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マーカス・ミラー38回目2年ぶりの来日公演~メチュアな雰囲気とパフォーマンス (パート1)
マーカス・ミラー38回目2年ぶりの来日公演~メチュアな雰囲気とパフォーマンス (パート1)
【Marcus Miller Japan Live #38, First In Two Years】
44年。
1980年3月GRPオールスターズの一員として初来日を果たしたマーカス・ミラーがそれ以来、38回目の来日ライヴを2024年9月、ブルーノート東京などで行った。初来日から44年、前回来日はコロナ明けの2022年9月、ビルボードライブでのライヴ以来なので、約2年ぶり。44年間で38回の来日は、ほぼ毎年のようにやってきている感じだ。
すっかり安定のマーカス・ミラー節だが、今回は選曲のせいか、ちょっと落ち着いたメチュアな印象をもった。
たとえばビリー・コブハム作品のカヴァー「レッド・バロン」に続いて演奏されたのは、マーカスの奥さんのお母さん、バニーのために書いた曲。ステージでも「義理の母(バニー)のために書いた曲。僕たちはとてもすてきな関係だった」とその思い出を語りながら、演奏に入っていた。
そして、この日のサプライズは、なんとヴォーカル・ゲストで、ラリー・ブラッグスが登場したこと。ブラッグスといえば、ここブルーノートでもあのタワー・オブ・パワーのリード・ヴォーカルのひとりとしてよく知られる人物。彼の登場は、ブルーノートのホームページにもでていなかったので、タワー・オブ・パワーを知っている者からするとかなりのサプライズだったが、マーカスのファンにはそれほどサプライズではなかったようだ。マーカスに聞くと、「最後の最後まで、彼が来日できるかどうかわからなかったんだよ」という。そこで、来日メンバーには載せていなかったそうだ。アメリカのいくつかのツアーでは一緒にやっていたという。この日はアル・グリーン・メドレーを3曲ほど聞かせた。別の日は、アル・グリーン曲とドゥワップ・クラシックの「シンス・アイ・フェル・フォー・ユー」だった。ブラッグスはタワーとのライヴでは、かなりアップテンポの曲が多いので、こうしたしっとり、じっくり聴かせる曲を聴けたのはひじょうに嬉しかった。
そして、今年亡くなったデイヴィッド・サンボーン、マイルス・デイヴィスなどへのトリビュート。
Marcus Miller : Panther
Red Baron – Marcus Miller
MARCUS MILLER Laid Back Tour 2019 "Sublimity" (Bunny's Dream)
Marcus Miller, Orchestre Philharmonique de Monte Carlo I Loves You Porgy
Run For Cover – David Sanborn & Marcus Miller
Marcus Miller - Tutu
メチュアな落ち着いた雰囲気と感じたと書いたが、アップテンポのチョッパーベース(スラップベース)はもちろん健在。
よく考えてみると、彼の初来日1980年頃は彼も20歳そこそこ。今は60代にのっている。見るほうもスタンディングが厳しくなってくれば、やるほうもアップテンポの曲ばかりというのも大変かもしれない。年齢とともに、音楽の聴き方も、そして、アーティスト側のパフォーマンス自体も少しずつ変化しているのだろうということを図らずも感じてしまった。しかし、このようにミュージシャンの成長・成熟とともに、リスナーも成長・成熟していくのであれば、それは両者の素晴らしい関係性になっていくということも感じた。
マーカスはけっこういろいろなカヴァー曲をステージで披露してくれるが、ライヴを見ていて、マーカス・ヴァージョンのルーサーの「ネヴァー・トゥ・マッチ」が聴きたくなった。ブラッグスというシンガーがいるので、ここで「ネヴァー・トゥ・マッチ」を彼の歌でやってもいいのではないかと思ったからだ。そこで、ライヴ後、久しぶりにマーカスに会い、そのことを尋ねてみた。
(この項つづく)
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▢セットリスト マーカス・ミラー、2024年9月18日(水)
Setlist : Blue Note Tokyo, 9/18/2024
Show started 18:01
1. Panther [From “The Sund Don’t Lie”](1993)
2. Red Baron (Billy Cobham)[“M2”, 2001]
3. Sublimity (Bunny’s Dream) [“Laid Back” ] (2018)
4. I Loves You Porgy [From “Afrodisia”]
5. Al Green Medley : I’m Still In Love With You – Let’s Stay Together – Love And Happiness [Featuring Larry Braggs]
6. Run For Cover [Tribute To David Sanborn] [From David Sanborn “Voyeur” album, 1981]
7. Tutu [Tribute To Miles Davis] [From Miles Davis “Tutu” 1986, Marcus Miller “Tutu Revisited”, 2011]
Show ended 19:16
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MEMBERS
Marcus Miller(b) マーカス・ミラー(ベース)
Russell Gunn(tp) ラッセル・ガン(トランペット)
Donald Hayes(sax) ドナルド・ヘイズ(サックス)
Xavier Gordon(key) エグザヴィエ(ザビエル)・ゴードン(キーボード)
Anwar Marshall(ds) アヌワー・マーシャル(ドラムス)
Larry Braggs (vocal) ラリー・ブラッグス (ヴォーカル)
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マーカス・ミラー 形式: CD
LAID BLACK
マーカス・ミラー
ENT>LIVE>Miller, Marcus
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