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#3 町工場からコーヒー焙煎所へ(BUCKLE COFFEE)

今回は、元々町工場だった場所で、現在はコーヒー焙煎所を展開しているBUCKLE COFFEEに伺いました。新事業を始めた経緯やコーヒーの品質について、お聞かせいただきました!

<目次>
●コーヒー事業を始めたきっかけ
●コーヒー事業の立ち上げ準備
●コーヒーの品質、こだわり
●コーヒーの皮の活用
●サスティナブルな経営を目指した取り組み
●企業との関わり

●コーヒー事業を始めたきっかけ
BUCKLE COFFEE 代表の石山さんのご実家(丸和工業株式会社)は元々シャッターの製造業で、大学卒業後は将来、社長であるお父様の補佐をするため、広告代理店でマーケティング職に就かれていました。将来的にはご自身が会社を継ぐことはなんとなく意識されていたそうですが、同じ事業を引き継ぐイメージは湧かなかったとのこと。

「ご自身が事業を始めるとしたらどんな事業が良いか?」そんな風にアンテナを張り巡らせながら日常を送っていたある日、これまでブラックコーヒーが飲めなかった石山さんも納得する、フルーティーで美味しいコーヒーに出会い、「これを事業として作り・広めたい」と決心したところから始まりました。


●コーヒー事業の立ち上げ準備
コーヒー事業をはじめようと決心されると、すぐに海外協力隊へ参加し、東ティモール民主共和国にて農作物から作る加工産品の開発・製造・販売管理を行いながら、現地の生産者の方と2年間コーヒーについて学ばれました。

ちなみに、東ティモールでは、計算が苦手な人が多く、例えば45円で仕入れたものを30円で売ってしまうことも。このような様々な課題を乗り越え、品質の向上・村人の収入向上に努められたそうです。

コーヒー事業の立ち上げ当初は、元の事業は継続したまま資材倉庫の一部を借りる形で、新たに“コーヒー事業”をスタートされました。コーヒー事業を始めると決心した石山さんは、東ティモールに行く前から同級生に声をかけて、現地からリモートで連絡を取りながら日本で最低限の準備を進めてもらい、なんと帰国2日後にお店をオープンされたそうです。素晴らしい行動力です。


●コーヒーの品質、こだわり
事業を開始した当初は、現在のような環境も整ってない店舗で販売していたため、1杯500円のコーヒーに対して「こんな場所で上手くいくわけない」と通りすがりの人に言われたこともありました。しかし、石山さんはそのような状況でも、本質を追及して品質を上げていくことに専念し続けたそうです。

例えば、赤いコーヒーの実は甘味や酸味をしっかり感じることができますが、この中にまだ未熟な緑色の実や虫食いの豆などを混ぜてしまうと、コーヒーが台無しになってしまいます。加工後はその区別をするのが難しいため、現地の方とはコミュニケーションを密に取り、高い品質を維持されています。

実際に輸入した豆が本当に最高の品質を有しているかの確認は、先入観に左右されないようにブラインド方式(銘柄を隠して品質をチェックする方法)で行われます。

BUCKLE COFFEEは、これまでに100種を超える”スペシャルティコーヒー”豆の中から取り扱う豆を選ばれています。焙煎時の温度などの条件はデータ取りを行って管理・改善するなど、町工場のモノづくり精神を感じるような部分もありました。

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●コーヒーの皮の活用
ところで皆さん、コーヒーの実(コーヒーチェリー)を見たことがありますか?コーヒーの木は白い花を咲かせた後、赤い実をつけます。その種子を焙煎したものが、普段よく目にする茶色のコーヒー豆です。焙煎時に種子を取り除いた、残りの果実や皮の部分を乾燥させたものは「カスカラ」と呼ばれています。

このカスカラは食べるのには適しませんが、紅茶のように煮出すことで「カスカラティー」として飲まれています。最近の研究では、ポリフェノールが豊富だということもわかってきており、スーパーフードとしても話題になっているそうです。

しかし、カスカラはまだ、利用される手段が少ないそうです。現地ではそのまま捨てることも多く、それが川に溜まり、土壌汚染を引き起こすことが懸念されています。カスカラティーとして利用することで、サスティナブルな社会に貢献できると石山さんは考えられており、現在商品化を検討中だそうです。

今回は特別に、このカスカラティーをグラニュー糖で煮詰めてシロップにし、炭酸水で割ったものをご提供いただきました。杏子のような香りとさっぱりとした味わいで、ミルクにも合いそうでした。今後、店舗のメニューに加わる可能性があるそうで、楽しみです…!

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●サスティナブルな経営を目指した取り組み
カスカラの活用以外にも、石山さんはサスティナブルな経営を意識されています。

例えば、将来的に保健所のルールが厳しくなることや自然災害を見据えて、最近に店舗の改装工事を行われました。また、近隣を配慮した措置として、90%程度まで香りをカットできるダクトも導入されています。店舗内は、焙煎のとても香ばしい香りがしていました…!


●企業との関わり
さて、なぜこの町工場の土地を店舗に選んだのでしょうか?
1つは、実家の倉庫を活用したため、家賃がかからなかったとのこと。
もう1つは、大田区はブルックリン(昔は造船業で栄え、今はその倉庫などを活用している)に近い街だと感じていて、それをイメージして経営をされています。

BUCKLE COFFEEには美味しいコーヒーで、METALISMの場にご協力いただくことになっていますが、これは弊社 社長 海老名と繋がりがきっかけになったそうです。また、店頭の看板はMETALISMメンバーである、望月塗工研究所さんで製作されたそうで、大田区の企業内での関わりも強いようです。

最近は、オフィス向けコーヒーサービスの展開を検討されています。コーヒーは毎日飲む人の"毎日の5分間"に関与できると考えられており、コーヒーをコミュニケーションが生まれるきっかけにしたいとのことです。

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これからイノベーションにチャレンジしていく私たちにとって、町工場から新しい事業へチャレンジされた事例はとても興味深く、石山さんの着眼点なども大変参考になりました。

また著者も、実際にBUCKLE COFFEEの”スペシャルティーコーヒー”をいただきましたが、とても香ばしく、深いコクがあるけれど変な苦みがない、とても飲みやすいコーヒーでした!京急線の雑色駅から徒歩5分程度ですので、ぜひみなさん、足を運んでみて下さい!

BUCKLE COFFEEの"スペシャルティコーヒー"は、私たちが入居している、HICityのZONE Kの208号室、”METALISM”のラウンジでも提供させていただく予定で、オリジナルブレンドも検討中です。美味しいコーヒーを飲みながら、皆さんとモノづくりの構想や課題をディスカッションして、イノベーションを起こしていきたいと思います。モノづくりにご興味がある方は、ぜひこちらにも足を運んで下さいね!

以上、町工場でコーヒー事業を始められた、BUCKLE COFFEEについてご紹介しました。それでは…!!



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