〇続・クラレンス・リード~パクリ・オマージュのもろもろ
〇続・クラレンス・リード~パクリ・オマージュのもろもろ
【Clarence Reid : Homage or Ripp Off?】
オマージュ。
引き続き、クラレンス・リードについて。オンエアでは時間がなくて、ゆっくり話せなかったが、もともと有名曲の替え歌を作り、それを近所や家族などに聞かせていたクラレンス・リード。そうこうしているうちに曲作りの方法を学ぶわけだが、いろんなテーマや話のネタから自作曲を作り出すようになる。
そんなあるとき、テレビ司会者、ディック・クラークかなにかに、「どうだ、調子は?」と聞かれ「アイム・ドゥイーング・グッド(うまくやってるよ)」と答えた。その響きがよかったので、それにメロディーをつけて、ちょっとした曲を作った。
そして、それをとある有名アーティストに聞かせたところ、そのアーティストがその歌詞をちょっと変えて、メロディー・リズム・パターンはほぼそのままで、曲を作り替えた。それが「イッツ・ユア・シング」という曲で、これを出したのがアイズレー・ブラザースだ。
クラレンス・リードはこれを聴いて激怒。しかし、話はどうにもまとまらず、「イッツ・ユア・シング」はそのままアイズレーの1969年3月からのヒットになった。
そこで、クラレンス・リードはこれを元に自作曲(?)を作る、それが、番組でご紹介した「ノーバディー・バット・ユー・ベイブ」だ。これを聴いた方から、アイズレーの「イッツ・ユア・シング」に似てますね、とのメッセージをいただいた。そこで、この経緯をお知らせした。
ただ、クラレンスの「アイム・ドゥイング・マイ・グッド」を探すことができなかったので、「イッツ・ユア・シング」になる元歌が見つかっていないので、なんとも話としては説得力にはかけるのだが…。
The Isley Brothers - It's Your Thing (Official Audio)
CLARENCE REID - Nobody But You Babe
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一方で、クラレンスの「ファンキー・パーティー」は、もろアイザック・ヘイズの「シャフトのテーマ」である。
Clarence Reid Funky Party
Isaac Hayes ―Theme From Shaft
クラレンスからすれば、取ったり、取られたり、お互い様だろう、くらいの意識だったのだろう。
60年代から70年代にかけてはこのようなことがよくあった。ただし、ぱくった方が大ヒットになると、ちょっと問題になるが、そこそこだと裁判費用のほうがかさむから目をつむる、というパターンだ。
それはぱくりとオマージュの境界線にある出来事で、いい悪いは別にして、まあ、よくあることだった。
ところが2000年代にはいり、ぱくったほうが爆発的大ヒットになり、ぱくられたほうがおもしろくないと思うようになる事例が出始めた。
その典型が例のロビン・シックの「ブラード・ラインズ」とマーヴィン・ゲイの「ガット・トゥ・ギヴ・イット・アップ」の訴訟だ。僕は当初からロビン/ファレル側が最初からマーヴィン・ゲイのクレジットをいれておけばよかったという意見だったが、なぜかそうはしなかった。その結果、膨大な金額でマーヴィン・ゲイ側が勝訴する。そして、これを機に、ちょっと曲が似ていれば、訴訟を起こし、ちょっとしたパーセンテージが取れればそれでいいと考えるような案件が一挙に増えだした。
そういう意味では1970年代はまだまだのんびりとした時代だったわけだ。しかし、これは2000年代にはもう許されなくなっているのかもしれない。
といったあたりまで話をしたかったが、ちょっと番組内の時間では無理だった。
ENT>Ripped Off or Homage
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