音楽とオーディオマーケットについて思うこと。だから何なんだ?って言わないでね。
note3編目の投稿です。
これまで経験したことを踏まえた上での『いま考えている、ちょっと専門的なこと』を書いていくのもいいかな?と思っています。どうしても自己主張したい!ってワケでもないのですが。
前回は新しいヘッドホンを入手して、子供みたいに喜んでいる自分の図を書いてみましたが、今回は音楽とオーディオマーケットについて少々。
『歌は世につれ世は歌につれ』というフレーズがありましたね。最近はめっきり聞かなくなった諺ですが、ミョーに心に残っております。年末の歌番組で司会の方が発していた言葉だからかな。もう11月も後半なタイミングでコレを書いていますからね、思い出したのかも。
世の中すべてのことが『〇〇につれて』変わるワケはないけれど、そして変わってはいけない大切なこともあるけれど、ワタシが長らく生息しているオーディオ業界って『変われなかった世界』なのかなって思います。先人たちが開発・発展させてきた『音楽を聴くための素晴らしい機器』が世情に沿えず『オカネに不自由のないオジサンが、往年のジャズやクラシックを聴くため(だけ)の機械』になってしまっているような。もったいないことです。
いま『子供からお年寄りまで、誰もが知っているビッグアイドル』って不在です。音楽のカタチがすごく多様化されていて、それぞれのチャンネルにコアなファンがいて、各々がソコを深く掘っている感じ。そしてみなさん、掘るために結構な投資もしていらっしゃる。
とても素晴らしいことです。こうやって新しい文化が生まれ育っていくのです。コレがいまの世情です。良い意味で『オタクは楽しい』ってワタシも思っております。みんな一律である必要はないのですよね。
多様化された音楽を、みなさんはどんなふうに聴いているのでしょうか。
数年前『オーディオ村のブーム』みたいに勃発した(とワタシは思っている)アナログレコードの人気が、なんだかポピュラーな位置で安定しています。『どうせ一時的な流行病でしょ?』って高を括っていたのですが、それは間違いだったようです。音楽好きな普通の人たちが『やっぱアナログレコードってイイよね』って、ビニール製の円盤を愛でている模様。
一時は廃れてしまったアナログなフォーマットが『不変なもの』として再認識されたのですね。多様化社会でも、不変なものはやっぱり残るのです。
そして残念なこともあります。音楽レーベルも再生機器メーカーも、あんなに張り切って始めたハイレゾ音源の販売が、それこそ『村のブーム』にとどまって、市民権を得られなかった。コレについては言いたいこと山盛りですが、おおよそ悪態発言になるので避けます。ワタシは数々の『ハイレゾリマスター音源』をリリースしてきましたから。
アナログレコードを大切に扱い、日々生活の中では気軽にストリーミングサービスで音楽を聴く。不変であるものと、時代と共にカタチが変わっていくものの共存。これが現代の音楽の楽しみ方なのでしょう。
さて、それらを楽しむための機器ですが。やっぱり世情に沿えていないように思えます。不変でも応変でもなく『適切に変われなかった』のではないか。端的に言えばオーディオ機器は高額すぎて偉そうすぎ。なんだか面倒臭そうで簡単に所有できそうにない。
ワタシがオーディオの仕事を始めた80年代後半、機器たちの扱いはもっと手軽で楽しいものだったように記憶しています。もちろん弩級の高額品もありましたけどね、でも入り口はもっと開かれていたような。
みんなが知っているビッグアイドルも、まだいましたから。レコード会社も元気いっぱいでした。音楽を聴くことに、みんなが熱心だったのかもしれません。オーディオ機器の必要性が今より高かったのは必然です。
ここ20年くらい、オーディオマーケットは『とっても高額で、正確に音を聴くための工業製品』を作り出す方向に向かっているように見えますが、ワタシは『適価で、楽しく音楽を聴くための本物な玩具』みたいな機器を発掘して、ひろく紹介していきたい。まずは楽しさのキッカケに気づいてもらえるよう、たくさん喋っていきたいと思っています。
そしてその中から『次のステップに上がりたいから、ちょっと高くてもいいから、さらに素敵なヤツを買いたい』って。そんなふうに言ってくれる方が現れたら幸せです。高額品は決して『悪』ではありませんから。大切なのは今の楽しみをキチンと消化した後で、次のステップを踏むこと。
*まとめです。
音楽とオーディオって、本来は同じ文化の両輪だと思うのですよ。音楽界とオーディオ界がもっと寄って、気軽な楽しみからマニアックな高級趣味まで、多様な生活環境に彩を添える提案をしていかねばならないのではないかと。
だから有志なみなさん、一緒に考えていきませんか?どうしたら音楽文化が廃れず、ミュージシャンもリスナーもハッピーになれるのか。
ワタシはそんなことを考えています、っていう今編でした。
あ、そうそう。最後に小ネタを。
実はビンテージSPUを入手しちゃったのです。いまメンテナンス中。きっとそのうちnoteにも登場すると思います。文中に何度も登場する『不変』っていうのは、ortofonのSPUみたいに『変わらないように見えても、実は細かくアジャストしてきている奴ら』を指すのではないでしょうか。温故知新、メンテナンスの上がりが待ち遠しいです。
ではまた来週に。
2022.11.23