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禁漁3日前から連チャンで渓流釣りに行った話(後編)

翌日。昨日の魚影を忘れられずに旧道を進んで行きます。

あれ、あれれ・・・。


車停めがどこも埋まっています。それどころか至る所に路駐の軽トラ、軽バス。

それもそのはず、この日は禁漁前最後の土曜日。もうめっちゃ混んでます。路駐して川を覗き込むと、点々と釣り人の姿が確認できました。


これはあかん。

取り急ぎ、昨日プールを発見したあたりに路駐。さっさとあの大物釣り上げて移動や!


なーんてうまい話があるわけもなく、プールに突き出した大岩の上にはすでに先行者が陣取っておりました。


テンカラ竿のお爺さん。竿を垂らしていますが、どうやら釣れていない様子。静かに声をかけて挨拶します。

「おう、この辺は最近はさっぱりだから他へ行ったほうがいいぞ。」

やっぱりそうなのか。昨日の魚影の話をするも、すっかりスレてしまっている魚ばかりで、フライも餌釣りも難しいとのこと。そんなことを言いながらもお爺さん、その場を動く気配もないのでここは諦めて移動をすることに。いっそ別の支流へ行こうか。

さらばY川、また来年。

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さて、ではどこに行こうかと考えつつ、おもむろにアクセルを踏み込む。新道へ戻り、トンネルを2つ超える。渡った大橋から遥か下に渓流が見える。N川だ。こちらも私のホームグラウンド。しかしここ2年ほどはご無沙汰していたため、車停めの位置もすっかり忘れてしまった。


スマートフォンはすでに圏外です。工事関係者の乗るハイエースや大型ダンプくらいしかすれ違いません。この道をさらに奥へ進んでも、山間に隔離された小さな農村が点在するのみ。最寄りのコンビニまで1時間以上かかります。


良さげな車停めを見つけ、例によって先行者の確認に車を進めます。1kmほど先に白いエブリイが一台、もう少し先にこちらはシルバーのエブリイが一台。先ほどの車停めから入渓する分には問題なさそうです(もう手付けはされているでしょうが)。


ウェーダー を履いて、いざ入渓。この時点で既に14時。太陽はてっぺんを超えていますが、ここは光の届かない森の中です。

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ふと来た道を振り返ると、雄のキジが山道を横切りました。あれ捕まえて羽何枚か貰いたいなあ。来年のフライは材料も全部自前でいきたいね、などと毎年思っています(思うだけ)。


着水。おそらく今日は既に探られているであろうポイントに、改めてラインを打ち込んで行きます。


小さな落ち込みに3投ほどでヒット!

でも手応え弱い!引き寄せると

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あんレーこれまたちっちゃいヤマメ。昨日のと変わらぬスモールサイズです。

しかしながらこのヤマメを寄せる際にバシャバシャと騒いでしまったため、近くの良サイズヤマメを逃がしてしまったのでした。


気を取り直してもう一投。おっ、またきた!

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ありゃ!またまた小さいのが。横腹の点々はさっきのより多いですが、大きさは大して変わりません。


そしてこの後しばらくアタリなし。ポイントをつっ突きながら釣り上がりますが、いそうでいない。いや警戒されているのか。先行者の足跡が至るところに確認できます。


2kmほど進んだでしょうか、ふと開けたプールを発見。光が線状に水面を照らす、まるでもののけ姫に出て来そうな景色です。

熊避け鈴をチリリンと鳴らし、岩沿いにぐるりと回り、水中に目をこらす。


いた!超級のヤマメ!それも4匹ほど確認!

岩を挟んで私には気づいていない様子。少し手前からドライを垂らします。


しかし、全く見向きもしません。


定位した状態でゆらゆらする魚影の上を、リーダーを光らせてフライがスルーして行きます。


4投、5投・・・。


だめだー、全然反応しないやな。


ウェットにしても反応は変わらず。見向きもしないどころか、ウェットを流すと近くにヒュンと逃げてしまいます。

しかしそのポイントがよほど気に入っているのか、5分と経たずに定位置に戻ってくる。バシャバシャと腹を岩場に擦り付けては、その度に横腹がキラキラと光る。


無反応なキャストを何投か繰り返し、ふと時計を見る。16時30分。

子供のお迎えまで後わずか。

どうするか、ここは諦めてもう少し(あと10分くらいだけど)釣り上がるか・・・。


そんなことを考えながら最後にもう一投。いずれにせよこのポイントはこれで終わりにしよう・・・。しかし案の定フライは大物ヤマメの頭上をナチュラルドリフトして行きます。

あー・・・とため息をつきながら流し切る最後の瞬間。

グンっとしなるロッドトップ。

きたーっ!


と思ったのもつかの間、


「バキン」

という軽やかな異音と共にロッドが真っ二つに。

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(帰宅後に撮影)


ああああああああああああやっちまったーーーー


どんだけ獲物が大きかったのか、それともロッドの寿命だったのか、はたまた私がテンパって無理に力をかけすぎたのか、我がお竿様は天に召されてしまいました。


どないなっとんねーん!

でもここで帰るわけにいかん!お竿さまの敵討ちとばかりに、ウェーダー を履いた状態でダッシュで車に戻ります。荷台からスペアの竿を取り出し、再びダッシュ。


プールに戻ると、


当たり前のように大ヤマメの姿はありませんでした。


涙ちょちょぎれるわ・・・。

帰ろう。帰ってお竿様の墓を作ろう。


そう思いながらこれで本当に今年最後の一投。

無心(放心)で最後の最後まで流し切り、


アレッ!?きたーー!

またきた!先ほどのような大アタリではないものの、ビンとした引きを感じます。

引き寄せると

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ほえーようやくマシなヤマメちゃんが釣れました。およそ20cmほどでしょうか。メジャーで計る前に、自力で針を外して上流へと帰って行きました。


帰ろう。これでようやく竿納めができた。しかしながら代償は大きかったな・・・。


帰りの車中は小さな達成感と大きな無力感、様々な感情と疲労感でグッタリでした。でもこれに懲りずに来年こそは逃した大物を仕留めたいと思います。レッツリベンジ!



これが私の令和元年、竿納めの一部始終でございます。長々駄文、お読みいただきありがとうございました。


本日の釣果・・・5cm ヤマメちゃん 2匹

        20cmヤマメさん  1匹

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