#7 立体配線技術「LDS」とは!? 材料選定から量産までをご紹介
今回はMIDやLDS技術についてと、ヱビナ電化工業(株)のLDS技術”3LM”について、樹脂材料の選定から試作、量産までの一連の流れをご紹介したいと思います。LDS技術にご興味のある方はぜひ最後までお読みください。
<目次>
●MIDとは?
●LDSとは?
●ヱビナ電化工業のLDS技術"3LM"
●材料選定、試作、量産の流れ
●MIDとは?
MIDは「Molded Interconnected Device」の略称で、1)樹脂成形品、2)3次元形状、3)3次元回路、の三要素を基本とし、樹脂成形品表面に金属膜で回路形成したものをいいます。MIDは、樹脂成形品表面にめっきやホィール等の金属膜で回路(電極)を形成したモールド部品であり、構造部品に回路・電極やコネクタ、シールド効果などの機能を盛り込んだ構造体かつ電気的機能(特性)をもつ複合部品化が可能です。
(※日本MID協会HPより引用)
●LDSとは?
LDSとはLaser Direct Structuringの略称で、LPKF Laser & Electronics株式会社様が開発したレーザーによる配線形成技術(MID技術)のことです。金属錯体が分散した樹脂材料にレーザーを照射することで、照射部分のみ選択的にめっき皮膜が形成できます。立体物にも直接配線の形成が可能なため、省スペース化が期待されます。
●ヱビナ電化工業のLDS技術"3LM"
ヱビナ電化工業は創業以来の“めっき処理メーカー”です。ノートパソコンの筐体部分への電磁波シールドめっきの量産経験がある等、LDSと手法は異なりますが樹脂材へのめっき経験が豊富です。現在は環境に配慮し、いわゆる従来の“プラめっき“は行っておりませんが(*1)、有害な薬品を使用せずに樹脂にめっきが成膜できるLDS技術に早くから着目し、2013年に日本で初めてLDSのレーザー加工機を導入しました。LDSの技術は、樹脂に対するレーザーの照射条件だけではなく、レーザーとめっきの相性も大事なポイントとなります。弊社では、長年培った”めっき”技術の経験からレーザーとの最適な組み合わせ条件を検討し、"日本で唯一のLDS認定メーカー"(*2)としてお客様のご要望に応じた開発を進めています。
*1:従来の一般的な「プラスチックめっき」は、めっきの下地処理として、6価クロム酸を使用して樹脂材料とめっき皮膜の密着を確保しています。弊社でも過去には主力事業として、6価クロム酸を使用した量産ラインを所持しておりました。この6価クロムが環境規制物質に指定されることをきっかけに、このプラスチックめっきラインは2015年に工場から撤廃しました。
*2:2021年12月現在
※”3LM”の詳細はこちらより
材料選定~量産までの流れ
LDS技術はどのような流れで作製されるのか、その流れをご紹介します。
●回路設計
まずお客様の配線したい回路を設計いただき、LDSが適用可能なデザインかを確認させていただきます。技術的に難しい場合は、弊社より別デザイン等をご提案させていただく場合もあります。
●樹脂材料選定
LDSには専用の樹脂が必要となり、樹脂によりレーザーの照射状態やめっきの析出性が大きく異なります。樹脂選定をしっかり行うことでその後の工程がスムーズとなるため、弊社ではお客様の要求事項を伺い、それらを満たすような樹脂材料をご提案させていただきます。LDS向けに樹脂材料を開発された場合は、弊社で「LDS材料認定評価」も対応可能ですのでご相談ください。
もし、現行で使用中の樹脂に対しLDSを試してみたい場合は、樹脂上に特殊な塗膜を施すことで配線形成することも可能ですので、ご相談ください。
※LDS認定材料やLDS材料認定評価についてはこちら
●樹脂成形
お客様や樹脂成形会社様にて、LDS樹脂材料を成形します。一般の樹脂と同じように成形することが可能です。
●レーザー、めっき(テストサンプルに配線形成)
樹脂成形品と加工図面をお預かりし、レーザー照射とめっき処理を行います。弊社ではLDS技術への切り替え可否や、現行のMID技術との性能比較など、量産化に向けたサンプル作製は1つから試作を対応いたします。
●実装・評価 ⇒量産へ
試作として作製したテストサンプルをご返却し、お客様の元で実装・評価を行っていただきます。品質にご納得いただけましたら、試作時の処理条件のまま量産へ移行することが可能です。量産時は品物を引っ掛けるめっきジグやめっき槽のサイズなどが異なりますので、量産条件でも試作時と同様の品質が得られるか、施工前にテストさせていただきます。
弊社の工場は東京・大田区にあり、国内での一貫生産が可能です。弊社内にて処理液や廃液の分析も可能ですので、めっき処理液の組成管理はもちろんのこと、排水処理施設も構えて、廃液も監視しながら業務を行っております。また、本社工場はISO9001、ISO14001を取得しており、お客様へご満足いただける品質、工場環境を目指しております。お打合せ等で弊社にご来社いただく際は工場見学も可能ですので、ご希望の方はお声がけください。
今回は、MID、LDS技術についてとヱビナ電化工業の"3LM"についてをご紹介しました。LDSはどのような流れで作製されるか、イメージが湧くようになりましたか?
まずは技術についてご相談したいという方や、具体的案件のある方は、ぜひご連絡をお待ちしております。
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