〇長岡秀星展で展示されている原画から作られたレコード・ジャケット~画集収録画一覧
〇長岡秀星展で展示されている原画から作られたレコード・ジャケット
【Record Jacket Designed By Shusei Nagaoka : On Exhibition】
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〇長岡秀星展で展示されている原画から作られたレコード・ジャケット
【Record Jacket Designed By Shusei Nagaoka : On Exhibition】
レコード・ジャケット。
今回の長岡秀星回顧展では多くのレコード・ジャケットの元となった原画が多数飾られている。その中で、今回画集『長岡秀星 SPACE FANTASY 透明な宇宙を求めて』に収録されたレコードをピックアップした。
下記の作品はいずれも画集に収録されている。かなり印刷クオリティーがよいので、画集に興味を持たれた方は会場でサンプルをごらんになってみてはいかがだろうか。
レコード・ジャケットになった作品群17枚。( )内はアルバムの発売年。一言解説。
ミッドナイト・スター (アーティスト名)
「地球終わりの日」(絵画タイトル)
「ビギニング」(アルバム・タイトル)
(1980)
地球が爆発して地球が終わる日に、宇宙船で地球を脱出するところを描いたもの。絵画のタイトルは、「地球終わりの日」だが、アルバムはソーラー・レコードからの新人グループ、ミッドナイト・スターのデビュー作。終わりが始まりになっている。表面のジャケットで使われているのは、原画の右半分程度なので、一見太陽かと錯覚してしまうが地球が燃えているところだそうだ。原画で見るとその迫力が目前に迫る。長岡さんによれば「地球が最後を迎えた瞬間、信仰深き芸術家の一団が、神の国に向かって地球を脱出するというテーマで描いた」という。ちなみに、今回の展示会ではウォール・ミラーに囲まれた入口から入っていくと、最初に展示されている。ここで立つと、ミラーの影響で一人が6人に見えるので、ちょっとした撮影ポイントになっている。
グレイ&ハンクス (アーティスト名)
「ピアニストの幻想」(絵画題)
「プライム・タイム」(アルバム・タイトル)
(1980)
個人的にはグレイ&ハンクスは大好きなアーティストなだけに嬉しい1枚。彼らは基本的にはソングライターなので、いわば裏方だったが2枚アルバムを出し、これは2枚目。長岡さんによれば「彼らはピアノに向かって作曲しているときが一番ハッピーだというのです。2人のイメージはピアノとペン。彼らがどうしても心象風景に宇宙を持ってきてほしいと言われ出来上がったのがこれ」とのこと。これもジャケットでは右半分だけなので、ぜひ大型の原画を。
メイズ(アーティスト名)
インスピレーション (絵画題、アルバム・タイトル)
(1979)
ちなみに、迷路(=メイズ)になっている7本指のロゴは、長岡氏制作ではなく、キャピトル・レコーズのアート・ディレクター、ロイ・コハラ氏のデザインによるもの。7本指は、メンバーがこのとき7人だったため。小さく背を向けて立っているのがリーダー、フランキー・べヴァリー。ロイ・コハラとは日系ということもあり、けっこう意気投合したよう。キャピトルでは他に、サン、カルデラ、フライト、ボビー・ライル、シルヴァーズなど多くをてがけている。
スカイライナーズ(アーティスト名)
「ザ・ラヴ・バッグ(ダン・ビット・ミー・アゲイン)」(絵画題)
(1978)
ショットガン(アーティスト名)
ショットガン IV (アルバム・タイトル)
ショットガン(アーティスト名)
ショットガン IV の裏面
(1980)
デトロイト出身のファンク・グループ、ショットガンの4枚目。当初所属のABCから3枚だし、ABCがMCAに吸収されたので、MCAからのリリースとなったもの。これのアート・ディレクターも、ジョージ・オーサキといい日系の人。
シルヴァーズ (アーティスト名)
「ニュー・ホライゾン」(アルバム・タイトル)
(1977)
