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手作業で打ち込まれた無数のリベット

48万本ものリベット

旭橋を一度でも通ったことのある人なら、いたるところにたくさんの丸い鉄の鋲が打ちつけられているのに気づいたでしょう。これはリベットといい、鋼板を接合するためのもので、旭橋にはなんと48万本以上のリベットが使われています。溶接技術が発達した現在では考えられない、気の遠くなるような作業によって、旭橋は支えられているのです。


直径5センチ程度、びっしりと打ち込まれたリベット。
熱した鉄の鋲を穴に差し、叩いて打ち込むことで半球状の頭で挟み接合していきます。
橋門構にはリベットのほか、北海道で初めてとなる溶接技術も使われています。これら高所部分のリベットの打ちこみは特に大変だったことでしょう。

上で、漏斗を火箸で叩く「カンカラカン」と音が聞こえたら、地上でまっかっかに熱したリベットを勢いをつけて、上の職人に投げて渡すのよ。
受け取った職人は間髪入れず、リベットを穴に打ち込むわけさ。延々とその繰り返し。それはもう、見事なもんだ。

建設当時、鉸鋲工だった高橋さん(平成16年取材)
可動部であるロッキングカラムの接合にはボルトが使用されています。

このリベットを打つ職人ですが、その作業者を「カシメ屋」と呼び、「鉸鋲工」と書きました。
カシメ屋は、常温のリベットを鉸鋲に適する温度まで加熱します。大よそ1100℃まで熱します。
熱源はコークスや石炭でした。この炉を「ホゾ」と呼びました。
ホゾでリベットを熱し、約1000度を超えると桜色になってきます。それを長い火箸で取り上げ、接手の位置まで投げて渡します。
受け手は大きめの取っ手の付いた漏斗状の受け口で受け取り、リベット穴に火箸で差し込みます。
頭のある方を盤で押さえ、リベットハンマーを持った打ち手が棒状の軸をハンマーでたたき半球状の頭が形成されるまで打ちこみます。
90年間旭橋を支えてきた無数のリベットの一つ一つが、このようにして打ち込まれていたのです。

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