アンドレ3000~フルート主体の全編即興ライヴ・レポート
アンドレ3000~フルート主体の全編即興ライヴ・レポート
【André 3000 : Improvised Live Session】
即興。
アウトキャストのアンドレ3000が、昨年(2023年)、フルートを主体としたインストゥルメンタル・アルバム『ニュー・ブルー・サン』をリリース。久々の来日となった今回は、このアルバムの延長線上にあるライヴ・パフォーマンスを見せた。初日ファースト(11月25日)を見た。
9割がた入っていて、圧倒的に外国人客が多い。驚いた。
『ニュー・ブルー・サン』の音源
アルバム New Blue Sun (87 minutes)
事前にこのアルバムを聴いていたというか、家で流していたので、なんとなく雰囲気は予想していたが、果たして、まさに一昔前で言う「ニュー・エージ」「インスト」、しかも、かなりアヴァンギャルド(前衛的)な出し物になっていた。
ステージにはアンドレのほか、キーボードとパーカションが2人の計4人だけ。それぞれかなりの数の楽器を用意し、その雰囲気、その場の空気で、自由自在に「音を出していく」。
おそらく、彼らは70分超のパフォーマンス中、2曲を演奏したと思うが、完全アドリブ(即興)、まったく事前の予定なしのもの。その瞬間の気分などで音を出す。
ライヴ後、アンドレ同行の関係者に話を聞くと、すでに80本くらいライヴをやっているが、すべて違う、すべて即興だという。彼女によると、アメリカではもう一人ギター奏者がいてオンステージは5人だが、今回ギター奏者はこの月末がサンクスギヴィングで家族と一緒にいたいために、不参加になったそう。アメリカでは90分超のライヴを行うが、ここでは2ステージあるために、70分程度のものを2回やることになった。
当初、アンドレたちの作り出すこうしたニュー・エージ的なサウンドが、1980年代にアメリカで大きな人気となったウィンダムヒル・レーベルのアーティストたちを思い浮かべた。
この『ニュー・ブルー・サン』のアルバムはアンドレ3000本人がこれまでにやってきた音楽に嫌気がさし、そうした音楽をまったくやりたくなくなったことから、こうしたものを作ったという。
そのパフォーマンスを見聴きしていると、ニューヨークあたりのカフェかなにかで行われるポエトリー・リーディングのときにバックで演奏を付けるようなバンドのパフォーマンスといった趣を感じた。
ステージバックには、円形のライトが並べられており、それがさまざまな色を出したり、点滅したりする。これは照明係も、インプロヴィゼーション(即興)でスイッチを操作しているという。
「ニュー・エージ」「前衛的」「ジャズ的」「インストゥルメンタル」…。静寂の中に、「ワビサビ」を感じた。
アンドレはたくさんのフルートをステージの上に置き、その瞬間の気分で好きなフルートを選ぶという。ほかにも多数の「音が出る物」を置いている。
こうした音に身を委ねていると、ゆったりとした絶景の中にある露天風呂につかっているような気になってくる。
即興演奏でいうと、僕はピアニストの故深町純さんのソロ完全即興を思い出すが、それ以来の体験になった。
ちなみに、アルバム『ニュー・ブルー・サン』は、来年発表のグラミー賞でなんと主要4部門のひとつ「アルバム・オブ・ジ・イヤー」、さらに「ベスト・オルタナティヴ・ジャズ・アルバム」「ベスト・インストゥルメンタル・コンポジション」の計3部門にノミネートされている。なにか取るような気になってきた。
帰りがけ、グッズ(マーチャンタイズ)販売に長蛇の列ができていた。
TシャツやCD、ヴァイナルなど
■ライヴは、2024年11月26日(火)27日(水)各18時、20時30分開演、2ステージ、入れ替え
チケットなど→
■セットリスト
André 3000, 11/25/2024, First Stage, Bluenote Tokyo
Show started 18:01
01. Improvised Instrumental #1
02. Improvised Instrumental #2
Show ended 19:14
MEMBERS
André 3000(fl)アンドレ3000(フルート、サックス、パーカッションほか)
Surya Botofasina(key)スーリヤ・ボトファシーナ(キーボード)
Carlos Niño(per)カルロス・ニーニョ(パーカッション)
Deantoni Parks(per)ディーントニ・パークス(パーカッション)
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New Blue Sun / André 3000
形式: CD MP3 ¥1,800
CD ¥3,004 より
ENT>LIVE>Andre 3000
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