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息苦しい世界
パワハラ、セクハラ、モラハラ、マタハラ、カスハラ、スメハラ、エイハラ、、、、最近ではホワハラ(ホワイトハラスメント)なんてのもあるらしい。半分冗談でやっているうちは良いが、気にする人や真に受けてこうした言葉を乱発する人が増えれば息苦しい世の中になるだろう。
ちょっと前に「老人は全員自害すればよい」的な事を言って炎上した成田さん。彼が言わんとしている事はそういう事ではないが、結果的に世代間対立を煽った事には変わりない。芸人がさんまやたけしに対して「いい加減引退してくれ」などと言っているうちは良かったが、無条件で世代によるステレオタイプで物言う人が増えてくれば息苦しい世の中になるだろう。
人手不足だ人手不足だと騒いでいる割には仕事がない中高年や昼間からブラブラしている(主に低学歴な)若者が多数居る。人手不足ではなく「雇用のミスマッチ」と「労働の対価(賃金)」(付け加えると、日本の場合、「雇用の流動性」もある)が問題な訳で別に人手は余っている。これが過ぎるとアメリカの様にご都合主義で外国人労働者を受け入れておきながら「彼らが仕事を奪った」などと言いだす人が増えて息苦しい世の中になる。
一昔前のアメリカではaffirmative actionというものがあったが、それがマジョリティ(主に白人、主に男性)に対する逆差別になっていた、とする意見もある。誤解を恐れずに言えばついこの間まで多くの企業が推進していたDEI(Diversity, Equity and Inclusion) も同じ思想だったがそれがトランプ政権の元、急速に廃止/撤退の動きになっている。行き過ぎた保護政策は必ずどこかに歪を生むがそれを是正しようとすると振り子の様にまた弱者にしわ寄せがくる。
すべては「富」と「権力」の不均衡が根底にあるのに富裕層や権力者との間の対立を煽っている人は意外と少ない。これは日米共通してそうなので多分どの国(地域)でも同じようなものなのだろう。「弱い者たちが夕暮れ、更に弱いものを叩く」という歌があったが、ハラスメントも、老人の迫害も、外国人排除も、人種・性別差別も、結局は不満を持った弱者階級の者が自分より少しだけ良い思いをしている(と思い込んでいる)別の弱者階級を叩いているだけで何の解決にもなっていない。ただ世の中をギスギスさせているだけだ。
オレはこういうのには参加しない事にしている。というかこういうのが「ある事前提」で生きている。不平不満があってもそれを根本から変える力がオレにある訳でもないし、オレは叩く側でもあり叩かれる側でもあるからだ。その前にやるべきことは沢山ある。「幸せ」に絶対的な定義は無く、自分なりに努力して見出し、自分で納得するものだ。