〇フィクションとノンフィクションの狭間に漂うメロウでソウルフルな物語(ストーリー)~『永遠の仮眠』(松尾潔・著)
〇フィクションとノンフィクションの狭間に漂うメロウでソウルフルな物語(ストーリー)~『永遠の仮眠』(松尾潔・著)
【Matsuo Kiyoshi’s First Feature Novel ”Eternal Nap”】
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(本作・本文は約2000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字で読むと、およそ4分から2分。いわゆる「音読」(アナウンサー1分300字)だと7分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください)
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〇フィクションとノンフィクションの狭間に漂うメロウでソウルフルな物語(ストーリー)~『永遠の仮眠』(松尾潔・著)
【Matsuo Kiyoshi’s First Feature Novel ”Eternal Nap”】
ノン・フィクション。
文章には二種類ある。ドキュメンタリーのような事実に基づいたノン・フィクション、もうひとつは作り上げたフィクションだ。
音楽プロデューサーの松尾潔さんが初の長編小説『永遠の仮眠』を上梓した。これがその両方の要素を巧みに混合した見事な物語で、一気に読み切った。
短編小説を数本発表して、地ならしをして一気に大きなビルを建てた感じだ。
主人公は売れっ子音楽プロデューサーの悟。大ヒットしたテレビドラマの続編の主題歌のプロデュース依頼が来る。まちがいなく注目されるドラマで、その主題歌となればヒットは確実だ。そこでかつてデビューに手を貸し、スターの座に導いたものの最近は若干人気低迷気味のシンガー、義人を抜擢してデモテープ作りに励む。しかし、ドラマの番組プロデューサー多田羅は出すデモテープ出すデモテープをことごとく却下してくる。頭に来た悟は、一計を案じる。舞台は沖縄、東京、仙台。時は2010年から2011年にかけて。
リズム感。
本人は、あくまでフィクションですから、とするが、おそらく読者の多くはこの主人公と著者を重ね合わせて物語を読み進めていくだろう。またさまざまな登場人物が実在の誰だろうなどと推測しつつ読み進める業界人もいるかもしれない。
それはさておき、音楽業界、芸能界、テレビ業界のちょっとした裏の出来事が細かく描かれていて、それだけでも興味をそそる。
真実は細部に宿る、と言われるが、本作のさまざまな固有名詞は物語に幅と抑揚を与えている。特に舞台となるところに、キャピトル東急のオリガミや、ビルボードライブなどが出てくるだけで、僕などはわくわくしてくる。黒人探偵シャフトにあこがれて、ジャガーを衝動買いするところなど、まさにソウル・マンそのもので僕が痺れる。しかも、そのジャガーはかのR&Bシンガー、アリ・オリ・ウッドソンを載せたジャガーだ。(この事実は小説には出てこない。フィクションだからw) そういう意味ではオシャレな都会的な小説でもある。
なによりも、文章が書きなれているせいか、そして、音楽プロデューサーであるせいか、文章にリズム感、グルーヴ感が感じられる。それが遅読の僕でも一日で一気に読めた大きな要因であることにまちがいはない。
キャラクター。
小説、物語の一番の肝は、僕はストーリーの起承転結と登場人物の個性・あくの強さだと思う。そんな中、このドラマ・プロデューサーの多田羅の傲慢ぶりといったら。じつにそのキャラクターがよく描けているので、一読者として仮想敵としてどんどん大きくそのイメージが膨らんでいく。そして、プロデューサーとしての主人公の悟の考え方、生き方などもはっきりしているので、こちらはどんどん気持ちが入り込んでいく。
何度もダメだしをされるテーマ曲は果たしてどうなるのか。そのドラマ自体はどうなるのか。砂の上にかろうじて立てかけられてきたさまざまなピースが誰もが予期せぬ出来事で一瞬で崩れていく。
テーマ曲は、ドラマは、悟は、義人は、そして、多田羅は?
約24万字(文芸誌的に言えば600枚)、エンタテインメント界のメロディーが聴こえてくるようなジェットコースター・ストーリー。早くも次作が楽しみだ。
■永遠の仮眠
永遠の仮眠 単行本 – 2021/2/17
松尾 潔 (著)
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ベイFM ゴールデン・ミュージック・ジャーニー~松尾潔のメロウな休日
2021年5月4日(火・休日)13時~19時
千葉FM ベイFM 78.0mhz
DJ 松尾潔 小島麻子
ゲスト 林剛
ラジコ https://radiko.jp/#!/live/BAYFM78
松尾潔さんが、千葉のFM局ベイFMで今日(5月4日)13時から19時まで約6時間生放送。ゲストに林剛さん。たっぷりR&B談義が聴けそうだ。
(左・松尾潔、右・林剛)
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