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〇追悼・川畑満男さん パート2~様々なソウル・アーティストを招聘したチョコレート・クリーム・プロダクション

〇追悼・川畑満男さん パート2~様々なソウル・アーティストを招聘したチョコレート・クリーム・プロダクション
 
【Tribute To Mitsuo Kawabata : Promoter for Soul Artists】
 
ライヴ。
 
川畑さんは、様々なソウル・バー、店舗などを開いてきたが、同時に並行して海外からのソウル・アーティストを招聘し、日本のライヴ・ハウスなどでライヴを行うようになっていた。
 
もともとレコードも好きだが、ライヴも大好きだった川畑さんが、自分が見たいアーティストがなかなか来日しないということで、来ないなら、自分で呼んでしまえと招聘元(プロモーター)を、元サロンゴ・ミュージックの木下茂さんを誘い起こした。それが、チョコレート・クリーム・プロダクションで1999年頃のこと。木下さんは、1982年、渋谷の雑居ビルにオープンしたライヴハウス「ライヴ・イン・82」を運営、海外アーティストの招聘、ブッキングなどをしていた。こけら落としはシャカ・カーン、その後、ネヴィル・ブルザーズ、ファットバック・バンド、カーティス・メイフィールドなど多くのブラック系アーティストのライヴを行っていた。川畑さんは、ブラック・アーティストの場合は、必ず顔をだし、またチケットなどもテンプスのお客さんなどにあっせんしていた。木下さんは、「川畑さんにはたくさんチケット買っていただいて、とてもお世話になりました」という。だが、1990年代になってサロンゴがビジネス的に会社を畳むことになり、そこに、川畑さんが招聘を一緒にやらないかと木下さんを誘った。木下さんは当初は躊躇したが、川畑さんにあるとき、通帳を渡され、「これでやってくれ」と言われ、チョコレート・クリーム・プロダクションに参加するようになった。川畑さんは、先方のブッキング・エージェントとの契約や資金のやりとりなどを、木下さんに任せた。こうして、普通では日本では見られないようなレアなソウル・アーティストのライヴが日本で行われるようになった。川畑さんは、「お客さんがそんなに来ないのばかりだから、いつも儲からなかったよ」と笑う。元ソウル・チルドレンのJブラックフッドは3回も呼んだ。
 
そんな川畑さん招聘のソウル・アーティストには、僕もたくさん足を運んだ。もちろん、ビルボードやコットンクラブなど他のライヴ・ハウスが招聘したソウル関連のライヴでも必ず遭遇した。



 
2002年以降はブログが残っているのだが、その前から他の媒体に書いたものなどがいくつかある。その中で、僕が印象的だったものに、元モーメンツ、レイ・グッドマン&ブラウンが六本木スイート・ベイジルで行ったライヴがあった。そのライヴ・レポートがアーカイブにあったので、再掲したい。
 
川畑さんが招聘したレイ・グッドマン&ブラウンのライヴ評がでてきた→

https://x.gd/sXObL

 https://web.archive.org/web/20030528171618/http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/laybrown20020113.html

https://web.archive.org/web/20030528171618/http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/laybrown20020113.html

 
(「ソウル・サーチン」のホームページに置いていたのだが、なぜかいつのまにか消えていた)
 
スイート・ベイジルではほかにGCキャメロンなどのソロもやったはずだ。
 
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レイ・グッドマン&ブラウン・ライヴ
 
『一本のタオルでつながるふたりの絆』
 
【2002年1月13日日曜、六本木スイート・ベイジル】
 
 
ソウル・ヴォーカル・グループ、元モーメンツ、現在レイ・グッドマン&ブラウンのショウが2002年1月13日、東京・六本木スイート・ベイジルで行なわれた。比較的年齢層が高い観客で満席状態。登場したのは、アル・グッドマン、ビリー・ブラウン、そして、ラリー・ウィンフリー。予定されていたケヴィン・オーエンスにかわって新人のラリーが来日。ラリーは、ケヴィンが参加できない時に、参加するという。これまでグループのバック・コーラスは担当していたが、フロントに立つのはここ2か月ほど前から。アンコールでは、発売されたばかりの新作『モーメンツ・ウィズ・フレンズ』からの新曲を披露。これが、ミュージシャン仲間でもあるスタイリスティックス、ブルー・マジック、デルフォニックスなどのヒット曲をカヴァーしたアルバムで、そこから「ユー・アー・エヴリシング」、「ラ・ラ・ミーンズ・アイ・ラヴ・ユー」などを歌い約1時間40分のショウの幕を閉じた。
 
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『一本のタオルでつながるふたりの絆』
 
バンドが、ヒット曲のサビの部分だけのメドレーを軽く演奏し、3人がステージに登場。満面の笑みを浮かべるアル・グッドマンの顔が印象的だ。軽くステップを踏み、3人がターンして背中を見せると、スーツの背中の真ん中があいていた。それを見せて、ちょっと笑いをとる。
 
ショウ全体を通して、グッドマン、ブラウンのコレオグラフィーは、まさにヴェテランの余裕の域に達している。30年以上、同じステップを踏み、同じように腕と、腰と、足を動かし続けている彼らにとって、この曲のこの振りつけなどは、目をつぶってもできる動きなのだろう。メロディーと歌詞と、コレオグラフィーが一体となって、彼らの体に染み付き、熟成して、ステージ上の彼らから発酵する。
 
