■■ソウル・サーチン・アーカイヴ・シリーズ#016 ~ メンフィスを代表するソウル・レーベル、スタックス・レコード物語 ■■
■■ソウル・サーチン・アーカイヴ・シリーズ 016 ~ メンフィスを代表するソウル・レーベル、スタックス・レコード物語 ■■
5分でわかるメンフィスを代表するソウル・レーベル、スタックス・レコード物語。オーティス・レディング、アイザック・ヘイズ、ジョニー・テイラー、バーケイズなど多くのアーティスト、ヒットを生み出したそのレーベルは1959年から1974年まで実質15年ほどの活動だった。その15年で残した足跡。映画『ワッツタックス』を見るとそれだけで1時間40分くらいかかりますw
(noteイントロ)
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2005/01/09 (Sun)
Stax Story: Stax Is Answers From Southern To Motown In Nothern
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200501/diary20050109.html
5分でわかるスタックス・レコーズ。
メンフィス。
『ソウル・ブレンズ』内「ソウル・サーチン」のコーナーでは、(2005年)1月9日から4回にわたってメンフィスの名門レーベル、スタックス・レコードを特集する。時間も通常の20分から30分へ拡大してのご紹介だ。
スタックス・レコードは1959年テネシー州メンフィスで、ジム・スチュワートとエステル・アクストンの2人の兄弟(正確には姉=エステルと弟=ジム)によって設立されたインディのレコード会社。設立当初は、サテライト・レコードといった。ジムは、銀行員のかたわら、カントリーが好きで自らフィードルを演奏していたが、当時、地元から登場して全米的な人気を得始めていたエルヴィス・プレスリーの成功が大いに刺激になった。
地元のDJ、フレッド・バイラーの歌を録音し、サテライトから発売。これが記念すべき第一弾となった。その後、レーベル名をスタックスへ変更。このSTAXは、スチュワート(Stewart)のSTとアクストン(Axton)のAXからとった。当時は、地元のカントリー、ポップ、ソウルのアーティストなどをそれほどこだわりなく録音していた。
1961年、地元で発売したR&Bシンガー、カーラ・トーマスの「ジー・ウィズ」の発売権をメジャーのアトランティックが獲得し、全国発売したところ、全米規模でヒット。これがスタックスとしての記念すべき初ヒットとなった。
以後、このレーベルからは、マーキーズ、ルーファス・トーマス、ウィリアム・ベル、ブッカーT&ザ・MGズなど多くのアーティストが登場。そのアーティストもほとんど黒人となり、ソウル、R&B中心のレーベルになっていく。
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天才登場。
そして、1962年秋、このレーベルにひとりの天才シンガーが現れる。それがオーティス・レディングだ。彼がスタジオの余り時間に録音した「ディーズ・アームズ・オブ・マイン」が1962年10月にリリースされると瞬く間に大ヒット。オーティスの存在とメンフィスにある一レーベル、スタックスの存在をアメリカの音楽業界に広く知らしめることになった。
(オーティス・レディング)
オーティスの人気に牽引されるように、スタックスからの作品は徐々に大ヒットするようになる。エディー・フロイド、ジョニー・テイラー、サム&デイヴ、アイザック・ヘイズ、メイブル・ジョン、さらに無数のローカル・アーティストたちが作品をだした。
スタックスからでるソウル・レコードは、いわゆる「スタックス・サウンド」と呼ばれ南部を中心に人気を集めるが、その特徴は、ブルーズとゴスペルに根ざした泥臭い黒いサウンドだった。北部のモータウンが都会的に洗練されポップになっていったのに対し、スタックス・サウンドはあくまで黒さが全面にでていた。その点で、モータウンはアメリカだけでなく、世界的に支持を受けたが、スタックスはあくまで黒人による黒人のための、黒人の音楽という意味で、世界的な広がりはモータウンほどにはなかった。
しかし、一方で、ソウル、R&B、ゴスペル、ブルーズといったブラック・ミュージックの王道をリリースしてきたスタックスの存在意義は大きい。またスタックスは、地元メンフィスだけでなく、北部シカゴ、デトロイト、東部のフィラデルフィアなどのアーティストたちの作品も積極的にリリース、徐々に総合ソウル・レーベル的な存在になっていく。
スタックスは、1960年代中期、メジャーのアトランティックが配給を担うことになり、ヒットを出すが、まったく予期せぬ不幸が襲う。スタックスの看板スター、オーティス・レディングが1967年12月10日、飛行機事故で他界するのだ。これは同レーベルにとって計り知れぬ衝撃を与えた。
スタックスの歴史を俯瞰すると、1959年からこの1967年暮れまでを第一期、1968年から1975年までを第二期とすることができる。第一期は、まさにすべて勢いで走ってきた。だが、それ以降はそれまでと違った空気で運営されていくようになる。
(この項・続く)
「スタックス・レコード・スペシャル」は、『ソウル・ブレンズ』(日曜午後1時から5時、インターFM76.1mhz)内「ソウル・サーチン」のコーナー(午後2時から2時半)で4週間にわたってお送りします。(この番組は現在は放送されておりません)
