
Benny Golson(sax)
Mike LeDonne(p)
Buster Williams(b)
Carl Allen(ds)
ブルーノート東京で2005年1/24(月)~1/29(土) まで。
http://www.bluenote.co.jp/art/20050124.html
ベニー・ゴルソン 『ターミナル』
ターミナル
(2005年1月25日火曜セカンド、ブルーノート東京=ベニー・ゴルソン・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Golson Benny
■オリジナル・リンク
2005/01/26 (Wed)
The Movie "Terminal": The Reason Victor Came To USA
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200501/diary20050126.html
2005/01/27 (Thu)
57th Man Benny Golson Live At Blue Note
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200501/diary20050127-1.html
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