コンビニ人間
⭐️あらすじ⭐️
主人公の恵子は36歳独身女性。18年間コンビニでアルバイトをしてる。
彼女は小さな頃から、自分に対しても人に対しても人間らしい感情を抱かない人だった。例えば、公園で死んでいる小鳥を発見した時、周囲の友人は悲しがっているのに、恵子だけ「今日の夕飯にできる」とよだれを垂らしようになってしまうような、不思議な子だった。家族は少しでも恵子に「普通の人間」らしくなって欲しくて、惠子の個性を治そうとカウンセリングに通わせたりするが、家族が期待するような効果はでなかった。
そんな恵子は大学生になってコンビニでバイトを始める。秩序正しく、毎日が正常に繰り返されるコンビニに、恵子は居心地の良さを覚えるようになり、恋愛もせず就職もせず、コンビニのバイトに明け暮れる日々を送っていた。
⭐️レビュー⭐️
いわゆる常識を持ち合わせていない恵子をモチーフとして、「異物を排除したがる社会」を描いた作品でした。
「就職は?」「結婚は?」「子供は?」
人が世の中に求められているものは多すぎる。多様性が叫ばれる社会になってきてはいますが、未だ小説やドラマでは結婚したり、子供を産んだりすることで物語がハッピーに終わるものが多いですよね。
私が考えるに、多くの人が恋愛するのは、「寂しいから誰かにいてほしい」という理由と、「結婚してないと変に思われる」という理由のだいたい2つじゃないかなぁとこの年になって思っています。そもそも恋愛している人の中には「恋に落ちて付き合う」のではなくて「付き合いたいから付き合っている」という人も多くいるんじゃないかなぁ。こんなにみんな「付き合いたい」って思っちゃうから、「付き合いたい」って思わない人は普通とは違うと思われてしまうきらいがあるし、辛くなっちゃうよねぇ。
まぁそんな話はさておき、ずっとアルバイト暮らしの恵子は周囲にプライベートなことを詮索されないために、周囲に境遇を質問された時の回答として「今の状態でいる偽の理由」を考えます。
「体が弱いから」「親の介護があるから」など、コンビニで働きたいのに多くの人に共感されないから、嘘をつきながら生きるのです。
この描写に、そもそも人は他人のことを自分と同じ人間だと思いすぎているのではないかと思います。言葉が一緒で、肌の色や体格が何となく似ているから、「同じコミュニティで暮らすならこうするのが当たり前でしょ」って自然と思っているのではないでしょうか。
こう言っている私も人を偏見で見てしまう節があります。もっと自分の異なる属性の人とあって、いろいろな当たり前があることを受け入れなければなりませんね〜。でないと、お話に出てきたコンビニを馬鹿にしながらコンビニ店員として働く白羽さんみたいに、コンプレックスを拗らせた大人になってしまいそうだ。
この物語は、「26歳までには結婚して、28歳までには子供産んで〜」となんとなく理想を持っていて、その人生が本当に幸せかもあまり考えずに、そうするもんだと思っている人に読んでほしい本ですね!考え方の幅が広がって勉強になるよ!