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がんゲノム…ではないけど、乳癌とアルコールの関係について

はじめに

遺伝や、ホルモン、行動的要因が乳がんの発症に寄与します。そのうちアルコール摂取という行為は、乳がんのリスク増加に関連する修正可能な行動と言えるもので、ホルモン依存性の乳がんの発症や、内分泌治療後の疾患の進行や再発と関連しています。
絵は「乳がんとアルコール」というテーマで頼んだらAIが書いてくれました。

https://ascopubs.org/doi/full/10.1200/JCO.2017.76.1155?role=tab


アルコールと乳癌

欧米の研究結果によると、全乳がん患者の5%はアルコールの影響を受けていると言われます。また日本の研究でもアルコールを週に150g以上飲む女性は全く飲まない女性に比べ、乳癌のリスクが1.75倍(閉経前で1.21倍、閉経後で1.78倍)であることを示す論文が報告されています。


分子的な意味合い

エストロゲン受容体 (ER) 陽性乳がん細胞に対するアルコールの影響について、分子生物学的、ゲノム的なアプローチを適用することにより、アルコールの作用の分子機構が調べられています。この研究によると、アルコールは細胞増殖を促進し、成長因子シグナル伝達を増加させ、ER 標的遺伝子(GREB1という遺伝子)の転写を増加させ、一方、一般的な標的であるTFF1/pS2 は変化しませんでした。
アルコール処理後のマイクロアレイ分析により、多数のアルコール応答性遺伝子が同定され、その中にはアポトーシスおよび細胞増殖経路で機能するものが含まれています。さらに、腫瘍における応答性遺伝子セットの発現プロファイルは、内分泌療法を受けた患者の臨床転帰と強く関連していました。
同様に、アルコール摂取は、ER陽性乳がん細胞における内分泌療法薬タモキシフェンの抗増殖効果を減弱させていました。その応答性遺伝子の寄与やその機能を調べるために、腫瘍におけるそれらの発現差を結果群間で評価しました。すると癌遺伝子であるBRAF は、予後不良の患者でより高い発現を示す、アルコールおよびエストロゲン誘導性の新規遺伝子として同定されました。さらに、BRAF をノックダウンすると、乳がん細胞の増殖が阻止されました。

BRCA1やBRCA2、PALB2、ATMとの関係は・・・?と気になるところですが、以前の報告では細胞実験レベルではBRCA1の低下が示されているそうですが、今回の実験ではBRCA1は変わらないということで、別のシグナルで関わっているのか、と言う考察でした。

乳癌リスクの高い人はお酒の大量摂取は控えた方がよい、という結論かと思います。

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