〇マルコム・セシル(スィースル)84歳で死去~初期シンセサイザーのサウンド・プロデューサー、スティーヴィー・ワンダー『トーキング・ブック』などの共同プロデューサー
〇マルコム・セシル(スィースル)84歳で死去~初期シンセサイザーのサウンド・プロデューサー、スティーヴィー・ワンダー『トーキング・ブック』などの共同プロデューサー
【Malcolm Cecil Dies At 84 : Co-Producer For Stevie Wonder’s “Talking Book” Among Others】
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(本作・本文は約5000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字で読むと、およそ10分から5分。いわゆる「音読」(アナウンサー1分300字)だと17分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください)
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〇マルコム・セシル(スィースル)84歳で死去~初期シンセサイザーのサウンド・プロデューサー、スティーヴィー・ワンダー『トーキング・ブック』などの共同プロデューサー
【Malcolm Cecil Dies At 84 : Co-Producer For Stevie Wonder’s “Talking Book” Among Others】
訃報。
初期シンセサイザーで多くの作品を生み出したミュージシャン、プロデューサーのマルコム・セシル(発音はスィースル)Malcolm Cecil が2021年3月28日午前1時17分死去した。(死去場所は不明。ロスアンジェルスであれば、日本時間28日午後5時17分) 84歳。長く病気を患っていたという。
第一報は、ボブ・ムーグ・ファンデーションが日本時間3月28日午後10時13分頃ツイートした。
https://twitter.com/MoogFoundation/status/1376160613764841473
マルコム・セシルは、1970年代初期から登場し始めた大型シンセサイザーを使い、新しいタイプの音楽を作り出し、友人のロバート・マーグレフと組み、TONTO(トント="The Original New Timbral Orchestra")というシンセサイザー・ユニットを作り、1971年から75年までにアルバムを3枚リリースした。その最初のアルバムをスティーヴィー・ワンダーが気に入ったことから、彼らが以後のアルバムの制作にかかわり、中でも『インナーヴィジョンズ』(1973年)がグラミー賞の「レコード・オブ・ジ・イヤー」を獲得したことから、ロバートとマルコムのチームは一挙に知名度を得て、多くの仕事が舞い込むようになった。
ただ残念なことに、ロバート/マルコム・チームとスティーヴィーとの間で金銭面でトラブルとなり、彼らは一度袂を分かった。その後、ロバートとマルコムも音楽的方向性の違いで、別れた。
2人はそれぞれ、音楽、映画音楽、映像などの世界で現在まで活躍を続けている。
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評伝。
マルコム・セシル(スィースル)は、1937年1月9日イギリス・ロンドン生まれ。ジャズ・ミュージシャンとして1950年代後期にザ・ジャズ・クーリエーズというグループを結成、自らベース奏者として活動した。その後、ロニー・スコットなどのジャズ・グループに参加。アレクシス・コーナーとブルーズ・インコーポレーテッドを結成。1960年代後期にニューヨークに移り、ムーグ(モーグ)・シンセサイザーを作ったロバート・アーサー・モーグと友人だったロバート・マーグレフと知り合い、2人でシンセサイザーを使ったオーケストラ音楽を作ろうと、TONTO (読みはトント="The Original New Timbral Orchestra"の頭文字を取ったもの)というユニットを結成、アルバムを出した。
このその最初のアルバムをスティーヴィー・ワンダーが入手、自身がセルフ・プロデュースできるようになり、彼らに協力をあおいで共同でアルバム制作に入った。そしてできあがったのが、スティーヴィーの『ミュージック・オン・マイ・マインド(心の詩)』(1971年)、『トーキング・ブック』(1972年)、『インナーヴィジョンズ』(1973年)、『フルフィリングネス・ファースト・フィナーレ』(1974年)だった。『インナーヴィジョンズ』はグラミー賞の「レコード・オブ・ジ・イヤー」を獲得したことから、ロバートとマルコムのチームは一挙に知名度を得て、多くの仕事が舞い込むようになった。
スティーヴィー・ワンダーがプロデュースしたミニー・リパートンのエピックからのデビュー作『パーフェクト・エンジェル』(1974年)もロバート・マーグレフとともにかかわっている。
大まかにいうと、ロバートがエンジニアリング、録音の実践を、一方、マルコムのほうがより音楽的側面を担った感じだ。コンビの場合、こういう専門の振り分け(棲み分け)がいいコンビなのかもしれない。
マルコムは自身がベース奏者だったことから、無機質なシンセサイザーにグルーヴ感を生み出すことに執心した。
その結果、スティーヴィー作品の中のグルーヴ感あふれる作品につながった。
スティーヴィーの一連の作品のほか、クインシー・ジョーンズ、ボビー・ウォーマック、あいずレー・ブラザーズ、ギル・スコット・ヒーロン、ドゥービー・ブラザーズなど多数の作品にかかわった。
