〇『ブルース・ブラザース』で描かれたレイ・チャールズの楽器店が暴動で破壊される
〇『ブルース・ブラザース』で描かれたレイ・チャールズの楽器店が暴動で破壊される
(本作・本文は約4000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字換算すると、8分から4分。いわゆる「音読」(アナウンサー1分300字)だと13分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください)
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〇『ブルース・ブラザース』で描かれたレイ・チャールズの楽器店が暴動で破壊される
【Ray’s Music Exchange Mural Lost After Building Burns】
混乱。
2020年5月25日、ミネアポリスで黒人のジョージ・フロイドさんが白人警官に殺されたことをきっかけに全米各都市で暴動などが起こり始めたが、先月末(5月末)シカゴのダウンタウンにある映画『ブルース・ブラザース』でレイ・チャールズの楽器店のモデルとして使われた店が、その動乱の中の火災で破壊されてしまった。
(そのニュース記事)
Iconic Ray’s Music Exchange Mural From ‘Blues Brothers’ Dance Scene Lost After Building Burns During Unrest
In the famous scene, the Blues Brothers visit Ray Charles, who plays “Shake A Tail Feather” while people dance in front of the mural.
PUBLISHED ON JUN 16, 2020 7:40AM CDT
このニュースを昨日(6月17日)午後12時すぎにツイートしたところたくさんのリツイート、お気に入りなどをいただき、24時間で10万以上のインプレッション、リツイート、いいねが2000近くになった。みなさんの関心がものすごく高いことを強く感じたので、この『ブルース・ブラザース』について少し書きたい。
まずこのニュースをまとめておこう。
現場はイリノイ州シカゴの300 East 47th Street。ちょうど角にあり、プレイリー・アヴェニュー側に壁画があった。この壁画は、シカゴ在住のスポーツ・ジャーナリストで音楽、エンタテインメントにも詳しいライター、梅田香子(うめだようこ)さんによると、今描かれている絵は実際に映画で使われた壁画とは違って、映画がヒットした後に描かれたものだという。ただ映画では「レイのミュージック・エクスチェンジ」という店名になっているが、実際は違っている。元々質屋だった。グーグル・アースでひとっとび。
(グーグルアースの絵=まだ建物が存在している)
(映画の絵)
この店の前の路上で多くのダンサーが「シェイク・ユア・テール・フェザー」で踊るシーンがひとつのハイライトでもある。
The Blues Brothers – Shake A Tail Feather
https://www.youtube.com/watch?v=t2HeUmxbAok
ここが2020年5月31日の争乱の間に火をつけられてしまったという。もっともこの質屋は過去18か月すでに営業を辞めていた。この記事によれば、今は「更地」になっている。
(2020年5月31日、暴動で燃え盛る建物)
(更地に)
この店は「シェリーズ・ローン&ジュエリー」という質店で1946年から18か月前(2018年末)まで営業していたという。同店は別の支店のある224 East 51st Street に引っ越し、統合されていた。
経年劣化で絵が薄くなっていたので、新たに書き直す計画もあったという。元の壁画に描かれていた人物は、レイ・チャールズ、マディー・ウォーターズ、マへリア・ジャクソン、B.B.キング、ディジー・ガレスピー、カーティス・メイフィールド、スティーヴィー・ワンダーだ。
ちょうど今年(2020年)は、映画公開から40周年になり、ダン・アイクロイドとジム・ベルーシ(故ジョン・ベルーシの弟)をシカゴのこの地に招きイヴェントをやる計画があったというが、ちょっと難しそうだ。
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ナンバーワン。
実はこの映画、僕の長い間「オールタイム・フェヴァリット映画」1位だった。どこかにDVDもあるはずだが、いまちょうど大掃除中であらゆるものを段ボールの中にいれていて、ちょっとすぐにでてこない。
こちらでレンタルか購入
https://www.youtube.com/watch?v=m1rsuroTf_Q&list=PLg-cjqUtY3X4fWywWrxntAYfdSgH-KSSD
そして、問題のレイ・チャールズの楽器店のシーンはこちら。どのシーンも有名だが、これもハイライトシーンのひとつ。いちばんおもしろいのが盲目のレイ・チャールズ店主が、楽器を万引きしようとする若い子に向かって威嚇射撃するシーン。まるで見えているかのように撃つ。この「レイのミュージック・エクスチェンジ」のモデルとなった店が、暴動のあおりで放火され、破壊されてしまったというのだから穏やかではない。ブルース・ブラザース・ファンや、こうした音楽好きがシカゴに行ったときに訪れる聖地のような存在になっていた。
