大豆田とわ子と三人の元夫から受け取るメッセージ
とても楽しみにしていた最終回。
待ち望みすぎて寝落ちしてしまい、ようやく見終わりました。
フジテレビドラマ 火曜21時
「大豆田とわ子と三人の元夫」
3回結婚して3回離婚した、つまりバツ3の「大豆田とわ子(松たか子)」
元夫①「田中八作(松田龍平)」②「佐藤鹿太郎(角田晃広)」③「中村慎森(岡田将生)」
3人の物語。タイトルのままですね!
とわ子に4番目の結婚はあるのか?それとも3人の中から選ぶのか?
脚本家 坂元裕二さんらしいドラマがきたなー!と思いました。
カルテット・最高の離婚・いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう
そして今年初めに公開の「花束みたいな恋をした」に続く
結婚や恋をメインテーマにしたお話。
今回はどんな切り口で行くのでしょうか。。とても楽しく見ることができました。パラパラと4つのポイントにまとめてみました🤗
不思議な設定
とわ子は社長、八作はお店のオーナー、鹿太郎は有名カメラマン、慎森は弁護士と、4人ともある程度の富裕層という設定である。
その他にも、元夫たちがとわ子と家族会議を開いたり、頻繁に遊びに行ったりと、普通ならありえない光景が映し出される。
さて、これが富裕層ではなく、お金のない4人だったらどうなるのだろうか...?
ここからわかるのは多くの選択肢がある4人が集結しているということだ。
お金を持ち、元夫たちと話しあえ、ひとりで生きることもできる。とても自由なのである。
しかしその自由が広すぎるが故、本当の幸せを見つけるのは困難であり、結果正解がわからない。幸せへのジャーニー物語はこの設定だからこそ味が出ているように感じている。
音楽の魅力
エンディングはトラックメイカーの「STUTS」が担当しているが、なんとも驚きなのが毎回ゲストでラッパーを呼んでいることである。
金持ち高貴族な設定の出演者と令和のイケてるラッパーがラップをする。そしてとわ子は透明なボイスで歌い上げる。
しかし全く滑稽ではなく非常に馴染んでいるのだ。
最後の最後まで、新しい時代の色を描き続ける脚本家坂元さんと佐藤プロデューサーは若者をワクワクさせてくれる。
名シーン
とわ子の親友「綿来かごめ(市川実日子)」が突然亡くなってしまった。そして亡くなったにも関わらず、葬式のシーンまで呆気なく過ぎ去った。しかしその後、とわ子と八作はひきづり、思い出すことが辛いのであまり会わなくなった。しかし、かごめとともに生きていこうと決意したのである。
まずこの死は自殺によるものなのか、病気や事故であるかははっきりと描かれていない。多くのドラマや映画では死という出来事をクライマックスに置いているのに、あまりにも詳細がないのだ。
とわ子が「この死をかごめは予測していたのかもしれない」というシーンがある。死というのはネガティブなイメージを抱くことが多いが、生きていく上で当然訪れることであり、選択することも自由であるということを伝えたかったのではないだろうか?
亡くなったとしても、生存者の心の中には生き続ける。生と死に直面する全ての人へのポジティブなメッセージであると私は受け止めている。
結婚とはなんなのか。
最終話でとわ子は亡くなったお母さん(つき子)が残した「國村真」という人へのラブレターを発見した。それは実父ではなく浮気相手であった。
とわ子は娘と一緒に國村さんに会いに行ったが、そこに現れた國村真は女性(風吹ジュン)であった。
とわ子は「何故つき子さんは私と父を捨てて、こんなにも大好きなあなたのところへ行かなかったのでしょうか」と聞くと、
「つき子は夫もあなたのことも愛していましたから、とても幸せだったと思いますよ。」と國村さんは答えた。
昔は自由ではなく、女性と付き合うということは今より遥かにタブーとされていた。
それでもつき子は幸せだったということにとわ子は涙を流した。
國村さんと付き合わずとわ子と夫と過ごしたことは妥協ではなかったのだ。
今は少しずつジェンダー差別もなくなると同時に、選択肢の幅が増えてきている。ただ反比例的に本当の幸せが何なのかがわからなくなる現実もある。
ここで初心に戻ってみた。
結婚とはなんなのか。
どんなに好きであっても、それが結婚相手とは限らない。
逆に対して好きじゃなくても、結婚する場合もある。
離婚を3回しても結婚をしようとするとわ子は
「一人でいるのが寂しいんだよ。」
そう言って涙を流した回があった。
最後に元夫3人は、
みんなとわ子のことが好きだ、
とわ子は本当に素晴らしい人だ、
と、とわ子に言った。
とわ子はみんなが笑顔であればそれで幸せと言った。
とわ子は最後まで誰も選ばなかった。
これがとわ子が選んだ幸せの姿だった。