ただスティーヴィーとは、一連の作品を作ったうえで、レコードの印税を求めるために裁判を起こし、結局紙の契約書がなかったために、印税はもらえなかった。そこで彼らはスティーヴィーとは袂を分かつがその後、1990年代になり、『ジャングル・フィーヴァー』で再度手を組んでいる。
また、ロバートとマルコムも、あるテレビ・ライヴの会場で、観客が入ったことで室温があがったために音が思うようにでなくなったことから、争いとなり、2人もそれぞれ別の道を歩むことになった。
初期シンセサイザーといえば、日本の冨田勲さんがいるが、このマルコム・セシルらも、初期シンセサイザーでひとつの歴史を築いた人のひとりだ。
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集中力。
マルコム・セシルとロバート・マーグレフのTONTOのアルバムは、CDになってから買った。このシンセ・オーケストラのものを1971年に聴いて、これを作った人と一緒にアルバムを作りたいと思ったスティーヴィー・ワンダーも慧眼だ。しかも、それから3年半、そのスタジオで寝食ともにしてアルバムを作った彼らの集中力は本当にすごいと思う。
たとえば、1971年、マルコムは33~34歳、ロバートは30~31歳、スティーヴィーは20~21歳。何時間も寝なくても、集中できる年齢だ。
そして、今から思えば、シンセサイザーにあれだけのグルーヴ感を出したところが特筆すべきだと思う。1980年代になってヤマハのDX7が登場し、一挙にシンセの音が一般化して、そこで多くのミュージシャンがグルーヴ感の模索したが、その先を行っていたわけだ。ここでも文字通り先駆者だった。
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■主なディスコグラフィー
(ウィキペディアより)
Discography
As leader/co-leader
Solo
1981 Radiance
With TONTO's Expanding Headband
1971: Zero Time
1972: It's About Time
1996: TONTO Rides Again (compilation of above)
As sideman
1961: It's Morrissey, Man! – Dick Morrissey Quartet
1961: The Tony Crombie Orchestra
1961: Let's Take Five – Emcee Five
1962: Bebop from the East Coast – Emcee Five
1971: Where Would I Be? – Jim Hall Trio
1973: 3+3 – The Isley Brothers
1974: Live It Up – The Isley Brothers
1975: The Heat Is On – The Isley Brothers
1976: Harvest for the World – The Isley Brothers
1977: Motivation Radio – Steve Hillage
1978: Secrets – Gil Scott-Heron (with Brian Jackson)
1980: 1980 – Gil Scott-Heron (with Brian Jackson)
1980: Real Eyes – Gil Scott-Heron
1981: Reflections – Gil Scott-Heron
1982: Moving Target – Gil Scott-Heron
1983: Shut 'Um Down; Angel Dust (singles) – Gil Scott-Heron
1994: Spirits – Gil Scott-Heron
1996: A Jazzy Christmas – Bill Augustine
2009: A Jazzy Christmas 2 – Bill Augustine
2011: We're New Here – Gil Scott-Heron (with Jamie xx)
Production, etc.
As producer, programmer, and/or engineer:[9]
With Stevie Wonder
1972: Music of My Mind
1972: Talking Book
1973: Innervisions
1974: Fulfillingness' First Finale
1991: Jungle Fever
Various
Dave Mason – It's Like You Never Left (1973)
Mandrill – Beast From The East (1975)
Billy Preston – It's My Pleasure (1975)
Billy Preston – Billy Preston (1976)
Blood Donor – Rubber Revolution (1979 – from the album Blood Donor)
Savoy Brown – Kings of Boogie (1989 – recording engineer)
Mark Josephson – Dreamstate (1990)
Neil Norman - Greatest Science Fiction Hits lV (1998)
Pete Bardens – Watercolours (2002)
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