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2021年11~12月に読んだ本を振り返る。

こんにちは、えびかずきです。

ずいぶん遅くなりましたが、2021年11-12月に読んだ本を振り返っていきます。

今回は4冊の本を紹介します。

小説

『お伽草紙』太宰治

久々に太宰作品を読みました。

大学生の時に「人間失格」読んで以来、太宰治は大好きな作家の一人です。

好き嫌いが分かれる作家かもしれませんが、彼の陰鬱で皮肉で独特な世界観がたまらなく好き。

さてさて今回読んだ「お伽草子」は、舌切り雀とが浦島太郎など私たちにも身近な日本の昔話の太宰風アレンジを含んだ短編集です。

収録されている短編の一部を抜き出すとこんな感じ。

・瘤取り
・浦島さん
・カチカチ山
・舌切り雀

タイトルは子どもの時によくきいた懐かしいものばかりですね。
とはいえ、内容は我々の知っているものと微妙に違っていて、あらすじは一緒ですがディティールは完全に太宰の世界観に染まっています。

たとえば最近だと、森見登美彦が「新訳走れメロス」というパロディー作品がありましたが、そんな感じの雰囲気。(というかそもそも「走れメロス」は太宰作品なので、ある意味関係が深い作品です)

<ここからはネタバレを含むので注意!>

ではここからは感想編。

ということでまず「瘤取り」

こぶ取り爺さんと言った方が馴染み深いかもしれませんが、主人公はほっぺたにこぶができてしまった2名のお爺さんです。一人のお爺さんはこぶを鬼にとってもらえたが、もう一人のお爺さんは逆にこぶを増やされてしまったというお話ですね。

これが太宰版のストーリーでは、一人のお爺さんはこぶを大事に大事に孫のように思っていたのに鬼に取られてしまう。一方もう一人のお爺さんは、娘に「タコの頭みたい」とこぶをバカにされて嫌っていたところに、鬼にもう一つこぶを増やされるというお話になっています。それぞれのお爺さんの心情や状況が細かく語られていて、太宰の皮肉なストーリー展開がとても面白いです。

このこぶ取り爺さん。海外を含めていろんなバリエーションがあるようで、

正しいストーリーはこれ、というものがあるわけではありません。
この太宰版こぶ取り爺さんもそれらの派生の中の一つですね。

続いて「浦島さん」

これは説明するまでもなくあの有名な「浦島太郎」のお話です。

太宰版の浦島さんはバッドエンドでは無くハッピーエンドになっています。

我々のよく知る浦島太郎では、竜宮城から帰った浦島太郎はお土産の玉手箱を開くと、白髪のおじいさんになって竜宮城での思い出は全部忘れてしまいました。残念。というストーリーです。
太宰版でも玉手箱を開いて白髪のお爺さんになるという所までは同じですが、それがハッピーな事であると解釈されています。竜宮城での体験は人生最高の瞬間であって、そのまま俗世に帰っても悶々と過去の思い出をうらやむばかりで幸せな生活はできないという風に解釈しています。ここに膨大な時間による忘却を与えることで、お爺さんはその後10年幸福に暮らしましたとさ。という締めくくりになっています。もし竜宮城を後にした淋しさが無く玉手箱をあけないならあけないで、竜宮城での体験がさほど幸福なものではなかったのだから、その後に人生に影響はないということになる。ちょっと無理矢理感はありますが、なかなか面白い解釈ですね。

続く「カチカチ山」「舌切り雀」も太宰ワールド全開で面白かった。

特にカチカチ山では楽天的で能天気なタヌキと残虐でサイコなウサギの掛け合いが最高です。

昔話のパロディということもあって太宰治が苦手だったり、読まず嫌いの方にもおすすめできる1冊です。

ぜひご一読あれ。

『消滅世界』村田沙耶香

性行為では無く人工授精で子どもを産むのが普通になった世界のお話。夫婦間の性行為がなぜか「近親相姦」と呼ばれ世間では避けられる設定になっている。

そんな世界に馴染もうとする主人公「雨音」が性について悩み、普通とは何かについて思いを巡らせるお話。あらすじだけ書くとさっぱりしているけど、まず設定が興味深いし、我々の世界の「普通」と違う状況が「普通」になっているという違和感が面白い。

村田沙耶香さんの作品は少々グロくてコワいけどどれも本当に面白い。
いつも「普通とは何か?」という事を考えさせられる。

まだ読んでいない著書も少しあるので、ゆっくり読んでいきます。楽しみ。

科学書

『昆虫の脳をつくる-君のパソコンに脳を作ってみよう-』神崎亮平(東京大)

カイコガの脳を題材として、コンピュータ上で昆虫の脳をシミュレートする書籍。

昆虫の脳を研究するモチベーションの一つとして、ニューロン数が比較的少ないので、スーパーコンピュータ上でシミュレートが可能であるということがある。(下図参照)

以前日本で稼働していたスーパーコンピュータ「京」のフロップスが10の16乗なので、ぎりぎりカイコガの脳はギリギリ処理できる。

昆虫の脳ってこんな構造をしているんだという、これまで考えた事もないようなことが知れるので面白い。

本書をなぜ購入した理由は「-君のパソコンに脳を作ってみよう-」というキャッチコピーに心惹かれたためです。
ただ私にとっては少し難易度が高い内容でした。

Fijiという画像処理ソフトとNEURONというシミュレータソフトを使ってHOCというCベースの言語で実装する(本書ではコードが示されていないがjavaやPythonでも実装か可能とのこと)のですが、なれない言語&ソフト&分野に実装はあきらめてしまいました。またいつかやる気になったらやります。

ビジネス書

『新1分間リーダー 部下を成長させる3つの秘訣』スペンサー・ジョンソン

会社の上司に薦められて読んでみた1冊。

一分間というキーワードを軸にして、部下に能動的に働いてもらうための方法論が書かれている。部下が自分をマネジメントして自分自身ために働くという意識をもってもらうことが重要。そのために上司は部下を思いやり、「敬意」と「尊敬」を持って接する必要がある。自分に部下ができた時に改めて考えたい。

まとめ

最近本を読める時間が減ってて、読書欲が満たされてない感じです。
人間には3種類の欲求があるというけど、私の場合は4つな気がする。

ではまた次回。

読んだ本はメルカリで売ってます

欲しい本がありましたら、安くお譲りしますよ。


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