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キャンディス・スプリングス(パート2)~ヴィンテージ・カー好き、次回作はビリー・ホリデイの『レディー・イン・サテン』をフルオーケストラを従えて

②キャンディス・スプリングス~ヴィンテージ・カー好き、次回作はビリー・ホリデイの『レディー・イン・サテン』をフルオーケストラを従えて
 
【Kandace Springs : Vintage Car Mania And Next Album Will Be “Lady In Satin” With Full Orchestra】
 
チャット。
 
ライヴ後、松尾さん、ケイリブらと上に上がるとわいわいした感じで楽屋が盛り上がっていた。カール・スターケンと前回会って話したのが2017年だから、7年ぶりということになる。キャンディスのライヴがずいぶんと自由にジャズっぽくなっていたので、すごく印象付けられたのが、カールは相変わらずだった。
 
ニューヨーク出身のケイリブとドラムスのキャミ―ル・ジョーンズはクイーンズ時代からの友人だという。えらく話がはずんでいたようだ。
 
キャンディスにはファンから車の模型がプレゼントとして届いていて、大喜びしていた。なんと、彼女は無類の車好き、それも、昔の車、ヴィンテージ・カーが大好物だという。自分でほとんどさび付いた車体だけを4000ドルほど出して買って、それを自分の車庫で組み立てから最後の塗装までなんでも自分でやってしまい、新品同様にしてしまうそうだ。それにしても、キャンディスが車好きというのはそのファンの方は知っていたわけだ。
 
カールによれば、「キャンディスは特にコロナの間、ライヴができなくなって、ずっと車をいじってたんだよ。最初は趣味でやってたんだけど、あちこちから、彼女がレストアした車を売ってくれという引き合いがきて、けっこう稼いでたようだよ」という。
 
キャンディスが、「これが最初の改造前、改造後の写真」とスマホの写真で見せてくれた。写真を撮り損ねたが、本当にさび付いた、ほとんど躯体だけのようなものを4000ドルも出して買って、それをいろいろと手がけて「新車」のようにしたそうだ。なんでこんな廃材みたいので、4000ドルもするの? と尋ねたら、「この時代のこの形のものが人気があるからさび付いてても、高いのよ」という。どれくらいかけて修理・レストアするのか尋ねると「私はけっこう早い方」だという。部品などが揃えば、ペイントを塗って完成させるまで一月はかからず、2―3週間でできてしまうらしい。カールが車庫に何台車があるか、教えてあげたら、というと、「車庫には、今は13台くらいしから」とのこと。一番古い車はと尋ねると、1956年のなんとか、と言われたが、そこが聞き取れなかった。きっと、ヴィンテージカー好きの人と話をしたら、かなり盛り上がるのではないかと思った。日本だったら、あの、大の車好きのシンガー、イクラさんあたりか。
 
 


(写真)
 
 
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カールが一方で、キャンディスの次作構想について話してくれた。なんと、昨年(2023年)の12月にポルトガルの60名を超えるフルオーケストラに誘われ、ビリー・ホリデイの1958年の名盤『レディー・イン・サテン』をキャンディスが歌うという企画を録音した、という。これが来年(2025年)4月にリリースされる。基本的には原盤に収められている12曲をフルオーケストラで録音した。これは、オーケストラをバックに観客をいれたホールで録音した事実上のライヴ録音だという。すでに、録音、ミックス、そして、ジャケット・デザイン、いくつかのビデオなどもできている。
 
カールによれば、「年が明けてすぐよりは4月くらいの方が、レコードは売れるんだ」という。いわゆるアルバムのティーザー(予告編)も見せてくれたのだが、それは、ビリーの『レディー・イン・サテン』のジャケットのビリーの顔がモーフィングでキャンディスに変わっていくというところから、フルオーケストラをバックにキャンディスが歌うシーンにつながっていく。これを見ると、相当期待が高まってしまう。
 
これを見た松尾さん、「このアルバムは名盤。僕は父から教わりました。ビリー・ホリデイのこのアルバム、曲はいろんな人がやってますよね。ミキ・ハワードも『ミキ・シングス・ビリー(ア・トリビュート・トゥ・ビリー・ホリデイ)』(1993年)というアルバムを出してました」と解説してくれた。
 
ちなみに、ビリー・ホリデイの『レディー・イン・サテン』の収録曲は次の通り。
 
Billie Holiday / Lady In Satin
 
LP Side One
 
"I'm a Fool to Want You" (Frank Sinatra, Joel Herron, Jack Wolf) – 3:23
"For Heaven's Sake" (Elise Bretton, Sherman Edwards, Donald Meyer) – 3:26
"You Don't Know What Love Is" (Gene DePaul, Don Raye) – 3:48
"I Get Along Without You Very Well" (Hoagy Carmichael) – 2:59
"For All We Know" (J. Fred Coots, Sam M. Lewis) – 2:53
"Violets for Your Furs" (Tom Adair, Matt Dennis) – 3:24
 
LP Side Two
 
"You've Changed" (Bill Carey, Carl T. Fischer) – 3:17
"It's Easy to Remember" (Richard Rodgers, Lorenz Hart) – 4:01
"But Beautiful" (Jimmy Van Heusen, Johnny Burke) – 4:29
"Glad to Be Unhappy" (Richard Rodgers, Lorenz Hart)– 4:07
"I'll Be Around" (Alec Wilder) – 3:23
"The End of a Love Affair" (Edward Redding) – 4:46 [mono only]
 
ビリーのアルバム全曲音源
 
Billie Holiday – Lady In Satin (Full Album)

 

 
Miki Sings Billie
Miki Howard

 
そういえば、この日、キャンディスは途中で観客に「『フォー・オール・ウィ・ノウ』か『ユーヴ・チェンジド』、どっちらの歌が聴きたい?」と尋ね、結局、その場では「ユーヴ・チェンジド」が少し多めの拍手を得て、それに決まったが、どちらもこの『レディ・イン・サテン』収録の曲だった。

キャンディスのこの『レディ・イン・サテン』、リリースされたら、彼女のキャリアにとってもものすごくターニング・ポイントの作品になるのではという予感がした。
 
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帰り際に「このアルバムでまた来日してください。東京のオーケストラとやるのでもいいでしょう」とカールに言うと、「そうそう、東京なら東京のオーケストラ、行く先々の全米、あるいは全世界の各地のオーケストラとやりたいんだ」と目を輝かせた。
 
まずは、アルバムがリリースされるのを楽しみに待ちたい。
 
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ドラムスのキャミ―ル・ゲイナーが数年前にだしたCDを持っていて、即売していた。それがこちら。
 

 
聴いてみると、なんと今は亡きバーナード・ライトが入っていたり、ヒップホップ調の曲があったり、生きのいいドラムスを聴かせていた。
 
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ベースのリアニー・マテーオはまだアルバムはないが、カールによれば、「いま、作っているところだ」という。
 
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コンパクトながらひじょうにタイトなトリオだった。
 
ENT>ARTIST>Springs, Kandace
ENT>LIVE>Springs, Kandace
ENT>ARTIST>Holiday, Billie
ENT>ARTIST>Jones, Camille
ENT>ARTIST>Mateo, Liany

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