「スペシャル・レイディー」は、観客の男性に「ユー・マスト・ビー・ア・スペシャル・レイディー(君は特別な女性に違いない)」と歌わせ、女性に「アイ・ノウ・アイム・スペシャル・レイディー(そう、私は特別な女性って知ってるわ)」と歌わせる。女性が歌うパートの英語が、観客に若干伝わりにくかったようだが、徐々に観客による「スペシャル・レイディー」が形成されていった。
 
モーメンツ時代の「ノット・オン・ジ・アウトサイド」、「ラヴ・オン・ア・トゥー・ウエイ・ストリート」、「ガタ・ファインド・ア・ウエイ」、「セクシー・ママ」、「ルック・アット・ミー(アイム・イン・ラヴ)」、「ウイ・ドント・クライ・アウト・ラウド」など、レイ・グッドマン&ブラウンになってからの「ハッピー・アニヴァーサリー」、「テイク・イット・トゥ・ザ・リミット」など次々とヒット曲が歌われた。
 
振りつけや、アルのバリー・ホワイト張りの「ライド・オン、ライド・オン」のかけ声が観客を70年代に瞬時にタイム・トリップさせる。
 
後半、アル・グッドマンがマイクを持って話しだした。「1992年、レイ・グッドマン&ブラウンとして来日し、ショウをやりました。その数か月後、ハリー・レイが突然他界してしまいました。僕たちはものすごくショックを受けたんですが、ハリーがいなくなっても、僕たちのどちらかが歌えなくなるまで『レイ・グッドマン&ブラウン』という名前を残して、活動を続けていこうと決意しました。生前そんなハリーが好きだった曲があります。『アイル・リメンバー・ユー・ウイズ・ラヴ』という曲です。そして、僕たちもこの曲を歌うとき、いつも、ハリーのことを思いだしてしまいます。聴いてください」
 
そして、ビリーがリードをとって「アイル・リメンバー・ユー・ウイズ・ラヴ」を歌いだした。『レイ・グッドマン・アンド・ブラウン 2』(1980年作品)に収録されているハリーのファルセットで歌われる曲だ。
 
「なることは、なるようにしかならないよ。だから、自然の流れに身を任すだけ。涙をながす暇も、後悔する瞬間もない。ただ、僕たちが一緒にいられたことを感謝するだけ。ぼくは君のことを愛とともにずっと忘れずにいるよ(I'll remember you with love )」と歌われるこの作品は、別れた異性に対するあきらめの思いを歌った歌だが、この「ユー(君)」がハリーに置き換えられて、アルとビリーに特別の感慨を与える。
 
歌いながら、ビリーの感が極ったように見えた。口元が真一文字になり何かを堪えているかのようだった。歌い終えたビリーは、後のバスドラムの上にあった白いタオルをとり、汗をふいた。だが、汗だけでなく、潤んだ目元も拭った(ぬぐった)。「ああ、泣いてたんだ」と僕は思った。ビリーは、そのタオルをそのまま何気なく、元のところに置いた。
 
すると、こんどは後ろを向いたアルが、ビリーが使ったその同じタオルを無造作につかみ、汗を拭いた。アルは、ビリーが涙を拭ったことに気づかなかったかもしれない。しかし、30年以上もの長きにわたって共にやってきたアルとビリーにとって、涙であれ汗であれ相手がそれを拭ったタオルを使うことなどは、なんら大問題ではないのだろう。同じタオルを使える仲。ステージで一本のタオルでつながるふたりの固い絆のようなものを垣間見た瞬間だった。
 
【2002年1月13日・日曜、六本木スイートベイジル】
 
(吉岡正晴)
 
なお、上記のアル・グッドマンも2010年7月26日、67歳で逝去している。
 
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たまたまライヴを見ていて、あの二人が同じタオルを使った瞬間を目撃して、ちょっと感動したのだった。
 
そして、こうしたなかなか見られないアーティストを招聘してくれた川畑さんに改めて感謝をささげたい。
 
この曲を川畑さんに捧げます→
Ray Goodman And Brown : I’ll Remember You With Love
 
https://x.gd/xqepw 
 


 
 
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■過去関連記事
 
■赤坂ミラクル・オープン
 
2003/05/09 (Fri)
Miracle: Don't show up with old name
新規一転。

 
ミラクル・プレゼンツ・ディープ・ソウル・ナイト、今日赤坂Bフラットで
2016年01月31日(日)

 
Harold Melvin & The Blue Notes Live: The Legacy Still Continues
投稿日: 2006-02-27
 

 
Harold Melvin & The Blue Notes: Behind The Scene
投稿日: 2006-02-28

 
 
★川畑満男氏ソウル・バー歴30周年記念パーティー~フィーチャリング・ジェームス・ギャドソン
2009年05月19日(火)

 
(この項、つづく)
 
ENT>SOULBAR>MIRACLE
OBITUARY>Kawabata, Mitsuo
ENT>LIVE>Ray Goodman & Brown
 
 

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