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2005/01/10 (Mon)
Stax Story Part 2: After Otis, It's New Generation Of Stax
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200501/diary20050110.html
2005/01/10 (Mon)
Stax Story Part 2: After Otis, It's New Generation Of Stax
死後。
オーティスの死後、しばらく、スタックスの面々はまったく何も手がつかなかった。だが、彼らは仕事を続ける。ルーファス・トーマス、ジョニー・テイラー、エディー・フロイド、ソウル・チルドレン、ジュディー・クレイ、ステイプル・シンガーズ、オリー&ナイチンゲールズ、ニューカマーズ、ドラマティックスなどなどがヒットを出しつづけ、スタックスの火を消すことなく守った。
1967年12月のオーティスの死をきっかけに、アトランティックが配給から手を引き、1968年からはガルフ&ウェスタン社が全米での配給を担当。このころスタックスの運営に有能な人物が登場する。元メンフィスのラジオDJ、アル・ベルである。彼は地元でDJをやっていたが、スタックスの作品、メンフィスのローカルアーティストの作品群を積極的にプレイし、地元アーティストの人気を高める手助けをした。
(アル・ベル)
そうした実績が認められ、彼はスタックスのプロモーションマン(宣伝マン)として雇われるようになる。そして、すぐに手腕を発揮し、彼は副社長にまでなる。アル・ベルは、スタックスに新たなイメージを作ろうとした。新しい「指がなっているような(フィンガー・スナッピン)」ロゴを作り、レーベルデザインを変え、配給元も変え、心機一転再出発を計った。そして、上記のアーティストらが次々とヒットを出すようになった。
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新生スタックス。
それまでソングライター、プロデューサーとしてスタックスを裏から支えてきたアイザック・ヘイズは自らの低音ヴォイスを打ち出し、シンガーとしても登場。彼は映画『シャフト』のテーマを担当し1971年全米ナンバーワンを生み出す。ゴスペル・グループ、ステイプル・シンガーズも「リスペクト・ユアセルフ」「アイル・テイク・ユー・ゼア」の2大ヒットで一躍メジャーな存在に、さらに、デトロイト出身のドラマティックスも「イン・ザ・レイン」(1972年)の大ヒットを放ち、エモーションズがコーラス・グループとして注目され、それまでになくスタックスは成功する。
(アイザック・ヘイズ)
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大イヴェント「ワッツタックス」。
そして、スタックス・レコードの歴史上最大の出来事が1972年8月に起こる。アル・ベルが音頭をとり、スタックスのアーティストを集合させ、ロスアンジェルスコロシアムで行った大イヴェント「ワッツタックス」である。これは、ロスの黒人街であるワッツ地区を潤そうということで、行われたイヴェントでスタックスのアーティストが10時間以上にわたってライヴを見せた。「ワッツタックス」とは、おわかりのように「ワッツ」と「スタックス」をあわせた言葉である。この模様はライヴレコード、映画にもなり、そのイヴェントは現在でも伝説として語られる。
(映画『ワッツタックス』フルサイズ)
Wattstax LIVE Isaac Hayes - Ain't No Sunshine (Full Length Version)
https://www.youtube.com/watch?v=H8mYeehkqAA
(バーケイズ)
しかし、残念ながら1973年ごろからスタックスからなかなかヒットがでなくなり、最終的に1975年、スタックスは倒産。所属アーティストは、次々と他のレーベルへ移っていった。ジョニー・テイラーはCBSに移籍し、「ディスコ・レディー」の大ヒットを、ウィリアム・ベルはマーキュリーに移り「トライング・トゥ・ラヴ・トゥー」の大ヒットを、エモーションズもCBSに移り「ベスト・オブ・マイ・ラヴ」などの大ヒットを出すようになった。
スタックスの作品の権利はその後ファンタジー・レコードが買収し、管理発売している。スタックスの実質的な活動時期は1959年から1974年くらいまでの15年ほどだったが、その間に残した作品群はブラック・ミュージックのかけがえのない宝物である。
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「スタックス・レコード・スペシャル」は、『ソウル・ブレンズ』(日曜午後1時から5時、インターFM76.1mhz)内「ソウル・サーチン」のコーナー(午後2時から2時半)で4週間にわたってお送りします。第二回は1月16日(日曜)。30分に拡大です。(この番組は現在は放送されておりません)
Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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1972年夏に行われたスタックス主催の大イヴェント『ワッツタックス』の映画DVD。そういえば、このことについてはほとんど触れられていなかったような気も。
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