人気兄弟グループ、シルヴァーズのキャピトルでの最後のアルバム。ジャケットでは気づかなかったが、なんとメンバーの顔のところ、どうやら写真を使っているようだ。
パーレット (アーティスト名)
「プレジャー・プリンシパル」(アルバム・タイトル)
「宇宙のディスコ・ハウスレディー」(絵画題)
(1978)
長岡さん曰く「ラスヴェガス・フォーリー調」というそうだ。ジョージ・クリントンのパーラメント/ファンカデリック、いわゆるPファンク軍団の中の女性グループの3枚の1枚。デザイナーは、カサブランカ・レコーズでよく仕事をしていたグリビット! という2人組。
アース・ウィンド&ファイアー (アーティスト名)
「オール・ン・オール(邦題、太陽神)」(アルバム・タイトル)
(1977)
長岡秀星とモーリス・ホワイトという2人の天才が邂逅し作りえた最高峰のアルバム・ジャケット。これと、「アイ・アム(太陽神)」はそれだけで一日語れるので、別稿にまとめたい。しかし、この4面がつながった1枚の原画は今回展示の中でも最大のハイライトだ。「風林火山」の隠し文字を探せるか。画集では見開きがさらに広がり、4面連続になる。古代エジプトから未来都市まで。僕はこの未来都市が映画『ブラック・パンサー』で描かれたワカンダ王国に見えてしかたがない。
ミーコ(アーティスト名)
「ザ・ウィザード・オブ・オズ(オズの魔法使い)」(アルバム・タイトル)
(1978)
ミーコはこの前に「スターウォーズ」のテーマで大ヒットを飛ばしており、いわゆるディスコ・インストもので次々と作品を量産した。
アース・ウィンド&ファイアー(アーティスト名)
「アイ・アム(黙示録)」(アルバム・タイトル) その中ジャケット
(1979)
残念ながら表の原画はおそらくメンバーの誰かが持っているのではないかということで、今回は展示できなかった。ただ中のジャケットのメンバーを描いた原画は展示されている。
誤 フェランテ&タイシャー(アーティスト名)
「フェランテ&タイシャー」(アルバム・タイトル)
正 ファースト・コーシンズ・ジャズ・アンサンブル(アーティスト名)
「フォー・ザ・コーズ・オブ・ジャズ」(アルバム・タイトル)
なんとスチュ―・ガードナー、ジェームス・ガドソンらのジャズ・グループ。キャピトルでだしたインスト系アルバム。僕は知らなかったが今回アルバムを聴いたら、確かにジェームス・ガドソンだった。ガドソンはこのアルバム、アルバム・ジャケットを覚えているだろうか。尋ねてみよう。
(1977)
https://www.youtube.com/watch?v=nx8sDlE5jko
シャラマー (アーティスト名)
「ディスコ・ガーデン」(アルバム・タイトル)
(1978)
フランスの画家アンリ・ルソーの調子で描いてくれと言われて、こうなったそうだ。左からアルバム1枚だけで脱退したゲイリー・マムフォードか次のジェラルド・ブラウン(おそらく、ジェラルド)、真ん中がジョディ―・ワトリー、右がジェフリー・ダニエルズ。マイケルに「ムーン・ウォーク」を教えた一人。
誤 シティー(アーティスト名)
「ミュージック・スタンド」(アルバム・タイトル、絵画題)
(1978) →
正 ザ・ステイツ (アーティスト名)
「ザ・ステイツ」(アルバム・タイトル)
(1979)
ホール&オーツの共同作業者として活躍したクリストファー・ボンドがプロデュースし、クリサリスで出した6人組グループのアルバム。
ミュニック・マシーン(アーティスト名)
「ミュニック・マシーン」(アルバム・タイトル)
「ゲット・オン・ザ・ファンク・トレイン~ミュンヘンコンピュータ楽団」(絵画題)
(1977)
ドイツ・ミュンヘンのディスコ・グループ。ジョルジオ・モローダー、ソー・ボルダーソンがてがけたグループ。アメリカではカサブランカ・レコーズから出たので長岡氏のイラストが使われたようだ。
ディープ・パープル(アーティスト名)
「ウィ・ロック・アンド・ホエン・ウィ・ロール、ウィ・ロール」(アルバム・タイトル)
(1978)
この宇宙船の中がレコーディング・スタジオ風になっていて、そのコンソールの絵が極めて細かく再現されている。この緻密さはまさに長岡さんの大得意な面。
サン(アーティスト名)