さて、映画『ザ・ブルース・ブラザース』は、もともと毎週土曜日に全米3大ネットワークのNBCで生放送されていたテレビ番組『サタデイ・ナイト・ライヴ』(1975年から放映されている音楽、コメディー、トークなどのヴァラエティー番組)に出演していたジョン・ベルーシとダン・アイクロイドが黒のスーツ、ネクタイ、帽子にサングラスといういで立ちブルーズやブラック・ミュージックをおもしろおかしく、ときに真面目に紹介するコーナーからのスピンオフ企画として発展したもの。
映画は1979年に予算3000万ドル(1ドル240円として72億円)で製作され、1980年6月20日に全米公開。およそ1億1500万ドル=約276億円)の興行収入を得た大ヒット作品。監督はジョン・ランディス。ソウル、ブルーズ系のアーティストも惜しげもなく登場する。ジェームス・ブラウン、レイ・チャールズ、アリーサ・フランクリン、キャブ・キャロウェイ、ジョン・リー・フッカーなどがでてくる。
音楽コメディー映画としても大ヒットしたが、サウンドトラック盤が爆発的に売れた。
The Blues Brothers CD, サウンドトラック, オリジナルレコーディングのリマスター, インポート
ブルース・ブラザーズ
Blu Ray
ジェイク(ジョン・ベルーシ)とエルウッド(ダン・アイクロイド)が「神の声」を聴き、かつて育って現在運営に苦慮している教会を救うために東奔西走するというもの。そのために、いろいろやるが、それがドタバタに描かれる。
このレイ・チャールズの楽器店の前の通りでのダンス・シーンは、のちにマイケル・ジャクソンのショートフィルム「スリラー」(1983年)のシーンにも踏襲される。マイケルがジョン・ランディスがてがけた『アン・アメリカン・ウェアウルフ・イン・ロンドン』(1981年)とこの『ブルース・ブラザース』(1980年)を見ており、その監督ジョン・ランディスを「スリラー」ビデオのときに指名した。
Thriller – Michael Jackson
https://www.youtube.com/watch?v=sOnqjkJTMaA
この『ブルース・ブラザース』の好きなところは好きなミュージシャンがたくさん出てくることももちろんだが、あまりに意味のないシーンがたくさんでてきて、しかもそれにめちゃくちゃお金をかけているところ。「無駄なぜいたく、ここに極まれり」というポリシーがこの映画を映画たらしめているところだ。
そして、この映画から約30年後、1998年、『ブルース・ブラザース2000』という続編を出す。
https://www.youtube.com/watch?v=QtV21ZtEu4Y
(レンタルあるいは購入)
亡くなったジョン・ベルーシの後役は、ジョン・グッドマンが担当した。
また、ブルース・ブラザース・バンドは、世界各地をツアーして日本にもやってきた。下記にライヴ評。
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■過去記事
ブルーズ・ブラザーズ・バンド~ソウル愛、ブルーズ愛にあふれた不変のステージ
2016年03月27日(日)
https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-12143055094.html
2003/01/22 (Wed)
Blues Brothers @ Bluenote
http://www.soulsearchin.com//entertainment/movie/review/diary20030122.html
もし上記が読み込めない場合は下記で。
http://www.soulsearchin.com/blog_archives/?p=318
2007年04月03日(火)
【ブルース・ブラザース・バンド、ライヴ~ハッピーバースデイ・トゥ・キヨシロー】
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10029738232.html
ザ・ブルース・ブラザース・パーティーに参加
2009年06月19日(金)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10283262637.html
サングラス
2007年08月11日(土)
https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10043507059.html
(これは、ブルース・ブラザースのコピー・バンドのライヴ)
いわば、シカゴ音楽の旅のひとつの聖地のような場所でもあるので、とても残念だ。
ちなみに、長い間1位だった『ブルース・ブラザース』を押しのけて僕の「オールタイム・フェヴァリット映画」になったのは、レイ・チャールズの伝記映画『レイ/RAY』(2004年)である。どちらも、レイ・チャールズつながりだ。この映画の話をしだすと、これまた止まらないので、また別の機会に。
(映画『レイ』から。ジェイミー・フォックスが演じるレイ・チャールズ)
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