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〇『プリンス:ウェルカム・トゥ・アメリカ Welcome 2 America』いよいよ全世界同時発売~ライヴ映像を見て~プリンス関連話題まとめて

〇『プリンス:ウェルカム・トゥ・アメリカ』いよいよ全世界同時発売~ライヴ映像を見て~プリンス関連話題まとめて

【Prince : Welcome 2 America 】

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(本作・本文は約6000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字で読むと、およそ12分から6分。いわゆる「音読」(アナウンサー1分300字)だと20分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください)

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〇『プリンス:ウェルカム・トゥ・アメリカ』いよいよ全世界同時発売

【Prince : Welcome 2 America 】

同時。

2010年に録音されたものの、なんらかの理由でその発売がボツになっていたアルバム『ウェルカム・トゥ・アメリカ (Welcome 2 America)』がそれから11年を経て、2021年7月30日全世界で同時発売された。

このパッケージには、12曲入りのアルバム『ウェルカム・トゥ・アメリカ』のCD、ちょうどその頃行われた「ウェルカム・トゥ・アメリカ・ツアー」(トゥエンティーワン・ナイト・スタンド)の2011年4月28日、カリフォルニア州イングルウッドのザ・フォーラムで行われたライヴの模様をほぼ収録した映像ディスク(ブルーレイ)が収録されている。また、「スーパー・デラックス・エディション」では、これらの2枚のディスクの他に、2枚組の30センチ・ヴァイナル・ディスクが収録されている。

『ウェルカム・2・アメリカ 【完全生産限定盤スーパー・デラックス・エディション】(CD jpeg

未発表アルバム『ウェルカム・トゥ・アメリカ』は12曲収録。その中からすでに何曲かがこのアルバム発売に先駆けて音源が公開されたりしていた。

アルバムについては、例によってキッドさんのページがすでに詳しく紹介している。

https://npg-net.com/2021-04-10/

1.『ウェルカム・トゥ・アメリカ』は、プリンスの『ホワッツ・ゴーイング・オン』か?


一点だけ。

アルバムトップのタイトル曲「ウェルカム・トゥ・アメリカ」は、スタイリスティックスのヒット「ピープル・メイク・ザ・ワールド・ゴー・ラウンド」のベース・パターンをサンプリングしたものと思ったが、サンプリングではなく、弾き直しのようだ。確かに微妙に音が違っているが、スタイリスティックスを参考にしたことは間違いない。そして、プリンスがこのスタイリスティックスのファースト・アルバム(スタイリスティックスのすべてのアルバムの中で最高傑作)を死ぬほど繰り返し聴いてきたのは当然だろう。プリンスが自らファルセット的に歌う時に、このスタイリスティックスのファルセット、ラッセル・トンプキンス・ジュニアのことを意識しないことはないだろう。また、彼はこのアルバムに入っている「ベッチャ・バイ・ゴーリー・ワウ」もカヴァーしている。


https://www.youtube.com/watch?v=2owZXPyeilc

このスタイリスティックスの曲も、当時の時代背景を受けて、社会へのコメンタリーを歌に乗せている作品だ。マーヴィン・ゲイの「ホワッツ・ゴーイング・オン」や「イナーシティー・ブルーズ」などと同じ路線にある曲で、当時はそのあたりの作品がよくまとめて語られていた。

これが録音された2010年の状況は、結果的に2021年を予言していることになったが、この1971年頃の状況とも酷似している。いわゆる「ブラック・ライヴズ・マター」問題のきっかけとなるのは2012年2月のトレイヴォン・マーティン事件なので、2010年の時点でもまだこの「ブラック・ライヴズ・マター」現象は起きていない。おそらく、この2010年の時点でさえ、たとえば、1992年のロドニー・キング事件など、古くは1969年の全米各地の暴動のことなども頭にあったにちがいない。そうしたことすべてがこの「ウェルカム・トゥ・アメリカ」を書く大きなモチヴェーションになったのだと思う。

いわば、このアルバムは、プリンスにとっての『ホワッツ・ゴーイング・オン』(マーヴィン・ゲイ)だったのかもしれない。


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2.ライヴ・パフォーマーとして「ソウル・レヴュー・ショー」の伝統を受け継ぐ


伝統。

ここでは、この映像ディスク(ブルーレイ)に収められたライヴについて感想を述べたい。

このライヴは2010年12月15日ニュージャージー州イースト・ラザフォードから始まったもので、北米で51本、ヨーロッパで24本、オーストラリアで8本の計83本が、2012年9月26日まで行われた。このうち、21本がカリフォルニアのザ・フォーラムをベースに行われ、これが「21(トゥエンティ・ワン)ナイト・スタンドズ」と題された。通常の「ワン・ナイト・スタンド」を21本行うということからの命名だ。そして、このうちの2011年4月28日のライヴがこうして映像に収録されディスク化された。プリンスの大規模ツアーとしては約6年ぶりのものだった。

プリンス ライヴ イングルウッド、フォーラム

本来は、2010年7月リリースの『20Ten(トゥエンティーテン)』のアルバムをサポートするツアーだったが、徐々にそのコンセプトは変わり、プリンス関連作品のベスト・ヒット集的な感じになっていたようだ。

