にこにこの手先
にこにこにこ、うさんくさい。なぜ男なのに男に愛想をふりまくのか。なぜ、スクールカースト最底辺の人間にまで笑顔を作るのか。なにが面白いのか。カロリーの節約でもして無表情になってくれ。
「え。好きだからだよ。……ああごめん、誤解が? 笑ってるのが好きだからだよ、僕の主体性の問題を君への好悪に置き換えないでほしいな。そっちのが失礼だと思えるけど」
「別に君が好きだから君に笑ってるわけじゃないよ」
か、かんちがいヤロウで悪かった。
しかしこれを笑顔のにこにこで言い切れる、こいつ、やっぱりろくでもない奴なのでは。真っ正面からディスられた。さすがにちょと落ち込みそう。こちらを見ながら奴はなぜだかもう一度、言った。君に笑ってるわけじゃないよ。
「面白いとすれば僕の主観でだけの話だから。気にしないで」
「……いちいち嫌味っぽいな、おまえ……」
「はじめて話すクラスメイトにいきなりケンカ売られた身としては大人しいほうだろ」
たしかに。
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