「デスティネーション・サン」(アルバム・タイトル)
(1979)
キャピトル・レコーズのファンク・グループ、サンのアルバム。「目的地・太陽」というその名の通りの作品。彼らは赤坂ムゲンに来日したことがある。
スペース(アーティスト名)
「ジャスト・ブルー」(アルバム・タイトル)
「ブルーの世界へ」(絵画題)
(1978)
この時期は、アメリカは映画『スター・ウォーズ』(1977年)が大ヒットし、猫も杓子も宇宙だったので、宇宙もののリクエスト、オファーは多かったようだ。これもそんな一枚。フランスのインスト主体のディスコ・グループで、これもアメリカではカサブランカ・レコーズから出ているので長岡さんのイラストに。このブルーの世界へ、という作品を見ていると、長岡少年が壱岐の海に潜って見ていた本当にきれいなブルーの海が、宇宙と重なって描かれているのではないかと思った。長岡さんにとって、海は「海上の未来都市」「乗ってみたい船」など夢にあふれるところだそう。宇宙と海は、長岡さんの頭の中でひとつになっているのかもしれないと思える。宇宙の青と海の青が、同じように思えてくる。
ライト・ブラザーズ・フライング・マシーン(アーティスト名)
「ライト・ブラザース・フライング・マシーン」(アルバム・タイトル)
(1978)
https://www.youtube.com/watch?v=WpZAHG_iv0g
ライト兄弟の飛行機、というのがグループ名。ディスコ風インストのアルバムだ。これもジェームス・ガドソンら、LAの一流スタジオ・ミュージシャンが集まったアルバムだった。
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以下は、画集には収録されていません。
展示はされてます。
メイズ(アーティスト名)
「ジョイ&ペイン」(アルバム・タイトル)
(1980)
今回展示されているメイズの2枚のうちの1枚。長岡さんは青いジャケット(今回版画が販売される方)のほうが気に入っているそうだ。
下記は展示も、画集にも未収録。
アース・ウィンド&ファイアー(アーティスト名)
「アイ・アム(黙示録)」(表ジャケット)
今回は中ジャケットのみの展示
(1979)
この他、今回展示できなかったものに、カーペンターズの『ナウ・アンド・ゼン』、ELOの『アウト・オブ・ザ・ブルー』、喜多郎の各種、アースのそのほかのアルバムなどまだまだある。
レコード・ジャケットを部屋に飾れば、そのままあなたのお部屋も美術館。あなたのレコード・ライブラリーには何枚くらいあるでしょうか。
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回顧展詳細
タイトル:長岡秀星回顧展 スペース・ファンタジー~透明な宇宙を求めて~
会期 2020年12月8日(火曜)~12月27日(月)11時~19時(会期中無休)
会場 代官山ヒルサイドフォーラム
東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟
主催・企画: 長岡秀星回顧展実行委員会
協力: 長岡徳子、株式会社なかはら、Hillside Terrace
公式ウェブサイト
https://www.bsfuji.tv/shusei_nagaoka/
入場料:
【当日】 一般1,700円/大高生1,400円/中小生800円
入場チケットについては特設サイトにて。 https://eplus.jp/nagaokasyusei/
※会場内混雑緩和のため、前売チケットは時間帯/曜日によって<日付・時間指定>とさせて頂きます。
長岡秀星氏の展覧会は、1981年12月に東京・伊勢丹での大規模な展覧会が国内を巡回し、約6万人の入場者を集め大きな話題となった。その後1991年に銀座・三越で行われた。長岡氏が2015年6月23日に死去した後、2016年11月に長岡氏の生まれ故郷長崎県壱岐市で48点が展示された追悼展が行われた。都内では29年ぶりとなる。
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