今回初めてこの映像を見て、やはりライヴへの思慕が募った。なにしろ、昨年からこの誰もが予期せぬコロナ禍により、ライヴに行くことも、見ることもできなくなってしまい、ライヴ自体へのあこがれの気持ちが鬱積しているところにこのライヴ映像だ。これはたまらない。いつも言われていることだが、プリンスのライヴ・アーティスト、ライヴ・パフォーマーとしての圧倒的な強さは言うまでもないが、ここでもそうしたライヴ・アクトとしての他の追従を許さない圧巻さには感銘させられる。それがこのコロナ禍でライヴに飢えている者にとってはなおさらだ。

このライヴでは自らのヒット、プリンス関連ヒット(ザ・タイム、シーラEなどのヒットを含む)のほか、広範なカヴァーが目に付く。このあたりは、プリンスが生きて、接してきた1970年代からの音楽を普通に聴いてきた人たちにとってたまらない。

いくつも見どころはあるが、「パーティマン」でのレディシーの飛び入りゲストには驚いた。プリンスとの息のかけあいも完璧。ギターとヴォイスのコール&レスポンスも最高だ。しかも、これがノークレジットなのが驚いた。

何人ものシンガーやダンサーを従えたショーは、何度も書いているが、かつてのジェームス・ブラウンなどがやっていた「レヴュー形式」のソウル・ショーそのまま。リアル・ミュージシャンによるリアル・ミュージック・ショー、リアル・ソウル・ショー。それがプリンスのライヴだ。

そうした何人ものシンガーの中で、シェルビーJが歌うドロシー・ムーアの大ヒット「ミスティー・ブルー」など、この選曲自体にうなってしまう。

タイムのヒットはカヴァーというより、自身の作品だが、それ以上にワンヒット・ワンダーのワイルド・チェリー、クール&ザ・ギャングの「ハリウッド・スウィンギン」をもじって「イングルウッド・スウィンギン」、レイクサイドの「ファンタスティック・ヴォヤージ」など当時のソウル、ディスコ・フリークならだれでも踊ったダンス・ヒットの数々だ。

そして、確実なドラムスを聴かせるのは今は亡きジョン・ブラックウェル。このジョンの雄姿を見るだけで泣けてくる人も多いだろう。                    

このライヴのセットリストは次の通り。

Setlist: Prince, April 28, 2011 @ The Forum, Inglwood, CA

1. Joy In Repetition
2. Brown Skin (India. Arie cover) (Shelby J on vocal)
3. 17 Days / Lovergirl (Teena Marie cover)(Elisa Dease on vocal)
4. Shhh
5. Controversy / (Eye Like Funky Music)
6. Theme From “Which Way Is Up” (Stargard cover) (Shelby J., Liv Warfield, Elisa Dease on vocal)
7. What Have You Done For Me Lately (Janet Jackson cover)
8. Partyman (+Ledisi on vocal) / It’s Alright (Graham Central Station cover)
9. Make You Feel My Love (Bob Dylan cover) (Shelby J, Liv Warfield, Elisa Dease on vocal)
10. Misty Blue (Dorothy Moore cover) (Shelby J on vocal)
11. Let’s Go Crazy
12. Delirious
13. 1999
14. Little Red Corvette
15. Purple Rain
16. The Bird (The Time cover – Prince composition)
17. Jungle Love (The Time cover – Prince composition)
18. A Love Bizarre (Sheila E. cover – Prince composition) / Housequake
19. Kiss
20. Play That Funky Music (Wild Cherry cover)
21. Inglewood Swinging (cover of Kool & the Gang’s “Hollywood Swinging”)
22. Fantastic Voyage (Lakeside cover)
23. More Than This (Roxy Music cover)

end

Band Members

Prince Vox, Guitar, Bass, Keyboard/Piano
John Blackwell Drums
Ida Nielsen Bass
Morris Hayes Keyboards
Renato Neto Keyboards
Cassandra O’Neal Keyboards
Shelby J. Backing vox, percussion
Elisa Dease Backing vox, tambourine
Liv Warfield Backing vox, tambourine

Ledisi Vocal, guest

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3.■ポッドキャスト~最新作などについてモリス・ヘイズらが語るポッドキャスト2本

プリンス・エステートが新作についてなどいろいろと広報するプリンス・オフィシャル・ポッドキャスト。最新回、2021年7月29日配信分「ウェルカム・トゥ・アメリカ」(エピソード2)では、モリス・ヘイズのインタヴュー。司会はアンドレア・スウェンソン。約42分。1回目は7月22日に配信された。

エピソード2 (2021年7月29日配信)




https://podcasts.apple.com/us/podcast/prince-official-podcast/id1488187430?app=itunes&id=1488187430

エピソード1(第1回)7月22日配信


https://podcasts.apple.com/us/podcast/prince-official-podcast/id1488187430?app=itunes&id=1488187430


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4. ■マイテ・ガルシアの自伝も日本発売へ

発表。プリンス関連。マイテ・ガルシアの2017年刊自叙伝『ザ・モースト・ビューティフル:マイ・ライフ・ウィズ・プリンス』、シンコーミュージックから日本語版発売へ。発売日は未定だが、2022年には刊行か?

原書→

https://amzn.to/3faL1kn

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5. ■プリンス遺産の約半分をプライマリー・ウェイヴ社が買収

衝撃。

プリンス遺産の約半分をプライマリー・ウェイヴ社が買収。6人の相続人の内3人からその権利を買い取った→

http://strib.mn/2TIbePH

実妹タイカの持ち分の90%も。プ社はニューヨークの会社でレイ・チャールズ、ホイットニー他の著作権を持っている。相続人は相続税の支払いに迫られていた。

(このニュースに関しては、今後の未発表作品リリースにも絡む可能性があるので、改めて詳しく紹介する予定です)

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