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◎『ジーニアス:アリーサ』~ナショナル・ジオグラフィックで4晩8回にわたって放送~ライヴ映画『アメイジング・グレイス』はなぜ彼女にとってキャリア最大のターニング・ポイントになったか

◎『ジーニアス:アリーサ』~ナショナル・ジオグラフィックで4晩8回にわたって放送~ライヴ映画『アメイジング・グレイス』はなぜ彼女にとってキャリア最大のターニング・ポイントになったか

【"Genius: Aretha” 8 Episodes Broadcasted : Why Album “Amazing Grace” Became Biggest Turning Point Of Her Career】

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(本作・本文は約4000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字で読むと、およそ8分から4分。いわゆる「音読」(アナウンサー1分300字)だと13分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください)

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◎『ジーニアス:アリーサ』~ナショナル・ジオグラフィックで4晩8回にわたって放送~ライヴ映画『アメイジング・グレイス』はなぜ彼女にとってキャリア最大のターニング・ポイントになったか

【"Genius: Aretha” 8 Episodes Broadcasted】

伝記映画。

1. アリーサの伝記映画『ジーニアス:アリーサ』

アメリカのケーブル・テレビ・チャンネルのひとつ「ナショナル・ジェオグラフィック」(日本でもケーブル・テレビ、スカパーなどの衛星テレビで視聴可)で、好評のシリーズ『ジーニアス』の一本としてソウル・シンガー、アリーサ・フランクリンを題材にした『ジーニアス:アリーサ』が2021年3月21日午後8時からナショナル・ジオグラフィック・チャンネルで4日間にわたって全8エピソードが放送された。本編ナショナル・ジェオグラフィックで放映後、アメリカのインターネット配信サーヴィスHulu(フール―)でも配信されている。(5月30日追記、日本でもナショナル・ジオグラフィック・チャンネルで6月末から放送する。追記ここまで)

この8回のうち6回まで見た。初回からの分については、ツイッターでランダムにツイートしたのだが、エピソード6(第6回)が、ちょうどこんど映画が公開されるロスアンジェルスの教会でのライヴ『アメイジング・グレイス』を録音するところだったので、たいへん興味深かった。

ジーニアス:アリーサ3

これは8回分みたところで、もういちど改めてまとめる予定だが、そのエピソード6についてちょっと感じたことを書いておきたい。

8本のエピソードのタイトルは次の通り。

1. Respect
2. Until The Real Thing Comes Along
3. Do Right Woman
4. Unforgettable
5. Young, Gifted and Black
6. Amazing Grace
7. Chain Of Fools
8. No One Sleeps

大まかにいって、アリーサ(みんなからは愛称の『リー』と呼ばれる)の幼少期の頃から、大人になって成功していくところまで、さまざまな紆余曲折とともに、リーが成長していく様を描く。幼少時の思い出(子役が演じる)と、大人の時代のエピソードをうまくからませながら描くので、物語がふくらむ。

2.教会でのライヴ・アルバム『アメイジング・グレイス』ができるまで

自立。

そして、この第6回ではリーが幼少の頃から世話になっているゴスペル界の先生となっているジェームズ・クリーヴランドに、教会でゴスペルのアルバムを作りたいと相談をする。

リーの幼少時代にクリーヴランドと一緒にゴスペルを歌っていた頃のことと、1972年のこのレコーディングのことがうまく紹介される。

その前段として、リーとその父親のさまざまな関係がある。ひとことでいえば、父親はリーにとって最大の恩師であること、牧師として大尊敬する存在だった。しかし、父親は当地の名士でもあり、ステージでの説教のパフォーマンスもルックスもよかったことからものすごくもてて、妻以外の女性と浮名を流した。それが元で、父親C.L.フランクリンとリーの母親バーバラと離婚することになる。そのバーバラが家を出ていく瞬間は、リーの生涯においてずっと心の傷となっていた。そこで、リーは父親CLに対しては複雑な気持ちをずっと持ち続けた。

