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がんゲノム - クローン性造血CHIP

絵はAIが勝手に生成した絵です。

クローン性造血(CHIP)は特にリキッド・バイオプシーが始まってから広く知られるようになった概念である。

リキッド・バイオプシーとは、血中に流れているDNAの配列を調べるというものである。血中には、血球などの壊れたときに細胞外に出たDNAの断片だけでなく、腫瘍細胞が壊れたときのDNA断片も流れており、これをDNA解析することをリキッド・バイオプシーという。

腫瘍細胞のDNAを調べているわけではないので、この検査で見つかった全ての異常な変異(病的バリアント)が癌や腫瘍細胞に由来するものとは限らない。
健常人の血液解析によって、加齢に伴いエピジェネテクスに関わる遺伝子変異が起きることが明らかにされた。これらは「クローン性造血;CHIP*」と呼ばれている。具体的には、白血病などの血液腫瘍でしばしば見られる特定の遺伝子変異を指し、DNMT3AやTET2、ASXL、JAK2、TP53などが挙げられる。
* Clonal hematopoiesis of indeterminate potential

例えば、がんゲノムで腫瘍組織ではなく、血液を用いたリキッド・バイオプシーなどにおいては、DNMT3A, TET2, ASXL, JAK2などの変異は4割強くらいに見られ、とくにDNMT3Aの変異が最も多い。

65歳上の高齢者では10%以上にこのクローン性造血を伴う体細胞変異を認めるのに対し、50歳未満では1%に過ぎず、加齢とともにクローン性造血を示す割合が増加することが明らかになった。これはN Engl J Medの2014年12月25日号に掲載された2本の論文に基づく。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1409405

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1408617

このクローン性造血の医学的意味は、AMLやMDSなどの造血器
腫瘍の発症リスクが10倍以上に増えることが挙げられる。血球数に異常を認めないCHIPの病態は、経過とともに血球数減少や異形成、芽球増多を伴い、AMLやMDSへ進展すると考えられている。CHIPから造血器腫瘍への伸展は、おおよそ年0.5~1%と報告されている。


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