#8 LDS樹脂材料について、採用事例のご紹介
今回は、LDS(立体配線技術)が適用可能な「LDS認定材料」と、その認定評価である「LDS材料認定評価」、また材料選定から量産までをご対応させていただいたお客様の採用事例についてご紹介します。
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<目次>
●LDS認定材料とは?
●LDS材料認定評価について
●お客様のご採用事例
LDS認定材料とは?
触媒が含有されたLDS専用の樹脂材料のことで、技術の開発元であるLPKF Laser & Electronics株式会社様がLDS技術への適用を承認した材料です。LDS技術は、樹脂に含有された触媒をレーザーで活性な状態にすることで、金属皮膜の形成を可能にします。そのため、専用の樹脂材料が必要となります。
LDS樹脂材料の種類は多数あり、どれもLDSへの利用が認められたものですが、素材によってレーザーの照射状態やめっきの析出性が大きく異なります。例えば配線の見切りが悪い場合、レーザーの照射条件とめっきの処理条件が合っていない可能性も考えられますが、樹脂材料を変更することで大幅に改善するケースもあります。樹脂本来の特性(耐熱性など)も様々であるため、お客様のご要望を満たすには、適切な樹脂材料の選択が重要となります。
LDS材料認定評価について
LDS樹脂材料は、前述の通りLPKF社様より認定を受ける必要があります。ヱビナ電化工業では、LDS材料の認定評価も実施しています。2017年よりLPKF社様より認定評価の作業を委託され、現在は国内樹脂メーカーを中心に評価を行っております。そのため、早い段階からのLDS材料についての情報や、樹脂メーカー様とのコネクションも豊富です。
材料認定評価は、規定の条件で樹脂材料にレーザーを照射し、めっきの析出性(レーザー照射部分に十分なめっきの析出が見られるか)と、密着性(ピール強度測定)の確認試験を行い、一定の基準を満たしているかどうかを判断します。その結果をLPKF社様にご報告し、LDSへの適用が承認された場合に「LDS認定材料」として使用許可を得ることができます。
お客様のご採用事例
とある通信機器メーカー様より、樹脂上に直接配線を形成したいが、まずどの樹脂材料を選択すべきか迷っているとご相談がありました。実は、LDS認定材料は140種ほどラインナップがございます。ベースとなる樹脂の種類や樹脂に含有させる触媒成分などが異なり、最終的な製品の品質や特性に大きく影響するため、材料の選定は重要になってきます。更に、それぞれの樹脂に合ったレーザーの照射条件、めっきの処理条件が存在するため、初期段階で適切な樹脂材料を選定することで、その後の評価や量産までを円滑に進めることができます。
今回のお客様は、通信機器向けの部品に対し、とても狭いエリアで配線形成が必要とのことでした。既存のFCP基板の貼り付けでは技術的に対応が難しくなってきたため、LDSを採用して省スペース化を実現し、製品化させたいとのことでした。お話を伺う中で、お客様が最初に想定していた樹脂材料では配線パターンの形成が難しく、量産時の品質が安定しないことが懸念されたため、弊社より他のLDS材料をご提案させていただきました。
その樹脂材料にて試作を行い、お客様の元で性能評価を行っていただいた結果、求めていた性能が確認されました。実機での条件も満たすことができ、品質にご満足いただけたため、その条件で量産も対応させていただく運びになりました。
ヱビナ電化工業では長年培われためっき技術を保有しつつも、材料認定評価作業の実施などによりLDS材料に対する幅広い知見もございます。レーザー照射やめっき処理だけでなく、樹脂材料のご提案から回路設計、成形会社様のご紹介などもご対応いたします。弊社のネットワークも活用し、常にお客様の課題解決に積極的に取り組み、貢献していきたいと考えております。LDS技術を検討したいというお客様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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