リーは、コロンビアから1967年、アトランティック・レコーズに移籍、そこでジェリー・ウェクスラーのプロデュースでヒットを出し続けていた。そしてその過程でリーは徐々に、自己に目覚め、自身がやりたいことをはっきり知るようになり、特に音楽面で自身の方向性が固まってきた。そうした中で、リーをスターダムにのし上げたジェリー・ウェクスラーといろいろなところで意見が衝突し始める。一番、リーが目指したのは、自身の名前をプロデューサーとして認めてもらうことだった。

この前にアルバム『ヤング・ギフテッド・アンド・ブラック』という作品を作ろうとするが、そこにプロデューサー・クレジットを要求するが、当時の慣行としてそれは却下される。

だが、そのアルバムは大評判を得て、ベスト・セラーになり、実際はプロデュース作業をしたが、クレジットされなかったことに不満をもつ。

アメイジンググレイス 場面写真3 ジェームスクリーヴランドと

そして、リーはクリーヴランドにゴスペルのアルバムを教会で録音したいと相談。クリーヴランドは了承し、彼の小さな教会で録音しようとするが、それをききつけたジェリー・ウェクスラーが、その模様を見て、「もっと大きな教会でやって、録音して、映像も撮ろう」と提案。弱冠の紆余曲折を経て、1972年1月、ロスの教会でライヴとフィルムが撮影されることになる。それが今回5月に日本公開される映画『アメイジング・グレイス』だ。

3.呼ばれなかった父親

確執。

そのとき、リーはデトロイトに住む父親CLフランクリンを招待しなかった。それはリーの父親からの独立、自立でもあり、またこんどこそ自分のプロデュース作品を作る、という意味でジェリー・ウェクスラーからの独立、自立でもあった。『アメイジング・グレイス』は、そういう意味で、リーにとっての最大のターニング・ポイントとなったわけである。

父親をデトロイトから呼び寄せることはしなかったが、姉妹(姉アーマと妹キャロリン)から話を聞いた父親は、2日目にデトロイトからはるばるやってきて、教会に登場する。そのときのやりとりがこの『ジーニアス:アリーサ』でも描かれるが、リーの心境がよくわかった。

アメイジンググレイス 場面写真1 アレサ、クワイ向き 

このライヴ映画『アメイジング・グレイス』を2019年初めて見たときに、僕は次のように書いた。

「このときアレサは29歳。実に若い。そして何より驚いたのが、アレサがとても緊張しているように見えたことだ。アレサの最近のライヴ映像では、常に堂々としていて「クイーン・オブ・ソウル」をそのまま絵にかいたような存在感を見せるが、まだ29歳の彼女は多くのヒット曲はありつつも、今のようなふてぶてしいほどの存在感はなく、懸命に歌っている姿が印象に残る。2日目には、父親のCLフランクリン、ゴスペル界の大御所クララ・ワードなども参列し、さらに彼女をナーヴァスにさせたかもしれない。」

この彼女の異様なほどのナーヴァスぶりは、この今回の『ジーニアス:アリーサ』のこの第6回のエピソードを見て、完全に納得した。

呼ばなかった父親が2日目に来てしまったこと。撮影自体が、シドニー・ポラック監督で行われるが、リーにとってそれは必ずしも心地よいものではなかったこと。撮影隊とのちょっとしたゴタゴタで元々「サーヴィス(教会の礼拝)」を撮影するには、狭いということで撮影には乗り気ではなかったことが遠因となっている。

唯一彼女にとってよかったことは、このアルバムが発売されて、ゴスペル作品史上、もっとも売れたアルバムになったこと、しかも、プロデューサー・クレジットもしっかり載った最初のアルバムであったことも、大変喜ばしいことだった。

(『ジーニアス:アリーサ』については、再度、8回まで見た後にまとめます)


■関連記事

アリーサ・フランクリン・テレビシリーズ・ドラマ『ジーニアス:アリーサ』、いよいよ全米放映
2021/03/14


https://note.com/ebs/n/ncd91ad2c66cd

映画『アメイジング・グレイス』についての紹介
アレサのライヴ映画『アメイジング・グレイス』~48年の歳月を経て
2019年10月02日(水)


https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-12531255678.html

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