手作業で打ち込まれた無数のリベット
48万本ものリベット
旭橋を一度でも通ったことのある人なら、いたるところにたくさんの丸い鉄の鋲が打ちつけられているのに気づいたでしょう。これはリベットといい、鋼板を接合するためのもので、旭橋にはなんと48万本以上のリベットが使われています。溶接技術が発達した現在では考えられない、気の遠くなるような作業によって、旭橋は支えられているのです。
このリベットを打つ職人ですが、その作業者を「カシメ屋」と呼び、「鉸鋲工」と書きました。
カシメ屋は、常温のリベットを鉸鋲に適する温度まで加熱します。大よそ1100℃まで熱します。
熱源はコークスや石炭でした。この炉を「ホゾ」と呼びました。
ホゾでリベットを熱し、約1000度を超えると桜色になってきます。それを長い火箸で取り上げ、接手の位置まで投げて渡します。
受け手は大きめの取っ手の付いた漏斗状の受け口で受け取り、リベット穴に火箸で差し込みます。
頭のある方を盤で押さえ、リベットハンマーを持った打ち手が棒状の軸をハンマーでたたき半球状の頭が形成されるまで打ちこみます。
90年間旭橋を支えてきた無数のリベットの一つ一つが、このようにして打ち込まれていたのです。